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「……いてっ!」
俺はゆっくりと目を開けた。
ベッドから落ちたらしく、俺は床に寝ころんでいた。
足の踏み場もない散らかった部屋…
友達からもらったテレビには、大きなひびが入っていて…
(……なんだ、夢か……)
ほっと胸をなで下ろす。
俺は起き上がって、大型ごみの日に拾って来たベッドに腰掛け、跳ね上がった鼓動がおさまるのを待った。
(あぁ、夢で良かった…生きてて良かった…)
枕の傍には、文字を打ちかけたガラケーが転がっていた。
コンテストに応募するための小説を打ちながら、いつの間にか俺は眠っていたようだ。
携帯小説なるものにハマり、文章を書くようになって早や十余年…
今までに一体何作投稿したことだろう。
けれど、いまだ入賞したことは一度もない。
おそらく、俺の作品が前衛的過ぎるからだな。
残念ながら、審査員は俺の優れた感覚についてこられないんだ、きっと。
それにしても、今の夢はかなりリアルだった。しかも、夢とは思えない程、複雑な内容だった。
(あんな込み入った夢を見るなんて、やっぱり俺には特別な発想力があるってことだ!
あ…もしかしたら、あれは正夢かもしれないぞ!)
卓袱台にあった牛乳に手を伸ばし、俺はそれを口に含んだ。
ん?ちょっと酸っぱいような気もするけれど、まぁ…大丈夫だろう。
俺はガラケーを手にした。
(俺には才能がある!今度こそ、入賞だ!)
俺の親指が、昨夜の続きを打ち込み始めた。
今日の夢みたいに「先生」と呼ばれるその日を夢見て、俺は何度でも挑戦する!
俺はゆっくりと目を開けた。
ベッドから落ちたらしく、俺は床に寝ころんでいた。
足の踏み場もない散らかった部屋…
友達からもらったテレビには、大きなひびが入っていて…
(……なんだ、夢か……)
ほっと胸をなで下ろす。
俺は起き上がって、大型ごみの日に拾って来たベッドに腰掛け、跳ね上がった鼓動がおさまるのを待った。
(あぁ、夢で良かった…生きてて良かった…)
枕の傍には、文字を打ちかけたガラケーが転がっていた。
コンテストに応募するための小説を打ちながら、いつの間にか俺は眠っていたようだ。
携帯小説なるものにハマり、文章を書くようになって早や十余年…
今までに一体何作投稿したことだろう。
けれど、いまだ入賞したことは一度もない。
おそらく、俺の作品が前衛的過ぎるからだな。
残念ながら、審査員は俺の優れた感覚についてこられないんだ、きっと。
それにしても、今の夢はかなりリアルだった。しかも、夢とは思えない程、複雑な内容だった。
(あんな込み入った夢を見るなんて、やっぱり俺には特別な発想力があるってことだ!
あ…もしかしたら、あれは正夢かもしれないぞ!)
卓袱台にあった牛乳に手を伸ばし、俺はそれを口に含んだ。
ん?ちょっと酸っぱいような気もするけれど、まぁ…大丈夫だろう。
俺はガラケーを手にした。
(俺には才能がある!今度こそ、入賞だ!)
俺の親指が、昨夜の続きを打ち込み始めた。
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