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「新婦・立川博人、あなたはここにいる増田朱音を
病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか? 」
「はい、誓います。」
日曜日になり、俺達は朱音の実家近くの教会で、めでたく結婚式を挙げた。
純白のウェディングドレスを着た朱音は、いつもとは別人のように美しくたおやかで、あらためて惚れ直す程だった。
安いものだけど指輪も準備した。
婚姻届けにも記入した。
ただ…それは、すぐには出さないように頼んだ。
今日、もしも俺が死んでしまったら…
彼女は、結婚と同時に未亡人になってしまうからだ。
彼女は、俺のそんな気持ちに気付くはずもなく、とても満ち足りた、嬉しそうな顔をしていた。
こんなに喜んでくれるのなら、やはりもっと早くに結婚すれば良かった…
心底、そう思った。
結婚なんてしたら却って彼女に辛い想いをさせてしまうのではないか…
そんな風に思ったこともあったけど、彼女の弾けるような笑顔を見ていたら、これで良かったんだという気持ちになれた。
「修ちゃん…今夜はずっと一緒にいようね。」
「いや、それは……」
言いかけて、思い直した。
俺の身に何事かが起きるとしたら、傍にいては朱音も危険なのではないかと思ったのだけど、家の中にいたとしたら、きっとなんらかの病気のはずだ。
間違っても死因は、事故だったり、事件ではないと思える。
それに…一人っきりで死んでしまうよりは、朱音が傍にいてくれた方が心強い。
すごく自分勝手な考えだけど…
「……うん、ずっと一緒にいよう。」
俺は深く頷いた。
「新婦・立川博人、あなたはここにいる増田朱音を
病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか? 」
「はい、誓います。」
日曜日になり、俺達は朱音の実家近くの教会で、めでたく結婚式を挙げた。
純白のウェディングドレスを着た朱音は、いつもとは別人のように美しくたおやかで、あらためて惚れ直す程だった。
安いものだけど指輪も準備した。
婚姻届けにも記入した。
ただ…それは、すぐには出さないように頼んだ。
今日、もしも俺が死んでしまったら…
彼女は、結婚と同時に未亡人になってしまうからだ。
彼女は、俺のそんな気持ちに気付くはずもなく、とても満ち足りた、嬉しそうな顔をしていた。
こんなに喜んでくれるのなら、やはりもっと早くに結婚すれば良かった…
心底、そう思った。
結婚なんてしたら却って彼女に辛い想いをさせてしまうのではないか…
そんな風に思ったこともあったけど、彼女の弾けるような笑顔を見ていたら、これで良かったんだという気持ちになれた。
「修ちゃん…今夜はずっと一緒にいようね。」
「いや、それは……」
言いかけて、思い直した。
俺の身に何事かが起きるとしたら、傍にいては朱音も危険なのではないかと思ったのだけど、家の中にいたとしたら、きっとなんらかの病気のはずだ。
間違っても死因は、事故だったり、事件ではないと思える。
それに…一人っきりで死んでしまうよりは、朱音が傍にいてくれた方が心強い。
すごく自分勝手な考えだけど…
「……うん、ずっと一緒にいよう。」
俺は深く頷いた。
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