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本編
(最終回)ずっと好きだった
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『エド・・・元気でね?あんまり、爺やを困らせちゃ駄目よ・・・?』
『フレイも・・・元気でね。マチルダ嬢にも宜しく伝えておいてよ・・・。』
『エド・・・もし手紙を出せるなら出してね?お返事を出せるか分からないけれど・・・私も努力するから・・・。』
『必ず出すよ・・・すぐには無理かもしれないけど・・・絶対に出すから・・・!だから・・・待っていて欲しい・・・。』
『分かった・・・!ずっと待ってる・・・!』
確か・・・エドマンドが旅立つ前日の日に、公爵様からご招待を受けて屋敷に遊びに行った最後の日にこんなやり取りをした様な・・・していない様な・・・記憶があるはあるけれど・・・。
(告白要素どっかに有るかな・・・?え、無いよね・・・?!)
「忘れてても仕方ないよ・・・もう6年も前の事だからね。隣国へと発つ日の早朝にフレイが屋敷を抜け出して・・・」
(ーーーあ。思い出した!!!)
「爺やに、こっそり入れて貰って・・・エドと庭で話・・・したよね・・・?!」
そうだ・・・。
どうしても『伝えなきゃ!』と思う事が有ってその日は夜通し悩んでいたんだ・・・。
それで、庭園で仕事をしている爺やの姿が部屋の窓から見えて・・・こっそり屋敷を抜け出して爺やに声を掛けたんだ。
(あれ・・・?でも何だったっけ・・・?何か、とても大事な事だった筈なんだけど・・・庭でエドと何を話したんだ?!)
もやがかかってしまったみたいに、そこだけピンポイントで思い出せない焦ったさに頭を抱えて必死に思い出そうするが・・・やはり思い出せない。
もう降参してエドマンドに続きを教えて貰ってスッキリしてしまおう・・・と顔を上げると、私の様子を察したエドマンドが口を開いた。
「『もし婚約者や特別な相手が出来たら・・・絶対に教えて欲しいの・・・!その手紙が来る迄は・・・私、待ってるから・・・!』って言ったんだよ」
「・・・・・・。」
覚えている・・・。それは恋愛感情とかそういうのまだ全然分かっていない私が・・・、
とにかく何故か〝それだけは知りたい・・・!知っておかなくちゃ・・・!〟と夜通し考えた結果、強く確信した事だったのだ。
その言葉がどういう捉え方をされるかとか・・・どういう含みを持たせてしまうかとか・・・全く考えずに感情のまま言った言葉だと思う。
「『分かった。絶対に知らせる。代わりに僕からもお願いが有るんだ・・・!僕、絶対に帰って来るから・・・それ迄に、そういう人が出来なかったら・・・フレイに・・・僕の特別な人になって欲しいんだ!・・・駄目かな?』って僕が言ったら・・・」
「『分かった・・・約束!じゃあその時は・・・絶対に私を迎えに来てね!』って私、言ったよね・・・?」
完全に思い出した・・・。だってーーー
〝特別な相手って・・・?もう私達、親友だし幼なじみだし、特別な関係じゃないの?〟って思ったもの。
でも、エドマンドが顔を凄く赤くしながら必死な様子だったから・・・水をさすのも悪いと思って流したのよね・・・。
「・・・もしかして、爺やに迎えに行かせたからノーカウントになっちゃってた?」
「・・・・・・・。」
いや~ごめんごめん!没落する前も後もバタバタしちゃっててさ~!
エドからの手紙も結局、一通も来なかったし~!
いや、郊外に引っ越しちゃったから手紙が届く訳も無いし~!
今の今まで・・・忘れちゃってたよ~!
ーーーって、
言えない!!!口が裂けても言えないわ・・・!!!
でも・・・つまりーーーエドは、その時の約束を守って私を探し出して迎えに来てくれたって事?
早朝に屋敷抜け出して迄、『待ってるー!』なんて言った私はそれをすっかり忘れて・・・エドの好意を無碍にしてたって事?
「フレイ・・・、でも僕が悪かったんだよ。だって僕が知りたいのは・・・6年前の気持ちじゃなくて、今のフレイの気持ちなのに・・・そんな昔の約束で勝手に告白したつもりになって・・・フレイを振り回してしまったよね・・・?ごめん。」
(いやぁぁぁぁ!謝らないで!!私が消えたくなるからっ!!!)
「いや・・・私の方こそ、エドがどんな気持ちで迎えに来てくれたかとか・・・全然考えが及ばなくて・・・本当に御免なさい。」
流石に忘れていたと素直に謝る事は出来なかったが・・・エドマンドに謝罪をされて最高に居心地が悪くなってしまった私は、とりあえず負けじと深々と頭を下げて謝罪をした。
「正直・・・フレイが変わってしまっていたらどうしよう・・・って心配も有ったんだ。結局、手紙のやり取りも一度も出来ないまま帰国の日を迎えてしまったから・・・。」
「私、変わってしまったでしょう・・・?」
エドマンドの言葉にドキッとしてしまった。
だって子爵位ですらも無くなってしまってーーー
綺麗なドレスやアクセサリー、優秀なメイドに手入れして貰って何とかのレベルだったのに、
今では身なりに気を遣う余裕すら無くなってしまってーーー
落ちぶれたって思われても仕方ない様な・・・変わり様よね。
「フレイはフレイのままだったよ?確かに・・・環境は変わってしまったかもしれないけれど・・・。僕を見るその瞳も・・・言葉や仕草も・・・全部、全部僕が好きなフレイのままだった・・・!」
素直に・・・有難うと受け入れて良いのか分からない・・・。
東の隣国の様に・・・思いが通じ合っていれば認められる国で育っていたら・・・こんな考えは浮かびもしなかったかもしれないけれど・・・。
「私は・・・没落令嬢なのよ・・・?エドとは釣り合わないわ。」
「身分なんて関係ないよ。フレイが好きなんだ。」
「エドはもう・・・御令嬢方の憧れの的で・・・私なんかよりも、もっとお似合いの女性が・・・」
「僕はフレイが良いよ。他の女性なら、要らない。」
「私・・・お金も無いし・・・美しくも無いし・・・知性も無いわ・・・。」
「お金なんて要らないし、フレイは十分美しくて可愛らしいし、誰よりも勉強熱心だと思うよ?」
まだまだ、私がエドの婚約者に相応しく無い理由はたくさん有ったのだけれど・・・
ここまで尽く否定されてしまうと・・・最早、否定して欲しくて私が言っているみたいになってしまっているので、止めた。
「もう・・・終わり?」
「だって、全部エドに否定されちゃうんだもの・・・もう終わり!」
何だか吹っ切れた私は、エドマンドにそう返事をすると笑顔で顔を上げた。
そんな私の手を取ったエドマンドが小声で「じゃあ僕の番ね」と呟くと・・・片膝を着いて私を見上げた。
それは宛ら・・・まるで、忠誠を誓う騎士の姿を彷彿とさせる様で、またもや私の心臓はうるさい程に高鳴り初めてしまう。
「フレイ・・・。もう当たり前の事の様に・・・気付いた時には君の事が好きだったから・・・こんなに遅くなってしまってごめん。」
私もーーー・・・。
多分、もうずっとずっと前からエドの事が好きだった。
「6年前・・・あんなに太っていて、社交界に出れば笑い者にされていた僕を大切にしてくれて有難う。」
そんなの、当たり前の事よ?
だって私は貴方の事が好きだったんだから・・・。
「今の僕が在るのは・・・間違いなくフレイが傍に居てくれたからなんだ。離れている間も忘れた事は無かった・・・」
私も・・・届く筈が無いって分かっていたのに・・・
エドからの手紙をずっと、待ってた。
「だから・・・フレイ、僕の隣にずっと居て欲しい・・・。メイドとしてじゃなくて・・・親友としてじゃなくて・・・僕の伴侶として」
何だろう・・・?幸せすぎて現実じゃなみたい・・・。
体がふわふわしちゃってて言う事を聞かない。
すぐにでも、エドマンドに返事をしてあげたいのに・・・涙が溢れて止まらない・・・。
「・・・っ、う・・・ぁ・・・っ。」
私、嬉しいのに・・・私、今、凄く嬉しくて仕方が無いのに・・・!
それをエドマンドに伝えなくちゃいけないのに・・・!
涙が溢れて止まらない私を見兼ねたエドマンドが、立ち上がって優しく抱き締めてくれる・・・。
背中に回された手から伝わる温もりに・・・とても安心した私は、ようやく落ち着きを取り戻した。
「ご、ごめんなさ・・・い。何だか、嬉しすぎて・・・夢みたいだから・・・」
エドマンドの胸から顔を上げた私は、返事をしようとエドマンドの瞳をしっかりと捉えた。
「もう、言っても良い・・・?ーーー私もずっと前からエドが好き!!ずっと傍に居させてくだー」
公爵の言った事はどうやら正しかった様で・・・本当にエドマンドは我慢弱くなってしまったらしい・・・。
私の返事を最後迄きちんと聞く前にキスをしてしまう程なんだからーーー
「泣いても良い・・・?」
唇を離したら真っ先に「人の話は最後までちゃんと聞きなさい!」って言ってやろうと思っていたのに・・・
エドマンドが瞳に涙を溜めながらそう言ってくるもんだから・・・負けた。
だって・・・、
私は昔からこの顔に弱いのよ。
ーーー知ってるでしょ?
~お終い~
『フレイも・・・元気でね。マチルダ嬢にも宜しく伝えておいてよ・・・。』
『エド・・・もし手紙を出せるなら出してね?お返事を出せるか分からないけれど・・・私も努力するから・・・。』
『必ず出すよ・・・すぐには無理かもしれないけど・・・絶対に出すから・・・!だから・・・待っていて欲しい・・・。』
『分かった・・・!ずっと待ってる・・・!』
確か・・・エドマンドが旅立つ前日の日に、公爵様からご招待を受けて屋敷に遊びに行った最後の日にこんなやり取りをした様な・・・していない様な・・・記憶があるはあるけれど・・・。
(告白要素どっかに有るかな・・・?え、無いよね・・・?!)
「忘れてても仕方ないよ・・・もう6年も前の事だからね。隣国へと発つ日の早朝にフレイが屋敷を抜け出して・・・」
(ーーーあ。思い出した!!!)
「爺やに、こっそり入れて貰って・・・エドと庭で話・・・したよね・・・?!」
そうだ・・・。
どうしても『伝えなきゃ!』と思う事が有ってその日は夜通し悩んでいたんだ・・・。
それで、庭園で仕事をしている爺やの姿が部屋の窓から見えて・・・こっそり屋敷を抜け出して爺やに声を掛けたんだ。
(あれ・・・?でも何だったっけ・・・?何か、とても大事な事だった筈なんだけど・・・庭でエドと何を話したんだ?!)
もやがかかってしまったみたいに、そこだけピンポイントで思い出せない焦ったさに頭を抱えて必死に思い出そうするが・・・やはり思い出せない。
もう降参してエドマンドに続きを教えて貰ってスッキリしてしまおう・・・と顔を上げると、私の様子を察したエドマンドが口を開いた。
「『もし婚約者や特別な相手が出来たら・・・絶対に教えて欲しいの・・・!その手紙が来る迄は・・・私、待ってるから・・・!』って言ったんだよ」
「・・・・・・。」
覚えている・・・。それは恋愛感情とかそういうのまだ全然分かっていない私が・・・、
とにかく何故か〝それだけは知りたい・・・!知っておかなくちゃ・・・!〟と夜通し考えた結果、強く確信した事だったのだ。
その言葉がどういう捉え方をされるかとか・・・どういう含みを持たせてしまうかとか・・・全く考えずに感情のまま言った言葉だと思う。
「『分かった。絶対に知らせる。代わりに僕からもお願いが有るんだ・・・!僕、絶対に帰って来るから・・・それ迄に、そういう人が出来なかったら・・・フレイに・・・僕の特別な人になって欲しいんだ!・・・駄目かな?』って僕が言ったら・・・」
「『分かった・・・約束!じゃあその時は・・・絶対に私を迎えに来てね!』って私、言ったよね・・・?」
完全に思い出した・・・。だってーーー
〝特別な相手って・・・?もう私達、親友だし幼なじみだし、特別な関係じゃないの?〟って思ったもの。
でも、エドマンドが顔を凄く赤くしながら必死な様子だったから・・・水をさすのも悪いと思って流したのよね・・・。
「・・・もしかして、爺やに迎えに行かせたからノーカウントになっちゃってた?」
「・・・・・・・。」
いや~ごめんごめん!没落する前も後もバタバタしちゃっててさ~!
エドからの手紙も結局、一通も来なかったし~!
いや、郊外に引っ越しちゃったから手紙が届く訳も無いし~!
今の今まで・・・忘れちゃってたよ~!
ーーーって、
言えない!!!口が裂けても言えないわ・・・!!!
でも・・・つまりーーーエドは、その時の約束を守って私を探し出して迎えに来てくれたって事?
早朝に屋敷抜け出して迄、『待ってるー!』なんて言った私はそれをすっかり忘れて・・・エドの好意を無碍にしてたって事?
「フレイ・・・、でも僕が悪かったんだよ。だって僕が知りたいのは・・・6年前の気持ちじゃなくて、今のフレイの気持ちなのに・・・そんな昔の約束で勝手に告白したつもりになって・・・フレイを振り回してしまったよね・・・?ごめん。」
(いやぁぁぁぁ!謝らないで!!私が消えたくなるからっ!!!)
「いや・・・私の方こそ、エドがどんな気持ちで迎えに来てくれたかとか・・・全然考えが及ばなくて・・・本当に御免なさい。」
流石に忘れていたと素直に謝る事は出来なかったが・・・エドマンドに謝罪をされて最高に居心地が悪くなってしまった私は、とりあえず負けじと深々と頭を下げて謝罪をした。
「正直・・・フレイが変わってしまっていたらどうしよう・・・って心配も有ったんだ。結局、手紙のやり取りも一度も出来ないまま帰国の日を迎えてしまったから・・・。」
「私、変わってしまったでしょう・・・?」
エドマンドの言葉にドキッとしてしまった。
だって子爵位ですらも無くなってしまってーーー
綺麗なドレスやアクセサリー、優秀なメイドに手入れして貰って何とかのレベルだったのに、
今では身なりに気を遣う余裕すら無くなってしまってーーー
落ちぶれたって思われても仕方ない様な・・・変わり様よね。
「フレイはフレイのままだったよ?確かに・・・環境は変わってしまったかもしれないけれど・・・。僕を見るその瞳も・・・言葉や仕草も・・・全部、全部僕が好きなフレイのままだった・・・!」
素直に・・・有難うと受け入れて良いのか分からない・・・。
東の隣国の様に・・・思いが通じ合っていれば認められる国で育っていたら・・・こんな考えは浮かびもしなかったかもしれないけれど・・・。
「私は・・・没落令嬢なのよ・・・?エドとは釣り合わないわ。」
「身分なんて関係ないよ。フレイが好きなんだ。」
「エドはもう・・・御令嬢方の憧れの的で・・・私なんかよりも、もっとお似合いの女性が・・・」
「僕はフレイが良いよ。他の女性なら、要らない。」
「私・・・お金も無いし・・・美しくも無いし・・・知性も無いわ・・・。」
「お金なんて要らないし、フレイは十分美しくて可愛らしいし、誰よりも勉強熱心だと思うよ?」
まだまだ、私がエドの婚約者に相応しく無い理由はたくさん有ったのだけれど・・・
ここまで尽く否定されてしまうと・・・最早、否定して欲しくて私が言っているみたいになってしまっているので、止めた。
「もう・・・終わり?」
「だって、全部エドに否定されちゃうんだもの・・・もう終わり!」
何だか吹っ切れた私は、エドマンドにそう返事をすると笑顔で顔を上げた。
そんな私の手を取ったエドマンドが小声で「じゃあ僕の番ね」と呟くと・・・片膝を着いて私を見上げた。
それは宛ら・・・まるで、忠誠を誓う騎士の姿を彷彿とさせる様で、またもや私の心臓はうるさい程に高鳴り初めてしまう。
「フレイ・・・。もう当たり前の事の様に・・・気付いた時には君の事が好きだったから・・・こんなに遅くなってしまってごめん。」
私もーーー・・・。
多分、もうずっとずっと前からエドの事が好きだった。
「6年前・・・あんなに太っていて、社交界に出れば笑い者にされていた僕を大切にしてくれて有難う。」
そんなの、当たり前の事よ?
だって私は貴方の事が好きだったんだから・・・。
「今の僕が在るのは・・・間違いなくフレイが傍に居てくれたからなんだ。離れている間も忘れた事は無かった・・・」
私も・・・届く筈が無いって分かっていたのに・・・
エドからの手紙をずっと、待ってた。
「だから・・・フレイ、僕の隣にずっと居て欲しい・・・。メイドとしてじゃなくて・・・親友としてじゃなくて・・・僕の伴侶として」
何だろう・・・?幸せすぎて現実じゃなみたい・・・。
体がふわふわしちゃってて言う事を聞かない。
すぐにでも、エドマンドに返事をしてあげたいのに・・・涙が溢れて止まらない・・・。
「・・・っ、う・・・ぁ・・・っ。」
私、嬉しいのに・・・私、今、凄く嬉しくて仕方が無いのに・・・!
それをエドマンドに伝えなくちゃいけないのに・・・!
涙が溢れて止まらない私を見兼ねたエドマンドが、立ち上がって優しく抱き締めてくれる・・・。
背中に回された手から伝わる温もりに・・・とても安心した私は、ようやく落ち着きを取り戻した。
「ご、ごめんなさ・・・い。何だか、嬉しすぎて・・・夢みたいだから・・・」
エドマンドの胸から顔を上げた私は、返事をしようとエドマンドの瞳をしっかりと捉えた。
「もう、言っても良い・・・?ーーー私もずっと前からエドが好き!!ずっと傍に居させてくだー」
公爵の言った事はどうやら正しかった様で・・・本当にエドマンドは我慢弱くなってしまったらしい・・・。
私の返事を最後迄きちんと聞く前にキスをしてしまう程なんだからーーー
「泣いても良い・・・?」
唇を離したら真っ先に「人の話は最後までちゃんと聞きなさい!」って言ってやろうと思っていたのに・・・
エドマンドが瞳に涙を溜めながらそう言ってくるもんだから・・・負けた。
だって・・・、
私は昔からこの顔に弱いのよ。
ーーー知ってるでしょ?
~お終い~
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