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side紗羽

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だけど、美和が絵を好きになってくれたことだけでも、私は嬉しい。



 女の子は父親に似るって良く言われるけど、美和は子供の頃から私に似てた。
 美和がまだ小さい頃、祖母にも良く言われた。
 「子供の頃のあんたにそっくりだ。」って。



それは嬉しいことでもあり、寂しいことでもあった。
 美和が父親似だったら、きっとそれはそれで、複雑な想いを感じたのかもしれないけど…



私は、最初から美和をひとりで育てるつもりだった。
もしかしたら、神様はそれを知っていて、美和を私に似せたんだろうか?
 父親のことを思い出さないように…



(……馬鹿ね。)



 昔から小説が好きなせいなのか、ついついおかしな妄想をしてしまう。
 本当に馬鹿みたい。
こういうところは美和に遺伝しなくて良かった。



それに、これはどっちに似たのかわからないけれど、彼女の何事においても無関心なところに救われたところもあった。



 『パパは美和が生まれてすぐに、病気で死んだ。』



 美和は、私のそんな嘘を信じている。
まだ幼い頃は、父親について訊いて来ることもたまにあったけど、大きくなるにつれ、全く訊ねなくなった。
 私だったら、法事がないとか、お墓参りに行かないこともおかしいと思うだろうし、きっといろいろと詮索したと思う。
でも、彼女はそんなことはなかった。
それは私にとってはありがたいことだった。


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