108 / 120
エリーズを探して
108
しおりを挟む
まさか…俺が長い間戻って来なかったから、エリーズの奴、俺に愛想を尽かせて…
「ない、ない、ない、ない!!」
そんなことあるもんか。 エリーズは、俺と結婚するって言ってくれたんだ。
二年かけて、ようやく俺という男の良さをわかってくれたんだ。
そう簡単に心変わりなんてするもんか。
うん、大丈夫だ。
必ず、エリーズはみつかる!
そうだ…もしかしたら、エリーズは気晴らしにお宝探しに行ってるだけかもしれない。
俺がいない寂しさをそういうことで晴らしてても不思議はない。
そうだよな…
ずっと宿屋にいたら、誰だって退屈だもんな。
外にも出かけたくなるよな…
そう考えると、少しだけ気持ちが落ち着いた。
(エリーズ…愛してる…)
エリーズのことを考えながら、俺はいつの間にか眠りに落ちていた。
*
(あぁ、腹へった。)
激しい空腹を感じて、俺は目を覚ました。
柱の時計を見ると、もう夕方だった。
思ったよりも長い間眠っていたようだ。
俺は、身支度を済ませると、町のレストランに向かい、その足で昨日の酒場に戻った。
昨夜聞いた二人組のトレジャー・ハンターはまだ帰っていなかった。
俺は昨夜と同じようにエリーズの情報を聞いて回ったが、誰からもエリーズに関する話は聞けなかった。
仕方なく、適当なテーブルに紛れ込み、一緒に酒を飲んでいたところ、新たに入ってきた男がエリーズらしき女を見たと話した。
男の話す女の外見はまさにエリーズそのものだ。
間違いなくそれはエリーズだと思った。
「あんな別嬪はめったにいないからな。良く覚えてるぜ。
たまにひとりでここに来ては、何杯かあおって帰っていったよ。」
「それで、エリーズとはどんな話をしたんだ?」
「話?あの女は綺麗だがひどく可愛いげのない女でな。
誰が話しかけても、ろくな返事はしなかった。」
「そうか…」
そうなんだよな…
エリーズは最初からそうだった。
俺もどれだけこけにされたことか…
本当にクールな女なんだ。
「そういえば…」
「何かあったのか?」
「一度だけ、あの女が涙を流してるのを見たことがある。飲み過ぎたんだかなんだかわからないが、とても悲しそうな顔をしていたな。」
「悲しそうな顔…」
そうか…俺のせいなんだな。
すまない、エリーズ…
俺が長いことひとりにしちまったから…
きっと、エリーズは寂しかったんだな。
寂しくてたまらずに、それで気晴らしにお宝探しに出掛けた…
多分、そんなところだろう。
でも、それなら、俺に伝言の一つでも残しておいてくれりゃあ良いものを…
「ない、ない、ない、ない!!」
そんなことあるもんか。 エリーズは、俺と結婚するって言ってくれたんだ。
二年かけて、ようやく俺という男の良さをわかってくれたんだ。
そう簡単に心変わりなんてするもんか。
うん、大丈夫だ。
必ず、エリーズはみつかる!
そうだ…もしかしたら、エリーズは気晴らしにお宝探しに行ってるだけかもしれない。
俺がいない寂しさをそういうことで晴らしてても不思議はない。
そうだよな…
ずっと宿屋にいたら、誰だって退屈だもんな。
外にも出かけたくなるよな…
そう考えると、少しだけ気持ちが落ち着いた。
(エリーズ…愛してる…)
エリーズのことを考えながら、俺はいつの間にか眠りに落ちていた。
*
(あぁ、腹へった。)
激しい空腹を感じて、俺は目を覚ました。
柱の時計を見ると、もう夕方だった。
思ったよりも長い間眠っていたようだ。
俺は、身支度を済ませると、町のレストランに向かい、その足で昨日の酒場に戻った。
昨夜聞いた二人組のトレジャー・ハンターはまだ帰っていなかった。
俺は昨夜と同じようにエリーズの情報を聞いて回ったが、誰からもエリーズに関する話は聞けなかった。
仕方なく、適当なテーブルに紛れ込み、一緒に酒を飲んでいたところ、新たに入ってきた男がエリーズらしき女を見たと話した。
男の話す女の外見はまさにエリーズそのものだ。
間違いなくそれはエリーズだと思った。
「あんな別嬪はめったにいないからな。良く覚えてるぜ。
たまにひとりでここに来ては、何杯かあおって帰っていったよ。」
「それで、エリーズとはどんな話をしたんだ?」
「話?あの女は綺麗だがひどく可愛いげのない女でな。
誰が話しかけても、ろくな返事はしなかった。」
「そうか…」
そうなんだよな…
エリーズは最初からそうだった。
俺もどれだけこけにされたことか…
本当にクールな女なんだ。
「そういえば…」
「何かあったのか?」
「一度だけ、あの女が涙を流してるのを見たことがある。飲み過ぎたんだかなんだかわからないが、とても悲しそうな顔をしていたな。」
「悲しそうな顔…」
そうか…俺のせいなんだな。
すまない、エリーズ…
俺が長いことひとりにしちまったから…
きっと、エリーズは寂しかったんだな。
寂しくてたまらずに、それで気晴らしにお宝探しに出掛けた…
多分、そんなところだろう。
でも、それなら、俺に伝言の一つでも残しておいてくれりゃあ良いものを…
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
黒のシャンタル 第二話 「新しい嵐の中へ」<完結>
小椋夏己
ファンタジー
八年前、嵐によって不思議な運命に巻き込まれたトーヤは今、仲間のアランとベルの兄妹に全てを語り終えた。
「俺とシャンタルはこの町から東へ、シャンタリオへ行く。おまえらもどうするかよく考えろ」
そう言って、2人の仲間に自分たちの道を選べと告げた。
アランとベルの選択は、そしてもう一度見えない未来に向かって進むために東へ、不思議な国へ戻るトーヤとシャンタルの運命は……
「黒のシャンタル 第一部 過去への旅」の続編です、舞台は八年後のシャンタリオへと移ります。初めての方はぜひ第一部からお読みください。
2021年5月20日(木)に無事第一部「過去への旅」を完結いたしました。
2022年1月23日(日)に無事第二部「新しい嵐の中へ」を完結いたしました。
第三部を現在毎日更新中です、引き続きよろしくお願いいたします。
三年前のトーヤたち4人の出会いを描いたベルが主人公の外伝「銀色の魔法使い」も30話完結で公開しています。
第二部のお正月用として書いた3話のよもやま話的短編「青い小鳥」も3話完結で公開しています。
どちらも合わせてどうぞよろしくお願いいたします。
ぜひとも感想、評価やブックマークをお願いいたします。
誤字報告などもいただけるととても励みになります、喜んでやる気が出ます。
どうぞよろしくお願いいたします。
時々「リメイク」と称して書き直しがあります。
注1:ほとんど過激な表現はないと思いますがそれなりに衝撃を受ける方もいらっしゃるかも知れませんのでR15とさせていただきました。
注2:「登場人物紹介」は章が進むとネタバレが含まれる可能性があります。ネタバレ嫌!な方は飛ばして本文を読んでください。
注3:平日2回、土日・休日は1回更新予定。時間は色々になると思います。
注4:しばらくの間平日も1回更新になります、申し訳ありません。
※更新報告などがあります、活動報告も御覧ください。
※「小説家になろう」「カクヨミ」「novelabo」「アルファポリス」で第三部を毎日連載中
※「エブリスタ」「ノベルアップ+」「待ラノ」で時間差連載中
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!
タハノア
ファンタジー
私は、剣と魔法のファンタジー世界を舞台にした乙女ゲーの悪役令嬢マルレリンドに転生してしまった。どうやら私は追放される運命らしいので、冒険者になります!
その準備として修行してみてわかったんだけど、私って魔力が超多いのに魔法使えないみたい……魔力は全部身体強化に使われていて、引くほどの怪力と無限の体力でした。
防御力に至っては素手で剣を叩き割れるほど硬い……そんな私は、自分の体より柔らかい剣を無理やり使いボキボキと折りながら、楽しい冒険生活を続けていきます!
でも、隣町は勇者物語!隣国に行けば和風MMORPG !?各地で厄介事に巻き込まれながら私の冒険は続く!
*下積みの学園生活が煩わしい場合は、プロローグの後に学園生活総集編の2話を読んでそのまま続きをどうぞ!
*恋,愛要素は、すこーしだけあります。
*挿し絵は地図です。
*2019/1/3 完結しました。
*現在少しずつ校正をしています。校正により誤字が増えたりするポンコツなのでその時はごめんなさい。
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる