garden～夢の続きを

side紗羽

１

最近の美和は、とても綺麗になった。
その理由を私は知っている。



 美和は恋をしているのだ。
しかも、相手は岡本君だと思う。
 母親のカンのようなものがそう感じさせるのだ。



 気にすることはない。
そんなのはただの憧れだから…熱はすぐに冷める…
ずっとそう言い聞かせてきたけれど、胸騒ぎが止まらない。
 考え過ぎなのかもしれないけれど、万が一ということもないとは言えないのだ。



 最近、美和は見慣れないペンダントをしていた。
 彼女は良くそのペンダントをみつめては、とても満ち足りた顔をする。



 「美和…そのペンダント…もしかして彼氏からのプレゼント？」

 私は鎌をかけてみた。



 「えっ！？」

 美和は顔を真っ赤にして、丸い瞳で私を見た。



 「そっか、美和の彼氏ってどんな人？女子校だから、他所の学校の人よね？」

 「え……そ、それは……」



やはり、私の思った通りだ。
 他所の学校の男子なら、すぐに『そうだ』と言う筈だ。
 彼女が口籠る理由…それは、相手が同じ学校の者だということで、女子校にいる男性といえば、やはり岡本君しかいない。



 「え？違うの？
だったら、もしかして先生とか？」

 私はさらに美和を追い詰める質問をした。



 「え、えぇっ！」

 美和は嘘が吐けない。
すぐに顔や態度に出てしまう。



 「良くあるのよね、先生に憧れることって。ママにもあったわ。」

 「憧れなんかじゃないわ！」

 美和の激しい口調に、私の顔から笑みが消えた。



 「私……本気なの。」

 「う、うん、わかるよ。
あなた位の年代の時は、そう思うもの。
でも、すぐに冷めるわ。
それって悪いことじゃない。」

 「違うってば！私は、先生のこと、本気なの！
それに先生だって……」

その言葉に、私は酷く動揺した。



 「ど、どういうことなの！？まさか、あなた先生と何か…」

 「変な想像しないでよ！ママが思ってるようなことは何もないわ。
でも、この先はわからない。」

 美和はいつもとは別人のようなきつい眼差しで、私を睨みつける。