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(神様、どうか…どうか、マリアが元気になりますように…)



両手を組み、一心に祈りながらも、アンソニーはその願いが望みの薄いものだということに気付いていた。



(マリア…)



ついさっき会ったばかりのマリアの顔が、アンソニーの脳裏に映し出される。
薄暗い病室のベッドに横たわり、まぶたを開くことさえ辛そうなマリアの顔が…



(なぜ、マリアが…
素直で無邪気で親切で、誰からも好かれるあのマリアが、どうしてあんな病に…)



込み上げる憤りに、アンソニーは唇をきつく噛んだ。



元気だった彼女が、体調が悪いと言い出したのは、一年近く前のことだった。
その時は誰もそれほど深刻なことは考えてはいなかった。
 季節の変わり目で、少し体調を崩したのだろう…その程度の認識だった。
しかし、マリアの体調は少しも良くならないばかりか、日を追うごとに悪化していったのだ。

半年も経った頃には、もうベッドから離れることは出来なくなっていた。



マリアの恋人だったアンソニーは、毎日欠かさず彼女を見舞った。
いつも、小さな花束を手にして、暇さえあればマリアの元を訪れた。
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