神在琉葵(かみありるき)

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「……あなたは、私よりも気が強いしはっきりしてるわね。」

 「何を言ってるの?
 私はあなたと同じ……あぁ、でも、確かにあなたのしていることで時々苛々する事もあるわ。
なぜ、もっとはっきり言わないんだろう?とか、なぜ、そんなことを我慢するんだろうって…
おかしいわね、私はあなたの一部なのに……
 ……あ……もしかしたら…」

 「何?」

 「ほら、鏡って同じものでも、なんでも逆に映るじゃない?
つまり、私はあなたが普段隠してる部分を強くもってるんじゃないかしら?」

 「ひどーーい!
それじゃあ、私が本当は気の強いズバズバ言うタイプなのに、普段はそれを隠してるっていうの?」

 「そういうのって、本当とか嘘とかいうもんじゃないって思うの。
どちらもあるのよ。
ただ、どっちが表でどっちが裏かっていう…」

 「表はなにかと大変なのよ。」



 冗談めかしにそう言って、私は笑った。
だけど、鏡の中の私の話に、私は内心思い当たることがあった。
いつも、周りのことを考えて…いや、それは単なる保身だったのかもしれないけれど、子供の頃から私は自分の心を偽る事が多かった。
でも、私はそうすることが一番良い事だと思っていたし、いつの間にかそういうことを意識することもなくなった。
だけど、今回のことでははっきりとわかっていた。
 本当は、麻美に対して激しい憎悪を感じていたことも薄々気付いていた。
だけど、そんないやらしい感情は抱いちゃいけないんだと、自分に言い聞かせていただけ。



 (そう……私はいつも自分に嘘を吐いていた…)


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