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28(早乙女side)

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 (良かった……)



 皆さん、新しい家をとても気に入って下さってるようだ。
 私も頑張った甲斐があったというもの…
実際、今回の仕事はとても楽しかった。
このお宅の仕事だってことも当然あるけど…認めたくないけれど、私にはこの仕事が向いてるんだろうなって思う。



それにしても私にここまでの実行力があるなんて、ちょっとびっくりだ。
これが良い結果に出るのか悪い結果に出るのかは、まだわからないことだけど…
でも、そんなことはどうでも良いことだわ。
ここまでやれたってことが、きっと意味のあることなんだから……



そんなことを考えてると、なぜだか昔の事が思い出された。



このあたりでは、知らない人のいない早乙女建設の社長の四女として生まれ、確かに不自由のない生活を過ごしていたけど、幸せだなんて思ったことはなかった。
 私は今と同じくブスで、愛嬌も良くないから友達も少なくて…
悲しいことに、我が家族は、皆、似たような顔をしている。
なんでも、見てくれの悪い者の方が真面目で良く働く…とか考えてる先祖がいたらしく、うちはそういう外見の人達で構成されて来た。
だから、私がこんなブスになるのも当然の話。
でも、そのおかげで私の人生は暗かった。
 姉妹達の中でも一番暗い人生を歩んできた。
それというのも、私には幸か不幸か先祖代々の建築の才能が色濃く受け継がれていたから。
 本当なら、父は私に跡を継がせたいのだろうけど、姉たちの手前もある。
だから、いざという時のために、とりあえず、一級建築士の資格だけは取るようにと…それさえ出来れば後はなんでも自由にして良いという約束をさせられた。
 私は一刻も早く自由になりたくて、中学を卒業すると高専に入学した。
 学校で唯一の女子だというのに、少しもモテなかったどころか、女扱いさえされない日々…
やがて実地経験を積んだ私は、試験に挑み、無事にその資格を取得した。
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