garden～夢の続きを

side芳樹

１

入学式が済んでからも、細々とした仕事が山積みだった。
 席替えや体力測定、各委員を決めたり…
そんなことをする間に、僕は少しずつ生徒の顔を覚えていった。



 若林美和は、紗羽と同じく、おとなしく目立たない印象の子だった。
 委員の立候補なんて、間違ってもしない。
ただ、紗羽は常に本を持っていたが、美和が本を持っているところはまだ見たことがない。
まぁ、たまたま目にしないだけなのかもしれないが。



 少しずつ見慣れて来たとはいえ、やはりまだ変な気分だ。
 美和を通して、どうしても昔の紗羽を見てしまう。
 過ぎ去った日々を思い出してしまう。



 中でも、一番辛かったあの日を思い出すことが多い。
そのせいか、僕の中では美和への苦手意識のようなものが芽生えてしまっていた。
 彼女を見るのがどこか怖い。
 僕は、彼女の担任なのに、こんなことでは先が思いやられる。



 （なんとかしないと……）



そうは思うものの、僕に出来るのは、極力、美和を視界に入れないくらいのことだった。