墜ちて来た天使たち

６

そんなある日…
いつも元気な彼女が突然体調を崩した。
それはさほど深刻な症状ではなく、このところ僕達は時間さえあれば会っていたし、結婚に向けて何かと忙しかったからそのせいだと二人共そう思っていた。

ところが、彼女の体調はなかなか回復しないどころか、どんどん悪くなっていった。
それも、信じられないようなスピードで…
僕は、彼女を診察したが、これといった異常はみつからず、しかし、明らかに彼女が病気に冒されている事だけははっきりとわかった。
 僕は町の大きな病院に行こうと彼女を説得したが、彼女はなんともないと言い張り、病院に行くのを拒んだ。
それから一月もした頃、僕はついに彼女の胃に異物があることを発見した。
 先月の触診ではわからなかったものがこんなに大きくなっている…
それは腫瘍の進行が恐ろしく早いということだ。
 僕は彼女と喧嘩をしながらも、無理矢理に町の大きな病院に連れて行った。
そこで、宣告されたのは彼女の命がもうあまり長くは残されていないという残酷な言葉だった。
 現代の医学ではこの病は治らない。
 何でも好きなことをさせ、痛みを出来るだけ感じないようにしてやるようにと言われた。

 僕にはまだそのことが信じられず…
頭の中はすっかり混乱しきっていた。
きっと、何か方法があるはずだ。
マリアが死ぬはずなんてない。
マリアはまだ若いし、僕達はこれから結婚して幸せになるんだから…
僕はそんな考えにしがみついた。