冬のお花見

そして……

１

＊



 「わぁ、これ、すっごく可愛いじゃない！
 私にちょうだい！」

 「いやよ、欲しいなら、あんたもドンドンまで買いに行けば？」

 「なによ、ケチ！」



 妹は次の日には熱も下がり、すっかり元気になっていた。
 私がドンドンで買って来た雑貨やお菓子を必死になってあさってる。



ちっちゃいおっさんの花見…いや、花は咲いてなかったから宴…に、ついては、迷ったけどやっぱり話さなかった。
だって、話したら、流れで私の部屋のちっちゃいおっさんのことも話さなきゃならないし、そんなことしたら、妹のことだもん。
 絶対に見に来る…！
いや、捕まえるとか言い出すかもしれないもん。
そんなことはしたくないから。




そして、あれから二週間とちょっとが過ぎたある日…何事もなかったかのように、ちっちゃいおっさんが私の部屋に現れた。



 （やっぱり……）



 思った通り、宴が終わったら、おっさんは私の部屋に戻って来た。
きっと、他のおっさん達もそれぞれの家に戻ったんだろうと思う。



 （それにしても、あのお侍さんは何なんだ？
コスプレか？）



いまだに正体のわからないちっちゃいおっさん……
まだ誰にも話していない私だけの秘密……



（いつか、話せる日は来るのかな？）



おいもにかぶりつくおっさんの後姿を薄目で見ながら、私は穏やかな気持ちで微笑んだ。



 ～fin.