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手渡された住所に間違いがあったんじゃないかって思ってたけど、やっぱりそうだったんだね。



 「だったら、大樹君が先に送ってくれたら良かったのに…」

 「そうなんだよね。
でも、あの当時、僕達、なんとなくぎくしゃくしてたじゃない?
だから、もしかしたら、僕、美玖ちゃんに嫌われてるのかな?って思って、怖くて出せなかったんだ。」



なんてこと…
そっか…思春期って魔物に、私の恋は邪魔されてたんだね。
あの時の自分に言いたいよ。
 「もっと、素直になれ!」って。
あんな風にぎくしゃくしてなかったら、大樹君がそんな勘違いをすることもなかっただろうに…



あ、そういえば…



「大樹君、うちに来てくれたの?」

さっき、聞いたことを訊ねてみた。



 「うん、そうなんだ。
でも、美玖ちゃんの家の表札は変わってたし、知らない人が家から出て来たから…」



 (あ、そっか…)



うちが引っ越したのは、ちょうどその頃だ。
お父さんの仕事の都合で引っ越すことになって、私はちょうど就職するところだったから、一人暮らしを始めることになって…
あぁ、もう少し早くに来てくれてたら会えたのに…
私は我が家の事情を話した。



 「そうなんだ。
 僕、実は、それもショックだったんだ。
 引っ越すことも教えてくれないなんて、よっぽど嫌われてたのかもしれない…なんて思ってさ。」

 「違うよ!さっきも言った通り、手紙が送れなかっただけだから。
それに、今、うちに住んでるのは親戚だから
訊いてくれたら、すぐに事情がわかったのに…」

 「そうだったんだね。いつもの僕ならきっと訊いただろうけど、なんか勝手にショック受けちゃってね。
あの時、僕はかなり打ちひしがれて帰ったんだよ。」

 苦笑する大樹君に、また私の胸はキュンと鳴った。
そんなにショックを受けるなんて……もしかして、私って愛されてたの??



 (馬鹿馬鹿!調子に乗りすぎだってば!)



 自信過剰の自分を殴ってやりたいような気分を感じた。


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