神在琉葵(かみありるき)

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 「う…うん……」


 気が付くと、あたりはもう明るくなっていた。
ずきっと痛む頭に、私は眉をひそめる。


 私が眠っていたのはおばあちゃんの部屋だった。 
あぁ、そうか…
きっとあれは夢だったんだ。
 私、自分で思ってるよりも酔っ払ってて……



「おはよう!」



その声は鏡の中から響き…そこにはすっきりした顔で微笑む私がいた。



 「あ…あなたは……」

 「なぁに?優香、寝惚けてるの?」



 夢じゃなかった。
 昨夜のことは、全部現実……







 「ねぇ、しつこいけどこんなことでくじけてどうするの!?
あんな女にトシを取られて悔しくないの!?」

 身支度を整え、朝食を済ませた私は、またおばあちゃんの部屋に戻った。



 「もう良いの…
私、ドロドロしたことは嫌いだし…あなたに話を聞いてもらったからすっきりしたし…」

 「またそんなこと言って…
あなたはそうやっていつも面倒なことから逃げてきたわね。
あぁ、本当にじれったい!
 私があなたと代われるものなら、麻美なんかに絶対トシを渡さないのに…」

 「そうね…あなたなら出来そうだわ。」

 「……本当にそう思ってる?」

そう訊ねる鏡の中の私の瞳に、私はなにか強い意志のようなものを感じた。



 「え…?ええ、本当に思ってるわ。」

 「じゃあ……私にやらせて!」

 「え……?
やらせるって……何を……?」



 鏡の中の私は、怖ろしい計画を私に話した。
それは、鏡像の私と実体の私が入れ替わるという計画。
そんなことが実際に出来るかどうかもわからなかったけれど、それは考えただけでも何かとてもそら恐ろしい計画で、私はすぐには返事が出来なかった。
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