55 / 120
魔女、再び
55
しおりを挟む
*
「かんぱーい!」
久しぶりの酒はやはり良い。
今までは、ユリウスの手前も考え、飲みに行くこともなかったが、思い切って出てきて良かったと思った。
少し飲むと気分が良くなり、周りの者たちともすぐに打ち解けて、グラスを合わせた。
アランは、あまり酒が好きではないらしく、浮かない顔でなめるようにちびちびと飲んでいた。
「あんた、旅でもしてるのか?」
真っ赤な顔をしたひげもじゃの男が、親し気に声をかけてきた。
アランは疎まし気な目つきで、男を睨み付ける。
「まぁな。」
「どこに行くんだ?」
「どこって…特に行き先が決まってるわけじゃないんだ。
あ、そういえば、あんた達、このあたりで白いフクロウを見なかったかい?」
「白いフクロウ…?」
「あ!俺、見たぞ!」
鼻の頭を赤くした、はげちゃびんの男が手を挙げた。
「見たのか?白いフクロウを…」
「あぁ…何日か前に、見た。」
「本当か?それは何日前だったんだ?
どっちに飛んでった?」
「一週間かそこら…いや、四、五日くらい前だったかな。
山の方へ飛んでったぜ。
……あんた、フクロウを探してるのか?」
「まぁな…そっか、山の方に飛んでったのか。」
思わぬところで良い情報を聞きこむことが出来た。
しかし、やはりあの崖で手間取ったせいか、アレクシスとの間には数日の差が出来てしまったようだ。
行き先が山だとなると、また時間がかかる。
アレクシスを捕まえるのは本当に大変なことだ。
「もしかしたら、魔女に捕まってるんじゃないか?」
「魔女…?この近くの山に魔女がいるのか?」
「あぁ…魔女はフクロウを使い魔にするという。
特に、白いフクロウを気に入ってるって聞いたことがあるぞ。」
その噂は俺も聞いたことがあった。
現にこないだ会ったサンドラばあさんも、アレクシスを捕まえようとしたと言っていた。
「その魔女の家はどこなんだ?」
「それなら…」
男は、魔女の住処を教えてくれた。
「かんぱーい!」
久しぶりの酒はやはり良い。
今までは、ユリウスの手前も考え、飲みに行くこともなかったが、思い切って出てきて良かったと思った。
少し飲むと気分が良くなり、周りの者たちともすぐに打ち解けて、グラスを合わせた。
アランは、あまり酒が好きではないらしく、浮かない顔でなめるようにちびちびと飲んでいた。
「あんた、旅でもしてるのか?」
真っ赤な顔をしたひげもじゃの男が、親し気に声をかけてきた。
アランは疎まし気な目つきで、男を睨み付ける。
「まぁな。」
「どこに行くんだ?」
「どこって…特に行き先が決まってるわけじゃないんだ。
あ、そういえば、あんた達、このあたりで白いフクロウを見なかったかい?」
「白いフクロウ…?」
「あ!俺、見たぞ!」
鼻の頭を赤くした、はげちゃびんの男が手を挙げた。
「見たのか?白いフクロウを…」
「あぁ…何日か前に、見た。」
「本当か?それは何日前だったんだ?
どっちに飛んでった?」
「一週間かそこら…いや、四、五日くらい前だったかな。
山の方へ飛んでったぜ。
……あんた、フクロウを探してるのか?」
「まぁな…そっか、山の方に飛んでったのか。」
思わぬところで良い情報を聞きこむことが出来た。
しかし、やはりあの崖で手間取ったせいか、アレクシスとの間には数日の差が出来てしまったようだ。
行き先が山だとなると、また時間がかかる。
アレクシスを捕まえるのは本当に大変なことだ。
「もしかしたら、魔女に捕まってるんじゃないか?」
「魔女…?この近くの山に魔女がいるのか?」
「あぁ…魔女はフクロウを使い魔にするという。
特に、白いフクロウを気に入ってるって聞いたことがあるぞ。」
その噂は俺も聞いたことがあった。
現にこないだ会ったサンドラばあさんも、アレクシスを捕まえようとしたと言っていた。
「その魔女の家はどこなんだ?」
「それなら…」
男は、魔女の住処を教えてくれた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~
乃神レンガ
ファンタジー
謎の白い空間で、神から異世界に送られることになった主人公。
二重取りの神授スキルを与えられ、その効果により追加でカード召喚術の神授スキルを手に入れる。
更にキャラクターメイキングのポイントも、二重取りによって他の人よりも倍手に入れることができた。
それにより主人公は、本来ポイント不足で選択できないデミゴッドの種族を選び、ジンという名前で異世界へと降り立つ。
異世界でジンは倒したモンスターをカード化して、最強の軍団を作ることを目標に、世界を放浪し始めた。
しかし次第に世界のルールを知り、争いへと巻き込まれていく。
国境門が数カ月に一度ランダムに他国と繋がる世界で、ジンは様々な選択を迫られるのであった。
果たしてジンの行きつく先は魔王か神か、それとも別の何かであろうか。
現在毎日更新中。
※この作品は『カクヨム』『ノベルアップ+』にも投稿されています。
君を愛することは無いと言うのならさっさと離婚して頂けますか
砂礫レキ
恋愛
十九歳のマリアンは、かなり年上だが美男子のフェリクスに一目惚れをした。
そして公爵である父に頼み伯爵の彼と去年結婚したのだ。
しかし彼は妻を愛することは無いと毎日宣言し、マリアンは泣きながら暮らしていた。
ある日転んだことが切っ掛けでマリアンは自分が二十五歳の日本人女性だった記憶を取り戻す。
そして三十歳になるフェリクスが今まで独身だったことも含め、彼を地雷男だと認識した。
「君を愛することはない」「いちいち言わなくて結構ですよ、それより離婚して頂けます?」
別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。しかしこれは反撃の始まりに過ぎなかった。
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
約束の虹は8色に輝いて
鐘雪花(かねゆきはな)
ファンタジー
モンド大陸の東に位置する大国、スパイス帝国。
宮殿の剣士団に所属する少年ターメリックは、友情を司る女神クリスタンを崇拝するクリスタン教信者だったが、クリスタン教については知らないことばかりだった。
そんな中、スパイス帝国内で皇帝が暗殺され、暗殺者が世界戦争を宣言したことにより、世界に災厄をもたらすと云われる「竜の王イゾリータ」の封印に綻びが生じ始めた。
実は、それらはすべてクリスタン神話の「予言の書」に書かれていることであった。
クリスタン神話が史実そのものを記録し、未来を予言しているものと知ったターメリックは、かつて竜の王イゾリータを封印したという、自らの意志を持つ「伝説の剣」に持ち主として選ばれる。
伝説の剣は、ターメリックの持つ「真実の剣」を含めて全部で7振り。
ターメリックは、友情の女神クリスタンに導かれ、残りの剣に選ばれし仲間を探す旅に出る。
仲間とともに、再び竜の王イゾリータを封印するために……
※この作品は「小説家になろう」にて発表当時版(2016年版とも言う)を連載していました(こちらは完結済みです)。
とんでもなく駆け足で話が進んでいくので、あまりオススメはできませんが「早くサクサク読みたい!」という方がいらっしゃいましたら「小説家になろう」で探してみてください。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる