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フクロウじいさん

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「あ、そっか。」

俺としたことが本当にうっかりしていた。 
せっかくこんな近くまで追い詰めたっていうのに、アレクシスが売られてしまってたことはとても残念だが、俺達には魔法のコンパスがある。 
それに、アレクシスは、今は、イザベラの家にいるんだ。 
この前のバーバラみたいに逃がすことさえなければ、アレクシスはそこに足止めされているってことだ。
少なくとも距離が広がる心配はない。
ほっとしたせいか、ぐぅーと、腹の虫が鳴いた。 




「お…?」

フクロウじいさんは、それを聞いておかしそうに微笑んだ。



「あはは…」

俺は照れ隠しに笑って誤魔化した。



「たいしたものはないが、うちで何か食べていくと良い。」

「え?良いんですか?」

「あぁ、わしもそろそろ昼飯を食べようと思ってたところだったんじゃ。」

「だったら、俺が作ります!」

アランが名乗りを上げた。







「あんた、なかなか料理上手じゃな。」

「たいしたことありません。」

俺達は、フクロウじいさんの家で、昼飯を振る舞われた。



「ところで…なんで、こんな所に住んでるんですか?」

「それはじゃな……」

フクロウじいさんは、言いかけてすぐに言葉を濁した。



「……あんたは可愛いから特別に教えてやろう。ええか?ここだけの話じゃぞ。
実は、ここは特別な場所でな。
最初はたまたまこの近くに薪を取りに来た時に、フクロウが木にぶつかるのを見ただけだった。
だが、その後もふらふらとおかしな飛び方をするものや地表を歩く者などがいて、わしはそれでここが特別な場所だということに気付いたんじゃ。
詳しいことはわからんが、どうやらこの近辺では、フクロウ達は身体の感覚がおかしくなるらしくてな…そのおかげで簡単に捕まえることが出来るんじゃよ。」

そう言って、フクロウじいさんはふふふと笑った。



「それは魔女の術とは違うものなんですか?」

「はてさて、それはわしにはわからんが…」

「そうなんですか…」

魔法のコンパスがおかしな動きをすることも、もしかしたらそのことと何か関係があるのかもしれない。 



「お世話になりました!」

「またいつでも遊びにおいで。」

食後のお茶をまでいただいて、俺達は、フクロウじいさんの家を離れた。
今回は本当に残念なことだったが、仕方がない。
これも運命というやつだろう。
だが、アレクシスの行き先はすぐにわかる。
きっとこの場所を離れれば、コンパスはちゃんと動くようになるはずだ。
魔女には、ユリウスの精気をちょっとばかし与えてやれば、きっとアレクシスを譲ってくれるだろう。
なんでも、エルフの精気というものはとても貴重なもののようだから…
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