ミステリーSS集

神在琉葵（かみありるき）

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私はプリンセス

３

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高校を卒業した私は、家を出てがむしゃらに働いた。
最初は一人の生活を、夢のようだと思った。
狭いとはいえ、誰に気兼ねをすることもない部屋…
少しずつ、家具や道具を買い足していくのが、楽しくて仕方なかった。
でも…そのうち、私はまた気付いてしまったのだ。
今の暮らしは決して、幸せなものではないということに。
小さな会社の事務員の給料はたかが知れている。
生活費と仕送りをしてしまえば、貯金なんてほとんど出来ない。
贅沢をしているわけじゃないのに、この調子だ。
もしも、病気や怪我でもして入院なんてことになったら、一体どうなるのか…

仕事を増やそうかとも思ったけど、私はあまり体が丈夫ではない。
せいぜい、土日に短いバイトを入れるくらいだ。
そのくらいでは、たいした額は稼げない。
そんな時、同僚に合コンに誘われた。
その時、私はまた気付いたのだ。
何も自分で汗水垂らして稼ぐことはない。
金持ちの男と結婚すれば良いのだ。
そうすれば、簡単に楽な生活を得ることが出来る！と。

そう気付いてから、私は、合コンにのめりこむようになった。
相手なんて誰だって良い。
背が低かろうが、太っていようが、年寄りだろうがなんだって良いんだ。
金さえ持っていれば。
合コンで知りあった男達と、私は次々に付き合った。
だけど、なかなか結婚には至らなかった。

そんな日々を繰り返すうちに、何年かの時が流れ…
付き合ってくれる男たちがめっきり少なくなって来た。
その時になって、私はようやく悟ったのだ。
私は、特に美しくもなければ、これといった取り柄もない。
その上、口下手と来ている。
こんな私を、金持ちの男が相手にするはずがない。
そうだ…今まで私が付き合っていたと思っていたのは、彼らにとってはただの遊びだったんだとようやく気が付いた。

白馬に乗った王子様はいない…
金持ち男にも相手にされない…
絶望的な気持ちになったけれど、それでも諦めたくはなかった。
もう、こんな生活はいやだ！
私はもっと幸せになりたい！

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