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惑わしの森

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苛々する毎日を、どうにかこうにか乗り越えて…
俺達は、相変わらず、アレクシスの足跡だけを追っていた。



そんなある日、俺は気付いたんだ。
アレクシスの進んでる先に、厄介な場所があることに…



「困ったな…」

「何が困ったのだ?」

「実は、な…」



俺は、立ち止まり、地図を広げた。




「いいか、俺達は今ここにいる。
三日前はここだった。」

「そんなことは言われなくともわかっている。」

「話はまだ途中だ。
アレクシスは、ずっとこの方向に進んでいる…
そうなるとだな…そろそろこのあたりに行くんじゃないかって思うんだ。」

そう言いながら、俺は地図の一点を指差した。



「そうだな。確かに途中で方向転換をしなければこのあたりに行くだろう。
それがどうかしたのか?」



(これだから、素人は困る…)



素人もなにも、こいつはエルフなんだから知らなくても当然なんだけど…



「このあたりには厄介なものがあるんだ。」

「なにがあるというんだ?」

「惑わしの森と呼ばれる場所だ。
大昔、魔女が惑わしの術をかけたとかいう言い伝えがある、いわく付きの森なんだ。
サンドラ婆さんの住む森程広くはないというのに、そこに一度入ったら出られなくなって命を落とす者が続出してるんだ。
そこにはお宝が眠っているという噂もあるが、死んじまったら元も子もねぇからな。
俺達、トレジャー・ハンターでも、近付くことがない魔の森なんだ。」


俺の話を聞いたユリウスは恐れるどころか、ふんと鼻で笑いやがった。



「なんで笑うんだ!」

「笑いたくもなる。
私を誰だと思っているんだ?
エルフだぞ。
我々は深い森の中で暮らしている。
自然と心が通うのだな。
森で迷うエルフなど、いまだかつて聞いたことがない。」

「えっ、そうなのか!?
で、でも…そこで今までに数えきれない程の人間が…」

「人間とエルフを一緒にするな。」

「……くっ。」

なんだ、なんだ、偉そうに…!?
奴は勝ち誇ったように微笑んでいた。
畜生、まったく腹が立つ!
でも、本当に奴の言う通りだとしたら…



(俺は、今まで探せなかったお宝を見つけ出すことが出来るかもしれない…!)



そう思うと、トレジャー・ハンターの血が騒いだ。
俺は、全身の血が沸々とわき上がるような、激しい興奮を覚えた。
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