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現国王が即位してから、兵士達への訓練が強化されました。
フォモールに攻めて来る者等誰もいないというのに、何をやっているのだろうと、アーサーは国王のすることを苦々しく感じていました。
ですが、国王は、その頃から地上に出ることを真剣に考えていたのです。



アーサーの胸は痛みました。
 元々、このフォモールは、ローランド王国の騎士や学者が大空洞を発見し、住みついたのが始まりだと言われています。
つまり、ローランドの民は、同胞です。
 争うことが嫌いな上に、同胞と剣を交えるなんて、アーサーにはとても納得出来ることではありませんでした。



 「アーサー、わかっただろう?
これは神からの啓示だ。
 地上へ出るようにとの思し召しなのだ。」

 「で、ですが…どうやって地上に出るおつもりですか?
 地上への階段は、王家の者以外の立ち入りを禁止されております。」

 「そんなことなら心配はいらぬ。
 我が国にはディモスがいるからな。」



ディモスというのは、巨大なモグラのことです。
アーサーはまだ見たことがありませんが、人間の何十倍もの大きさがあるモグラだということは耳にしていました。
 凶暴な面もありますが、たいそう頭も良く、ディモス使いの言う事を良く聞くという噂でした。



 (大変だ…ディモスならきっとすぐに地上への道を掘ってしまうだろう。
 急がなくては…!)



アーサーは決心しました。

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