【完結】豚公爵様は、実はスパダリ?!~ただ一緒に居ただけの没落令嬢な私が、何故か溺愛されています~

ゆきのこ

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本編

二度目の舞踏会

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あの夜から今日で3日経ったーーー。

大事を取って学園を休んでいたエドマンドはすっかり熱も下がり、風邪も治った様子だ。
私はと言うと・・・主人であるエドマンドを置いて自分だけ学園に行くのはかなり抵抗が有ったが、
エドマンドがあまりにも『僕の事は良いから、学園に行って』と言うので・・・昨日から普通に登園している。

勿論、エドマンドが隣の席に居ないので・・・陰口はいつもに増して露骨だったが、何となく以前ほど気にならなくなっている自分が居た。

だって、そんな事よりも厄介なのはーーー・・・

「フレイ、大丈夫・・・?何だかボーッとしているみたいだけど・・・?」

「ふぇっ?!・・・え、あぁ、だ、大丈夫よ!?」

ーーーこれだ。

ベルダと裏庭で話をしたのが昨日の放課後の事だ・・・。
乙女心とは不思議なもので〝好きかも〟と誤魔化していた時は意識しなかった様な些細な事さえも・・・
〝好き〟と認めてしまった後にされると凄く過敏に反応してしまうのだ。

(おさまれ~!おさまれ~!私の心臓・・・っ!!!)

今ではエドマンドと視線が合うだけで心臓がドキドキしてしまって仕方が無い・・・。
それを悟られない様にと、昨日からはエドマンドと出来るだけ目を合わさない様にもう必死だ。



「それでね、話の続きだけどーーー今度学園で開かれる舞踏会、フレイも一緒に行くよね?」

「あぁ・・・あの新入生懇親会なるものね・・・。」

(いや・・・確かに、学園の生徒で有れば誰でも参加可能との事だったけれど・・・そこに使用人は含まれていない様な?)

この王立学園では・・・毎年、前期の講義が終了するタイミングで、下級生のみが参加できる学園主催の舞踏会が開かれるそうなのだ。
あくまでも建前は、生徒同士の親睦を深める為のものであるが・・・
未婚約者にとってはお目当ての人とお近付きになる大事な機会であり、
エドマンドの周りの御令嬢達は何とかエドマンドからのエスコートを頂こうと・・・それはそれは、必死のご様子なのだ。

「私は・・・遠慮しておこうかしら?ほら、当日はエドの支度でバタバタするでしょうし?」

「僕の支度・・・?フレイが行かないなら・・・僕もやめておこうかな。」

(ちょいちょいちょい・・・っ!!何故、そこで私の名前が出てくるのよ!)

いちいち私を期待させる様な言い回しを使うエドマンドに、にやけそうになる顔をグッと堪えると・・・思わす心の中でそう突っ込んでしまう。

当のエドマンドは・・・未婚約者である彼にとって、この舞踏会はとても大事な機会であるにも関わらず・・・ほとほと興味が無さそうな様子であっさりと欠席を決めてしまっている。

「エドは・・・参加した方が良いんじゃないの?あれだけ毎日御令嬢方にアプローチされている訳だし・・・何方かにエスコートの申し出をしてみたら・・・?」

自分で言ってて何だか悲しくなってしまったが・・・私の気持ちはさて置き、エドマンドが望んでいた訳では無いと言っても私は従者なのだ。
主人がこの学園生活の中でより良い婚約者と巡り会える様に、尽力すべきだろう。



「ーーーえ。いや・・・だから今まさに、フレイにエスコートの申し出をしたつもりだったんだけど・・・。」



「・・・!!!」

不意打ちに我慢出来ず、ボンっと音が出る勢いで一瞬で顔が赤くなってしまった。
エドマンドに気付かれない様にと咄嗟にそっぽを向いて作業をしているフリをするが・・・
熱は下がる所か、どんどん上がっていく始末である・・・。

「フレイ・・・?どうしたの・・・?」

エドマンドの心配そうな声に思わず振り返って見れば、何と目前にエドマンドが立っており・・・もう私は、叫び出してしまいそうな勢いである。

「なななな?!何にも無いわよ?」

エドマンドの顔を、瞳を、直視する事が出来ない私は・・・そう返事をしながら壁まで後退りする。
すると何故か・・・エドマンドが間髪入れずに私の後を追って来てしまい・・・逆に壁際まで追い込まれた様な形になってしまう。

「フレイ・・・?本当に行きたくない・・・?これは僕の我儘だけど・・・6年前の舞踏会の時に、フレイに嫌な思いをさせてしまったから・・・リベンジさせて欲しいんだけど・・・駄目?」

そう縋る様な瞳で見つめられると・・・私は弱いのだ。おまけに顔が近い・・・!!!
おまけに何故か手を握られている・・・。

え・・・。本当に何故だ・・・?

「いや・・・駄目じゃ・・・ないけど・・・。」

もうプチパニック状態の私は、何と答えるのか正解なのか冷静に考える事が出来なくなってしまっていた。
一先ず・・・イエスでもノーでも無い当たり障りのない返事で誤魔化す。

「良かった!!じゃあ一緒に行ってくれるんだね!!」

「・・・へ?」

私としては別に承認したつもりは無かったのだが・・・何故かエドマンドは先程の返事で私が『一緒に行く』と言ったとしており・・・縋る様な瞳をしていた表情から一変、満面の笑みへと変わってしまった。

「フレイも当日は支度しなくちゃいけないだろう・・・?僕が手配しておくね!」

「いや・・・あの・・・エド?私・・・その・・・」

「ん?まさかーーー今更、断らないよね?」

行くなんて言ったつもり無いんだけど・・・って続けようと思ったが、
エドマンドの黒さを孕んだ笑みに何となく言葉を続けられなくなった私は・・・エスコートを引き受ける事となってしまった。
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