同じ日に生まれて

２８

「本当にすまなかった……君には申し訳ないことをしたと思ってる。
このまま帰るつもりだったが、君のお父上に会って考えが変わった。
 血の繋がりがなくとも、愛情があればそんなものは関係ないんだと気付いたんだ。
……だから、君もぜひオリヴィエに会ってくれ。
ずっと会いたかったんだろう？
それを機に、私達もあの子には本当のことを話そうと思う。
……あの子はきっとわかってくれる。」

 「……そんな……」

 「……どうかしたのかね？」

 「ぼ…僕は、そんなことは知らないから……」

 僕は、混乱した。
 取り返しのないことをしてしまったという想いが、僕の心を苦しめた。。



 「僕は……会えません……ダニエルにはもう……」

 込み上げる涙をこらえながら、それだけ言うのが精一杯で……



「何を言ってるんだ。
 何も心配はいらない。
これからは君達の援助もするつもりだ。
そうだ…良かったら君達も一緒にアリエラに来ないか？」




 （アリエラ……）



 父さんはきっと喜ぶだろう。
ローランドさんの力を借りて、小さな店でも出せたら、父さんはきっと立ち直れる。
そして、僕達はまた昔のような親子に戻れる。

エリーズのことは正直に話して、皆に謝ろう。
すぐには許してもらえないかもしれないけれど、それは当然のことだ。
ただ…虫の良い話かもしれないけど、アリエラに行くことだけはなんとかしてもらって、父さんの夢だけはなんとか叶えたい…！
だから、ローランドさんにお願いしよう。
 心の底から、一生懸命に……！



 「カミーユ…まずは、オリヴィエに会ってくれ。」


 僕は、促されるままに、ローランドさんの屋敷に向かった。