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本編 第三部 〜乙女はアカデミーにて〜
決闘の行方 ・・・2
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「フ、フローラ?!・・・馬鹿!早く下がるんだ!!」
私に気付いたお兄様は慌てて立ち上がると、私の肩に手をかけた。
必死の形相で私に下がる様に言って来たが・・・私は微動だにせず、視線の方向を変えなかった。
「下がりません!!真剣勝負に横槍を入れる輩を成敗するまで・・・絶対に下りません!!」
「横・・・槍・・・?!どういう事だ・・・?」
私の発言に誰よりも驚いている殿下は・・・肩で息をしながらも周りを見渡し、ようやくギャラリーの存在に気付いた様子だった。
「良いんだよ・・・フローラ。この状況で僕が勝った所で誰も喜ばないから・・・」
「計・・・算・・・だったとでも言うのか?俺がこんなに満身創痍だったと言うのに・・・。」
「すみません・・・会長。」
お兄様の言葉に殿下も怒りを隠せない様子である。
当たり前だ・・・自分は本気で臨んでいたと言うのに、気付かぬ内に手を抜かれ、おまけにわざと負けようとしていたのだから。
思わずお兄様も顔を俯かせ謝罪の弁を述べるがーーー・・・私の怒りは収まらなかった。
「私の為に勝つと仰ったでは有りませんか!!!!」
私の叫びにも似た檄に思わず苦悶の表情を浮かべるお兄様は・・・反論は愚か顔すら上げてくれない。
その煮え切らない態度にほとほと呆れ果てた私は・・・一先ず、殿下が使っていた模造刀を拾い上げると
先ほどお兄様の模造刀を蹴り飛ばした男子生徒の方へと歩みを進める。
背後から殿下が「フローラ!何処へ行くのだ!」と叫んでいる声が聞こえたが、敢えて無視をした。
「先ずは貴方からです!!私と勝負しなさい!!」
そう高らかに叫んだ私は、男子生徒に剣先を向けると・・・拾い上げた模造刀を男子生徒の足元に放り投げた。
「な、何の事だ・・・!言いがかりはよしてくれ・・・!」
男子生徒は少し焦ったものの・・・私の事を見縊っているのか、それとも性根が腐っているのか・・・開き直った様子でヘラヘラとそう答えている。
「吠えなくて良いから剣を取りなさい!それとも・・・私に勝つ自信が無いのですか?」
私がそう挑発し鼻でフンっと笑えば、男子生徒は顔を真っ赤にして怒り出した。
「ふざけるな!調子に乗りやがってぇぇぇぇ!!」
すると男子生徒は模造刀を拾うフリをして、私に投げて来たが私は軽々と躱した。
既に私に向かって突進して来ている男子生徒の為の道をスッと空けて、模造刀で男子生徒の足を引っ掛ける様に払えば・・・
バランスを崩してしまった男子生徒がクルクルと何回転かした後、そのまま石畳の地面に顔面からダイブした。
「弱い犬ほどよく吠える・・・とお父様から聞いた事がありますが、本当だったのですね。」
余程痛いのか・・・顔面を両手で押さえながら蹲っている男子生徒の頭上から嫌味を降らしてやった私は・・・次のターゲットの元へと足を進める。
「さぁ・・・次は貴方です!私と勝負しなさーーーって!邪魔をしないで下さい!お兄様!殿下!」
右腕をお兄様に、左腕を殿下に抱えられてしまう形で羽交い締め状態になってしまった私は、足をバタバタとさせて必死に抵抗をするが・・・ビクともしない。
私のそんな様子を見て狼狽えた様子のターゲット達は、次々と踵をかえして庭園広場から立ち去ろうとしてしまう。
「コラァー!逃げるんじゃ無いわよ!!私と戦いなさいよ!この卑怯者ー!!!」
全ての力を振り絞って腕を振りほどこうとするが・・・全く歯が立たない私は、そう叫ぶ事しか出来なかった。
私のタダならぬ様子を見て、巻き込まれたく無いと言わんばかりに次々とギャラリーが庭園広場を足早に去って行く。
「フローラ・・・落ち着け。これ以上は流石に騒ぎになってしまう。」
「そうだぞ!フローラ・・・僕が悪かったから、とにかく落ち着いてくれ!」
両サイドに居る殿下とお兄様にそう諫められてしまった私は・・・少し熱が引いて来た事もあり、全身の力を一先ず抜いた。
「分かりましたから・・・とりあえず腕を離して頂けませんか?」
私が小さく息を吐きながらそう呟けば、お兄様と殿下は互いの顔を見合わせながら、ゆっくりと腕を解放してくれた。
何となく掛ける言葉がお互いに見付からず・・・沈黙が続いてしまうーーー・・・。
私に気付いたお兄様は慌てて立ち上がると、私の肩に手をかけた。
必死の形相で私に下がる様に言って来たが・・・私は微動だにせず、視線の方向を変えなかった。
「下がりません!!真剣勝負に横槍を入れる輩を成敗するまで・・・絶対に下りません!!」
「横・・・槍・・・?!どういう事だ・・・?」
私の発言に誰よりも驚いている殿下は・・・肩で息をしながらも周りを見渡し、ようやくギャラリーの存在に気付いた様子だった。
「良いんだよ・・・フローラ。この状況で僕が勝った所で誰も喜ばないから・・・」
「計・・・算・・・だったとでも言うのか?俺がこんなに満身創痍だったと言うのに・・・。」
「すみません・・・会長。」
お兄様の言葉に殿下も怒りを隠せない様子である。
当たり前だ・・・自分は本気で臨んでいたと言うのに、気付かぬ内に手を抜かれ、おまけにわざと負けようとしていたのだから。
思わずお兄様も顔を俯かせ謝罪の弁を述べるがーーー・・・私の怒りは収まらなかった。
「私の為に勝つと仰ったでは有りませんか!!!!」
私の叫びにも似た檄に思わず苦悶の表情を浮かべるお兄様は・・・反論は愚か顔すら上げてくれない。
その煮え切らない態度にほとほと呆れ果てた私は・・・一先ず、殿下が使っていた模造刀を拾い上げると
先ほどお兄様の模造刀を蹴り飛ばした男子生徒の方へと歩みを進める。
背後から殿下が「フローラ!何処へ行くのだ!」と叫んでいる声が聞こえたが、敢えて無視をした。
「先ずは貴方からです!!私と勝負しなさい!!」
そう高らかに叫んだ私は、男子生徒に剣先を向けると・・・拾い上げた模造刀を男子生徒の足元に放り投げた。
「な、何の事だ・・・!言いがかりはよしてくれ・・・!」
男子生徒は少し焦ったものの・・・私の事を見縊っているのか、それとも性根が腐っているのか・・・開き直った様子でヘラヘラとそう答えている。
「吠えなくて良いから剣を取りなさい!それとも・・・私に勝つ自信が無いのですか?」
私がそう挑発し鼻でフンっと笑えば、男子生徒は顔を真っ赤にして怒り出した。
「ふざけるな!調子に乗りやがってぇぇぇぇ!!」
すると男子生徒は模造刀を拾うフリをして、私に投げて来たが私は軽々と躱した。
既に私に向かって突進して来ている男子生徒の為の道をスッと空けて、模造刀で男子生徒の足を引っ掛ける様に払えば・・・
バランスを崩してしまった男子生徒がクルクルと何回転かした後、そのまま石畳の地面に顔面からダイブした。
「弱い犬ほどよく吠える・・・とお父様から聞いた事がありますが、本当だったのですね。」
余程痛いのか・・・顔面を両手で押さえながら蹲っている男子生徒の頭上から嫌味を降らしてやった私は・・・次のターゲットの元へと足を進める。
「さぁ・・・次は貴方です!私と勝負しなさーーーって!邪魔をしないで下さい!お兄様!殿下!」
右腕をお兄様に、左腕を殿下に抱えられてしまう形で羽交い締め状態になってしまった私は、足をバタバタとさせて必死に抵抗をするが・・・ビクともしない。
私のそんな様子を見て狼狽えた様子のターゲット達は、次々と踵をかえして庭園広場から立ち去ろうとしてしまう。
「コラァー!逃げるんじゃ無いわよ!!私と戦いなさいよ!この卑怯者ー!!!」
全ての力を振り絞って腕を振りほどこうとするが・・・全く歯が立たない私は、そう叫ぶ事しか出来なかった。
私のタダならぬ様子を見て、巻き込まれたく無いと言わんばかりに次々とギャラリーが庭園広場を足早に去って行く。
「フローラ・・・落ち着け。これ以上は流石に騒ぎになってしまう。」
「そうだぞ!フローラ・・・僕が悪かったから、とにかく落ち着いてくれ!」
両サイドに居る殿下とお兄様にそう諫められてしまった私は・・・少し熱が引いて来た事もあり、全身の力を一先ず抜いた。
「分かりましたから・・・とりあえず腕を離して頂けませんか?」
私が小さく息を吐きながらそう呟けば、お兄様と殿下は互いの顔を見合わせながら、ゆっくりと腕を解放してくれた。
何となく掛ける言葉がお互いに見付からず・・・沈黙が続いてしまうーーー・・・。
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