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番外編〜二人のその後〜

婚約者の務め 1

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思いが通じ合った男女って一般的に何をするものなのかしら・・・?



公爵様がラファエル殿下からの書簡を持って、いらっしゃったのは数週間前の事だ。
ラファエル殿下に後見人を務めて頂く手筈を・・・何故か驚異的なスピードで整えて下さった公爵様と爺やのお陰で、来週には婚約お披露目会をハイネス公爵邸で執り行う事となった。

私は・・・エドマンドのメイドから婚約者へと立場が変わった事により、もうメイドのお仕事はしなくてよくなった。
ちょっと寂しいんだけどね。

それだけでは済まず・・・私の為に侍女長がハイネス公爵家よりやって来たのだ。

未来の公爵夫人として相応しい女性になれる様に、当初メイドとして従事していた時間の全てがレッスンに当てられてしまっておりーーー・・・

まぁ、そのつまりーーー・・・



(エドと学園以外の場所で会う時間が無いわ・・・!!!)



折角、両思いになったと言うのに・・・エドマンドに至ってはあまり変わらないし、私もどうしたら良いのか分からない。

(ベルダのアドバイスはきょ、極端だったし・・・!全然、参考にならないわ!!)



『ベルダ・・・あの、カリム殿下にもしかして・・・お願いしてくれた・・・?』

『へ・・・?何の事?』

『ラファエル殿下からハイネス公爵様に書簡が届いたのよ・・・エドの想い人がカリム殿下の婚約者と懇意にしているから、婚約を推し進める様にって・・・!ベルダなんでしょ?』

『別にフレイヤの為じゃないよ~?外交担当の奥方様がフレイヤだったら良いなって私が思ったから、そうカリム殿下に伝えただけの話!』

『ベルダ・・・。』

『それで・・・無事、2人はくっ付きました。めでたし、めでたしって所なのかな?』

『う・・・っ!それが・・・私、両思いになった男女が何をするかとか・・・エドが私に何を求めているかとか・・・全然分からなくって・・・。』

『そっかそっか・・・!数々の女性を袖にして来たエドマンド様とは違って、フレイヤはエドマンド様一筋のピュアちゃんだもんね~』

『え・・・?!エドマンドって・・・そんなに凄かったの・・・?』

『ありゃ、知らない?どっかの国の王女様がエドマンド様にお熱で大変だったって・・・有名な話よ?』

『お、お、王女様・・・っ?!!』

『まぁ・・・外交を任されているお家だから・・・王族との付き合いは多い方なんじゃないかな?』

『私なんかで・・・太刀打ち出来るかしら・・・。』

『大丈夫よ!しっかり捕まえておけば!・・・・・・えーと、エドマンド様がフレイヤに何を求めているかって話でしょ?そんなの簡単だから!』

『さ、流石ベルダ・・・!是非、教えて頂戴!』

『そんなの、寝屋のお相手に決まってるでしょ!』

『寝屋・・・?添い寝って事・・・?』

『はぁ・・・?!あのね、フレイヤ!貴女は16歳の女性なのよ?!寝屋のお相手って言ったら・・・・・・!!!』



(出来ない・・・!!!キスするだけでも心臓破れそうなのに・・・先ずは添い寝から初めて貰わないと無理・・・!!!)

でも、エドマンドが望んでいるのならーーー・・・



(ーーーって!!絶対に無理ぃぃぃぃ!!!)



「・・・フレイ?大丈夫?」

一人で百面相を繰り広げている私を心配そうに覗き込むのは、何を隠そう私の最愛の人であり、悩みの種であるエドマンドだ。

「え、えぇ・・・御免なさい。取り乱してしまって・・・。」

エドマンドの問い掛けで我に返った私は、ここが教室で休憩時間だという事を思い出した。
エドマンドの計らいで隣の席で過ごせる事が・・・今となっては凄く有りがたい。

「エマとはどう・・・?上手くやれてる・・・?」

〝エマ〟とは私の公爵夫人教育の為にハイネス公爵家からやって来た侍女長の名前である。

「至らない点が多くて・・・叱られてばかりだけど・・・頑張るわ?え、え、エドに相応しい女性になる為に・・・」

言っている途中で恥ずかしくなってしまった私は、途中からエドマンドの顔を見る事が出来なくなってしまい俯いてしまう。
そんな私の頭を優しく撫でてくれるエドマンドの手に・・・更に熱が上がってしまう。

「フレイ・・・嬉しいよ。ありがとう・・・。」

こんな感じでエドマンドが甘やかしてくるものだから・・・私達2人はもう両思いなのにーーー
あの日以来キスもしないし、ハグもしていないのだ。

(も、勿論、人の目が有る学園でしたいという訳では無いけれど・・・!!)

でも、エドマンドはしたくないのかな・・・?と考えてしまうと、寂しいし悲しい。

「エドは・・・寂しくないの?私は寂しいわ・・・。メイドの時の方が2人きりの時間が多くて・・・」

その事ばかりをここ最近考え過ぎたせいか・・・私は無意識の内に口に出してしまっていた。
途端、恥ずかしくなってしまい・・・顔が熱くなっていき、額に汗が浮かび出す。

「いや・・・!あの、その・・・!だからー」

「寂しいよ。凄く・・・寂しい。」

私が取り繕おうと言葉を並べていると・・・エドマンドがそう言ってくれた。
エドマンドの顔を見てみれば、凄く苦しそうな表情をしていて・・・本気でそう思ってくれていると伝わる・・・。

「でも、フレイが僕の為に頑張っているのに・・・僕が弱音を吐くのは駄目だと思って、我慢してたんだ。」

「エド・・・。そうだったの・・・。」

(嬉しい・・・!嬉しい・・・!エドも同じ様に思っててくれたなんて・・・)

「フレイも同じ気持ちだったなんて・・・嬉しいよ。期待・・・しても良いのかな?」

「・・・?期待って何を・・・?」

同じ気持ちで嬉しいとは私も思った・・・。だから分かる。

でも期待って何を・・・?
未来の公爵夫人として私が相応しい人間になれるかとか?そういう事かな?

「婚約者としての務めだとかっていう人も居るけど・・・僕はフレイの気持ちを優先したいと思ってるから・・・。」

婚約者の・・・務め・・・?
沢山有りすぎて分からない・・・!!

「あ、有難う?エド・・・早く応えられる様に頑張るわね・・・?」

「・・・!!!僕も準備だけは進めておくよ・・・。」

何を期待されているのか分からなかったけれど・・・婚約者の務めだと聞けば、頑張らない訳にはいかない!
そう思い返事をしたのだが・・・何故かエドマンドの顔が真っ赤に染まってしまっていて、益々分からなくなってしまった。





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