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「とてもじゃないけど無理だ。
 引き返そう…」



エリックとアデリナはブロッケン山に入りました。
 険しい山道をなんとか進んで行きましたが、深い谷に出たところで、どうにも先にすすめなくなりました。



 「……そうね。ここを登るのは確かに無理だわ。あっ!」



 突然、アデリナがエリックの腕を引っ張り、背を低くして物陰に隠れました。



 「なんだよ、急に…」

 「あれ…」



アデリナが指さす先には、アデリナの父親ジェームスがいました。



 「なんだっておじさんがこんな所に!?」

 「しっ!」



ふたりは物陰から様子を見守りました。
ジェームスはあたりを見渡し、木の茂みに隠されたロープを手繰りました。
すると、はしごのような物が上から降りて来ました。



 「あんな所にはしごが…」



ジェームスがはしごを登ったのを見て、アデリナとエリックもその後に続きました。
ジェームスは慣れた様子で、細い道を歩いて行きました。
ふたりもこっそりとその後をつけていきました。
 道の先には洞窟がぽっかりと大きな口を開けており、その手前には、見たこともない木の実のなった木が一本有りました。
 赤くて瑞々しくて、とても美味しそうな木の実です。



ジェームスは、洞窟の中に入って行き、二人も息を潜め、その後に続きました。
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