ミステリーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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奇跡の後で

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俺は夏美に婚約指輪を贈り、俺達はめでたく婚約した。
俺は、幸せの絶頂にいた。
そんなある日、二人で結婚式の打ち合わせをしている時に、不意に夏美がおかしな話をし始めた。



「あのね…私、実は海斗に謝らなきゃならないことがあるの。」

「謝らなきゃならないこと?何なんだよ。」

「この間、ネットで悪魔の契約っていうサイトを見つけてね。
今ならお試し契約で願いがひとつ叶えてもらえるって書いてあったの。
もちろん、子供じゃないんだし、そんなこと信じてはいないわよ。
でも、なんか面白そうだし、気になってね。
とはいえ、個人情報をうかつに書くのは危険なことだし、何かあったらいやじゃない?
それで、あなたの名前と住所を書き込んだの。ごめんね。
でも、何もないわよね?」

「それは酷いな。幸い、今のところは何もないけど…」

「良かった。やっぱりそんなことあるわけないわよね。」

「……当たり前だろ。」

口ではそう言いながらも、俺は体の震えが止まらなかった。
あの停電のことを思い出したからだ。
夏美は俺の不安も知らず、さらに話を続けた。



「なんかね、ネットの書き込みを見たら、悪魔に願いを叶えてもらったら、残りの人生は悪魔のために働かされるそうよ。」

その時、夏美の目がきらりと怪しく光った気がした。



 (働かされる?一体、何をさせられるっていうんだ?
それに悪魔って…そんなものがこの世に実在するはずがない。)



そう思う反面、心配で仕方なかった。
この女は本当に夏美なのか、もしかして悪魔ではないのか?
 世界で一番愛しているはずの女が、急に恐ろしいものに思えてきた。



だけど、今更どうすることも出来ない。
流れ出る冷たい汗を拭いながら、ただただ俺は平静を装うことしか出来なかった。
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