チクタクの森【完結編】

神在琉葵(かみありるき)

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旅立ち

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「しかし、お前達のような小さな子供を旅に出すのは……」

 「お父様、なにをおっしゃってるの?
こう見えても、私もシュザンヌももう18歳なのよ。」

 「だが……」

お父様が困惑なさるのも無理からぬこと。
 確かに私達の本当の年は18ですが、見た目は小さな子供のままなのですから。



 「旦那様、それではトーマスをお供につかせましょう!」

そう言ってくれたのは、古くからうちに仕えるライオネルでした。
トーマスは最近働き始めたライオネルの息子です。
 大人がついてきてくれれば、私達もそして両親も安心です。
お父様は、ぜひそうしてほしいとライオネルに頼みました。

ライオネルは、もうひとつ、提案しました。
いつまでかかろうとも、私達が旅を終えるまで、必ずライオネル家の者がお供として付き添い、私達を護ること、そして、私達の秘密を守り抜くことを約束してくれたのです。



 「ありがとう、ライオネル!」
お父様は、ライオネルの手をしっかりと握り締めました。



 *



 「それじゃあ、行って参ります!」

 両親や兄様に手を振りながら、数日後、私達はトーマスと共に旅立ちました。
あてなどありません。
とにかく、森のある所を探すしかありません。
チクタクの音がする森をみつけ、どうにかして修理屋を探すしかないのです。家族と離れるのはとても寂しいし、心細いこと……シュゼットの明るさだけが救いです。

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