14 / 42
14
しおりを挟む
現国王が即位してから、兵士達への訓練が強化されました。
フォモールに攻めて来る者等誰もいないというのに、何をやっているのだろうと、アーサーは国王のすることを苦々しく感じていました。
ですが、国王は、その頃から地上に出ることを真剣に考えていたのです。
アーサーの胸は痛みました。
元々、このフォモールは、ローランド王国の騎士や学者が大空洞を発見し、住みついたのが始まりだと言われています。
つまり、ローランドの民は、同胞です。
争うことが嫌いな上に、同胞と剣を交えるなんて、アーサーにはとても納得出来ることではありませんでした。
「アーサー、わかっただろう?
これは神からの啓示だ。
地上へ出るようにとの思し召しなのだ。」
「で、ですが…どうやって地上に出るおつもりですか?
地上への階段は、王家の者以外の立ち入りを禁止されております。」
「そんなことなら心配はいらぬ。
我が国にはディモスがいるからな。」
ディモスというのは、巨大なモグラのことです。
アーサーはまだ見たことがありませんが、人間の何十倍もの大きさがあるモグラだということは耳にしていました。
凶暴な面もありますが、たいそう頭も良く、ディモス使いの言う事を良く聞くという噂でした。
(大変だ…ディモスならきっとすぐに地上への道を掘ってしまうだろう。
急がなくては…!)
アーサーは決心しました。
フォモールに攻めて来る者等誰もいないというのに、何をやっているのだろうと、アーサーは国王のすることを苦々しく感じていました。
ですが、国王は、その頃から地上に出ることを真剣に考えていたのです。
アーサーの胸は痛みました。
元々、このフォモールは、ローランド王国の騎士や学者が大空洞を発見し、住みついたのが始まりだと言われています。
つまり、ローランドの民は、同胞です。
争うことが嫌いな上に、同胞と剣を交えるなんて、アーサーにはとても納得出来ることではありませんでした。
「アーサー、わかっただろう?
これは神からの啓示だ。
地上へ出るようにとの思し召しなのだ。」
「で、ですが…どうやって地上に出るおつもりですか?
地上への階段は、王家の者以外の立ち入りを禁止されております。」
「そんなことなら心配はいらぬ。
我が国にはディモスがいるからな。」
ディモスというのは、巨大なモグラのことです。
アーサーはまだ見たことがありませんが、人間の何十倍もの大きさがあるモグラだということは耳にしていました。
凶暴な面もありますが、たいそう頭も良く、ディモス使いの言う事を良く聞くという噂でした。
(大変だ…ディモスならきっとすぐに地上への道を掘ってしまうだろう。
急がなくては…!)
アーサーは決心しました。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
悲恋を気取った侯爵夫人の末路
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵夫人のプリシアは、貴族令嬢と騎士の悲恋を描いた有名なロマンス小説のモデルとして持て囃されていた。
順風満帆だった彼女の人生は、ある日突然に終わりを告げる。
悲恋のヒロインを気取っていた彼女が犯した過ちとは──?
カクヨムにも公開してます。
夫が正室の子である妹と浮気していただけで、なんで私が悪者みたいに言われないといけないんですか?
ヘロディア
恋愛
側室の子である主人公は、正室の子である妹に比べ、あまり愛情を受けられなかったまま、高い身分の貴族の男性に嫁がされた。
妹はプライドが高く、自分を見下してばかりだった。
そこで夫を愛することに決めた矢先、夫の浮気現場に立ち会ってしまう。そしてその相手は他ならぬ妹であった…
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる