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魔女、再び

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「この山だな!」

二日間を山の中で過ごし、ようやく俺達は魔女の住むとされる山にたどり着いた。



「この山のどこに魔女はいるんだ?」

「そこまでは知らない。
ただ、この山にいるとしか…」

「いいかげんな情報だな。」

ユリウスは不機嫌に顔をしかめた。
まったくもう苛々する。
せっかく俺が貴重な情報を仕入れて来てやったっていうのに、こいつと来たら感謝するどころか不満ばかり言いやがって…



「ま、探せばみつかるさ。
さ、行こう!」

アランも俺達の間でなにかと気を揉んでるようだ。
気を遣わせて申し訳ない。
しばらく山をうろうろしているうちに、俺達は立ち上る白い煙をみつけた。



「多分、あれだな!」

俺達は、煙の場所へ急いだ。








「あそこだ!」

山の中腹より少し高いところに、その家は建っていた。
あたりはいつの間にか、薄暗くなっていた。



「間違いない。
ここが魔女の家だろう。」

「そうだろうな。」

「大丈夫なのか?
魔女の家に行ったりして、ヒキガエルに変えられたりしないか?」

「心配なら、あんたはここで待ってな。」

「い、いや、俺も行く!
なんかあったら、俺があんたを守るから。」

アランは、そう言って大きく頷く。



まったく困ったもんだ。
俺はもうすぐ男に戻るっていうのに…
俺が男に戻ったら、アランの奴…一体、どんな顔をするだろう…?



俺達は、魔女の家に向かった。



「こんにちは。」

声をかけながら、俺は扉を叩いた。



「誰だい。」

しばらくして出てきたのは、サンドラ婆さんとよく似た感じの小柄な婆さんだった。



「初めまして。私たちは旅の者なのですが…」

「お前さんたち、私が誰だかわかってるのか?
魔女だよ。
あたしゃ、人間になんぞ何の用もない。」

けんもほろろに魔女は俺達の来訪を蹴り、扉を閉めようとした。



「ちょっと待って下さい。
あなたに、お土産があるんです。」

「……土産…だと?」

俺は、袋の中から酒の瓶を取り出した。
その途端、魔女の態度が変わった。



「そういうことは早くに言わんか。」

そう言いながら、魔女は素早く酒の瓶を受け取った。
酒場で聞いたんだ。
山の中に住む魔女はたいそうな酒好きで、町にもたまに酒を買いに来るのだと。
だから、こういう時のために酒を買っておいたというわけだ。
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