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side アラステア
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*
「アラステア……どうしたの!?」
「フィリス……」
その晩、僕は久しぶりに彼女の元を訪ねた。
フィリスにはスコットが来てる間は会えないと言っておいたけど、今日はどうしても会いたくてたまらなくなって、その気持ちを抑えることが出来なかった。
彼女の顔を見るだけで、僕はどれほど癒されることか……
僕は、スコットの話をフィリスに話して聞かせた。
余計な心配はかけたくなかったから、当り障りのないことばかりを……
そんな他愛のない会話でも、彼女と話すと胸が弾む。
「あなたは本当にスコットのことが好きなのね。」
「あぁ、好きだよ。
彼ほど信頼出来る人はいない。」
次の日も…そのまた次の日も、僕はフィリスの元を訪ねた。
それはとても楽しいひと時だったけど、そんなことをしていて、僕のひ弱な身体がもつはずがない。
睡眠不足が祟って、僕はついに倒れてしまった。
(こんなことになることはわかっていた。
だから、彼が来ている間はフィリスには会わないと決めていたのに……)
後悔してももう遅い。
いつもの診療所に運ばれ、どうにも情けない気持ちで手当てを受けて、僕は屋敷に戻った。
こんなことになったのだから、今夜こそはもう行かないと決めていたのに、いつもの時間になると僕は部屋でじっとしてられなくなって……
*
「そうなの?それは楽しかったでしょうね。」
「あの風景をいつか君にも見せてあげたいよ。」
倒れたことは彼女には言わなかった。
ひ弱な人間だと思われたくなかったから……
僕は診療所の風景のことを少し大げさに話して聞かせた。
いつもと同じ…他愛ない会話を交わすだけだけど、僕にとっては最高に幸せな時間……
それを突然の騒音が打ち破った。
「アラステア、僕だ、スコットだ!
ここを開けてくれ!
アラステア…お願いだ!!
開けてくれ!」
「スコット…どうしてここに…!?あっ……」
わけもわからず扉の前に立ち尽くす僕は、突然、スコットに抱きしめられた。
「アラステア……どうしたの!?」
「フィリス……」
その晩、僕は久しぶりに彼女の元を訪ねた。
フィリスにはスコットが来てる間は会えないと言っておいたけど、今日はどうしても会いたくてたまらなくなって、その気持ちを抑えることが出来なかった。
彼女の顔を見るだけで、僕はどれほど癒されることか……
僕は、スコットの話をフィリスに話して聞かせた。
余計な心配はかけたくなかったから、当り障りのないことばかりを……
そんな他愛のない会話でも、彼女と話すと胸が弾む。
「あなたは本当にスコットのことが好きなのね。」
「あぁ、好きだよ。
彼ほど信頼出来る人はいない。」
次の日も…そのまた次の日も、僕はフィリスの元を訪ねた。
それはとても楽しいひと時だったけど、そんなことをしていて、僕のひ弱な身体がもつはずがない。
睡眠不足が祟って、僕はついに倒れてしまった。
(こんなことになることはわかっていた。
だから、彼が来ている間はフィリスには会わないと決めていたのに……)
後悔してももう遅い。
いつもの診療所に運ばれ、どうにも情けない気持ちで手当てを受けて、僕は屋敷に戻った。
こんなことになったのだから、今夜こそはもう行かないと決めていたのに、いつもの時間になると僕は部屋でじっとしてられなくなって……
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「そうなの?それは楽しかったでしょうね。」
「あの風景をいつか君にも見せてあげたいよ。」
倒れたことは彼女には言わなかった。
ひ弱な人間だと思われたくなかったから……
僕は診療所の風景のことを少し大げさに話して聞かせた。
いつもと同じ…他愛ない会話を交わすだけだけど、僕にとっては最高に幸せな時間……
それを突然の騒音が打ち破った。
「アラステア、僕だ、スコットだ!
ここを開けてくれ!
アラステア…お願いだ!!
開けてくれ!」
「スコット…どうしてここに…!?あっ……」
わけもわからず扉の前に立ち尽くす僕は、突然、スコットに抱きしめられた。
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