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side アラステア

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「アラステア、どうするつもりなの?
彼に私のことを話すの?」

僕はゆっくりと首を振る。



「言った所で、彼は信じてくれないよ。
なんせ、彼は生真面目な人だからね。」

「それじゃあ……」

「きっと僕は、新しいお医者に連れて行かれるだろうね。
この部屋には出入りさせてもらえなくなるかもしれないし、そうじゃなけりゃこの鏡を処分されるかもしれない。」

「そんな……」

「……大丈夫だよ。心配しないで…」



それは、賭けにも等しいものだった。
僕は自分でもスコットと同じようなことを考えることがあった。
僕が現実だと思っているものは、本当は実態のないただの妄想なのかもしれないと……
フィリスなんて、本当はどこにもいないのかもしれないと。



その度に、僕はそんな考えを必死に打ち消した。
彼女は妄想なんかじゃない。
いや…妄想だってなんだって良いんだ。
どうか、僕から彼女を奪わないで…!



(君のことは誰よりも信頼してたのに……)



僕は、彼女と絶対に離れない。



「フィリス……離れて。」

「アラステア……何をするつもりなの!?」



「僕はもう決めたんだ……」



僕は、鏡から離れ、大きく息を吸い込むと、助走をつけて全速力で走り出した。



フィリスがただの妄想ならば、僕は鏡の破片に貫かれ、血みどろになって死ぬだろう。
でも、そうでなければ……



ぶつかる!!



そう思った瞬間、僕は薄暗い冷え冷えとした部屋に転がっていた。
転がった時に打ったのか、足に痛みは感じたけれど、血は一滴も流れていなかった。



「あっ!」

鏡の向こうに、見慣れた光景が広がっていた。
さっきまで僕のいたあの部屋だ。



「ずいぶんと思い切ったことを……」

背中から聞こえた低い声に、僕は後ろを振り向いた。
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