2 / 14
1
しおりを挟む
*
「う……うぅん……」
「気がついた!?」
「……あなたは……ここは……あ!リタ!」
ゆっくりと頭を巡らせた幼い少年は、隣のベッドで眠る少女をみつけて声を上げた。
少年にとてもよく似た顔をした少女は、深い眠りに落ちたまままだ目を覚ます気配がない。
「……大丈夫だよ。
心配ない。
すぐにその子も目を覚ますからね。」
僕がそう言うと、少年はゆっくりと僕の方に顔を向け……そのままじっとみつめた。
「……もしかして……神様?」
「え………」
心臓が跳ねあがるような気がした。
違うことはわかっている。
だけど、その言葉は、まるで僕のことを見透かしているようで……
「……違うよ。
僕はただの人間だ。
そう……ただの医者だよ。」
「じゃあ、僕達また……」
少年はそう言うと唇を噛み締め、その青い瞳からは丸い涙がぽろぽろと溢れ出した。
しっかりとシーツを掴んだその手は、小刻みに震えている。
彼が何を恐れているのかは、想像するに難くない。
それを見た時、僕の心に残っていたほんの少しの迷いは消えた。
「そうじゃない…
もう、あそこへは戻らないんだよ。
あれは、全部夢だったんだ。
ずいぶんと怖い夢だったけど……もう大丈夫だ。
君はもうあの夢から解放された。
これからは怖いことなんて何もない。
リタだって、すぐにそうなるよ…」
「…………ゆめ…?」
少年が、僕を見上げた。
潤んだ青い瞳をまっすぐに向けて…
「う……うぅん……」
「気がついた!?」
「……あなたは……ここは……あ!リタ!」
ゆっくりと頭を巡らせた幼い少年は、隣のベッドで眠る少女をみつけて声を上げた。
少年にとてもよく似た顔をした少女は、深い眠りに落ちたまままだ目を覚ます気配がない。
「……大丈夫だよ。
心配ない。
すぐにその子も目を覚ますからね。」
僕がそう言うと、少年はゆっくりと僕の方に顔を向け……そのままじっとみつめた。
「……もしかして……神様?」
「え………」
心臓が跳ねあがるような気がした。
違うことはわかっている。
だけど、その言葉は、まるで僕のことを見透かしているようで……
「……違うよ。
僕はただの人間だ。
そう……ただの医者だよ。」
「じゃあ、僕達また……」
少年はそう言うと唇を噛み締め、その青い瞳からは丸い涙がぽろぽろと溢れ出した。
しっかりとシーツを掴んだその手は、小刻みに震えている。
彼が何を恐れているのかは、想像するに難くない。
それを見た時、僕の心に残っていたほんの少しの迷いは消えた。
「そうじゃない…
もう、あそこへは戻らないんだよ。
あれは、全部夢だったんだ。
ずいぶんと怖い夢だったけど……もう大丈夫だ。
君はもうあの夢から解放された。
これからは怖いことなんて何もない。
リタだって、すぐにそうなるよ…」
「…………ゆめ…?」
少年が、僕を見上げた。
潤んだ青い瞳をまっすぐに向けて…
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
【ショートショート】雨のおはなし
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……
紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz
徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ!
望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。
刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる