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居間に戻ると、早乙女さんはキッチンで調理中で、今日もまた雨男が一緒にキッチンに立っていた。



 雨男は、なんだか、すごく楽しそうだ。
 目なんかキラキラしてて……
料理に興味でも出て来たんだろうか?
まぁ、なんでもいいさ。
 雨男が楽しいならそれで……







 「わぁ、肉だ!焼肉だぁ!
どうしたの?これ……」

 「あの、家にあったのを持って来たんです。」

 「そうなんだ。
 冷凍してあったの?」

 「は、はい、まぁ……」



 皆、肉は大好きだからありがたいけど…
あれ?



 「あれ?
 龍之介の肉、ずいぶん多くない?」

 俺が気付いたことをバーバラが質問した。



 「そ、それは…勉強するにはかなりのカロリーが必要ですし…あ、肉ならまだありますから…」

 「へぇぇぇ…カロリーねぇ…」

 皆の視線が、龍之介の肉に集まった時、何者かがサッシを叩く音がした。
カーテン越しに見えるのは、うっすらとした緑色……



ま、まずい…!



 俺がそう思った時、すでに雨男が立ち上り、
カーテンをさっと引いた。
そこにいたのは、予想通り、あの河童男で……



早乙女さんは、細い目を懸命に見開いて河童男を凝視している。



 俺の焦りをよそに、雨男は鍵を開け、河童男は平然と入って来る。



 「おぉ、肉じゃないか!」

 河童男は、俺の隣に腰をおろした。



 「箸くれよ。」

 「は、はいっ!」

どこかひきつった顔をして、早乙女さんが立ち上った。
 俺も、それに続いて立ち上がり、早乙女さんの傍に向かった。



 「早乙女さん、ちょっと変な人だけど気にしないで。
あの人、河童のコスプレが好きなんだ。」

 「そ、そうですか。
あの人が河童さんだったんですね。
 私、大家さんのことかと思ってました。」




……ん?
なんで、大家さんが?



あ、そっか…大家さんのご主人は頭がその、あれだから…
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