冬のお花見

いつの間に…！？

１

＊



 「わぁ！」

 私は、コンビニの少し手前で明々と灯る看板に、思わず声を上げた。
 一体、いつの間に…？
ここって、前はなにがあったんだっけ？
あ、確か、なんだか空き家っぽいのがあって、営業してるんだかしてないんだかわからないお店と……
後はよく思い出せないけど、とにかくそこが大型のバラエティショップに変わってた。
うぉぉぉ～！テンション上がるんですけど～～！！
とりあえず、これはもう入らないわけにはいかない！
 私は、さながら灯りに吸い寄せられる虫のように、店の中に入って行った。



 （ははは、なんだ、これ！？）



 楽しい、楽しい！
 店の中は、実用的なものから、こんなのいつ誰が使うんだってものまで、それもすごい数の商品があって、全然見飽きない。



 （これも買っとこう！あ、これもいる！）

このあたりではなかなか手に入らないようなものもあるから、とにかく楽しくって……



そんな中、携帯の着信音が鳴った。
 表示されてるのは家の電話番号。



 「お母さん、何？」

 「何って…美和子、どうかしたの？
あんまり遅いから……」

 「え……？」

 考えてもなかったことを言われて、ふと壁を見渡すと……
そこに掛けてあった時計の時刻は、もう０時を過ぎていた。



 「わ、もうこんな時間！？
あのね、コンビニの傍にドンドンが出来てたのよ。
ほら、いろんなものが安くで売ってるお店……
それで、ちょっと見てたらいつの間にか時間が過ぎてて……
今から大急ぎで帰る！
ごめんね！」

 時を忘れるとはまさにこのことだ。
 一時間以上も買い物に熱中してたとは……
私は、慌ててレジに行き、コンビニでプリンを買うことも忘れずに、ようやく家路に着いた。