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 「えっ!ギリアムが!ほ、本当ですか!?」

 「わしの見立てに間違いはない。
ギリアムは、すでに異界に転生した。
この度の人生も、王子としての人生だ。」

 「それなら、私を異界に行かせて下さい!
 私…なんとしても、ギリアムをみつけます!
そして、今度こそ、必ず、結婚します!」

 「残念ながら、それは無理じゃ。」

 魔女は、ゆっくりと首を振りました。



 「どうしてです?異界に行って、ギリアムをみつければ…」

 「世界がどれほど広いかわからんのか。
わしにもその者が転生した場所まではわからんのじゃ。
そうやすやすと見つけられるはずがあるまい。」

 「どれほど世界が広かろうが、私は決して諦めません。
 絶対に、ギリアムをみつけてみせます。
たとえ、どれほどの時が経とうとも。」

 「そうじゃ。
みつけるためには、おそらく相当長い時が必要じゃろう。
それが一番の問題じゃ。
……異界へ渡ることは、とても体に負担のかかることじゃ。
 長く留まれば留まるほど、体は崩れて行き、そなたの美しい姿は、最後には魔物のように変わって行くことじゃろう。
たとえ、そなたの想い人をみつけたところで、魔物となったそなたを愛してくれるじゃろうか?」

 「……え?」



その言葉に、マリアンは動揺しました。
 自分が魔物のように醜くなる…考えるだけでも、震えが走るようなことでしたが、それでもやはりマリアンは諦めることが出来ませんでした。



 「私…行きます!
 異界に行って、ギリアムをみつけます!」
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