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フクロウじいさん

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「え?」

「俺は元々一途なんだ。
昔の女のことなんて忘れたし、今は、ステファニー…あんただけだから。」

「ええっ!」

アランは夢見るような瞳で俺をみつめていた。



「あ…」



アランの手が俺の両腕にかけられ、その手が、俺を引き寄せようとする。 



「や、やめてっ!」


俺は逃げた。
まるで、初な小娘みたいに…
この場合、逃げるしかないだろう。
それとも、ひっぱたいた方が良かったのか? 
いや、もう逃げ出してしまったんだから、今更そんなことを言ったって仕方がない。

焚き火のところに戻ると、ユリウスが火に当たっていた。 



「…アランはどうした?」

「さぁな。」

ユリウスの視線が俺の向こう側に注がれた。 



「ステファニー…」

振り返ると、アランは決まりの悪い顔をして突っ立っていた。 



「さてと…そろそろ寝よう。
明日も早いからな。」

俺は焚き火の傍に横になって目をつぶった。 
ここはたぬき寝入りに限る。
アランもユリウスも、そんな俺に何も言わなかった。







それから、次の日もまた次の日も…
俺達は山の中を歩き続けた。 
けれど、アレクシスの姿はちらとも見かけることはなかった。 
当然、コンパスが光ることもない。 



コンパスの針に導かれて進むうちに、俺達はいつの間にかまた街道に出ていた。 
街道は山よりもずっと歩きやすい。
ここで少しでもアレクシスとの距離を詰めることが出来れば良いのだが…



街道沿いにしばらく歩くと、小さな町があった。
さて、またここでアレクシスの情報を聞き込もう。
いつものように、ユリウスを宿に残し、俺とアランは早速、町へ繰り出した。



目についたレストランに入り、 そこで、アレクシスのことを聞いてみたが、残念ながら、何も得ることは出来なかった。 



俺達はさらに酒場に向かった。 
酒を飲みながら、アレクシスの情報を聞いてみたが、やはりそこでも何の情報も得られなかった。 



「おかしいな。アレクシスはこの町は通らなかったんだろうか?」

「どうだろうな。
でも、もしかしたら、今までが運が良かっただけかもしれないぜ。
フクロウのことなんて、みんなそれほど気にしてないだろうし。」

「確かにそうだな。」

たまたまアレクシスらしきフクロウを見た者に出会えたのは、今までが幸運だったからかもしれない。

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