16 / 48
本編
自分で言ってて悲しくなる
しおりを挟む
「何を考えておいでなのですか?!」
男子寮へと続く道は舗装されてはいるものの・・・人一人分の細い道でおまけに木々が生い茂っている為、外からは見えにくい。
登園開始時刻が目前に迫っているこの時間では・・・元々人通りがほとんど無いこの道を使っている人は、いない様で誰ともすれ違わないし、人影も見えない。
周りに誰も居ない事を確認した私は・・・エドマンドの背中から手を離すと、彼と向き合った。
「いや・・・フレイが道とか分からないんじゃ無いかと思って・・・。迎えに行ったら喜んでくれるかと思ったんだけど・・・、」
「いや・・・お気持ちは嬉しいですけど・・・」
(ーーーって!駄目駄目ぇぇぇ!)
俯きながら子犬の様な瞳で訴えてくるエドマンドの姿に・・・危うく流されてしまいそうになった私は、
エドマンドへと差し伸べそうになった手を自分の反対の手でパシん!と掴むと、放り投げた。
「エドマンド様・・・無礼を承知で申し上げますが・・・ご自分の立場がよく分かっておいででは無い様ですね?」
「爺やみたいな事言わないでくれよ・・・」
「いいえ!言わせて頂きます!ーーーエドマンド様は王族からの信頼も厚いハイネス公爵家の跡取りで・・・何より・・・未婚約者なのですよ?!!公衆の面前で・・・メイドの私にあ、あ、愛を囁くなど御法度なのです!!」
私のお説教にわざとらしく耳を指に突っ込んで聞こえないフリをするエドマンドに・・・さらに腹が立ってしまった私は、思わず感情的になってしまった。
「大体・・・私はメイドなのですよ?もう以前の様な子爵令嬢では無いんですから・・・!幼なじみとして大切に扱って下さっている事には感謝しておりますが・・・私達二人はもう・・・幼なじみでは無く・・・雇い主とメイドという・・・主従関係なのですから・・・。」
(・・・あ。やばい。自分で言ってて泣きそうになって来たーーー。)
エドマンドに涙を悟られる訳にはいかない私は、俯いたまま動けなくなってしまった。
当たり前の事なのに・・・分かっていた事なのに・・・いざ言葉にして見ると、悲しくなって来てしまったのだ。
だって私はーーー・・・本音を言えば、没落なんてしたくなかったし・・・エドマンドとも幼なじみのままで居たかった。
成金子爵でも良いから・・・エスコートの申し出を受けられる・・・貴族の一員で居たかった・・・。
(そして・・・今、目の前に居るエドマンドと・・・もう一度、舞踏会に行きたかった・・・。)
「フレイ・・・?」
私の様子がおかしい事に気付いたのか・・・少し心配そうに私の名を呼ぶエドマンドの声にハッと我に返る。
「とっ、とにかく・・・!誤解を生む様な行動は慎んで下さいませ!エドマンド様は、これから婚約者を見つけるお立場の方なのですから・・・!メイドである私との要らぬ噂が立っては、出来るものも出来ませんから・・・!」
以前顔を俯かせたまま・・・そう言葉を続ける私に、違和感を感じ始めたエドマンドが、こちらへと歩み寄って来ているのを足音で感じた。
「フレイ・・・?大丈夫・・・?」
この声を私は知っているーーー。
私を心配してくれている時にいつも、エドマンドが掛けてくれた言葉だ。
とても優しくて懐かしい声。
「だ、大丈夫に決まっています!」
それでも顔は上げられない・・・。
だってもう・・・涙が溢れて止まらない状態なのだ。
自分でもどうにも出来ない状況に私が出来る事と言えば・・・虚勢を張り続ける事位だけだ。
「ーーー!!!・・・・ちょっ?!!」
「フレイが大丈夫って言う時は・・・ほとんど大丈夫じゃ無いんだよ。」
まさかの行動に思わず変な声を出してしまった・・・。
だってーーー・・・
俯いている私をエドマンドが抱擁して来たのだ・・・。
6年前とは違い・・・すっぽりとエドマンドの腕の中に収まってしまった私は、咄嗟に離れようと抵抗したがびくともしない。
丁度顔に当たる胸板はとても硬く・・・男らしさを感じてしまった私は、恥ずかしくなってしまい心臓がドキドキと強く鼓動を打ち始めた事を感じる。
(6年前のエドマンドとは違う・・・どこもプニプニしてないし・・・腕もゴツゴツして・・・力も全然敵わない・・・)
「もうどこもプニプニしてないだろ?」
「わ、私は・・・!あれはあれで抱き心地が良くて、気に入ってたのよ?」
私が幼い頃に・・・エドマンドを抱き締めては、「プニプニしてて気持ちが良い」と揶揄っていた事をどうやら根に持っているのか・・・
そんな事を意地の悪い笑みを浮かべて聞いて来るエドマンドに・・・悪口のつもりで言っていた訳では無いと反論する。
でも確かに、まぁ・・・抱き締めて貰うのだったら、今のエドマンドの方が良いかもしれない・・・。なんちゃって・・・ね。
(・・・・・・・って、おおおおおぉぉい!!!)
ロマンス小説の世界にでもトリップしてしまったのか・・・自分のお役目を忘れて乙女の様に恥じらっていた自分に、自分で突っ込みを入れると・・・再度、腕から離れようと力を入れるが・・・びくともしない。
「エド・・・マンド様!今、まさに私が注意した事!!こういう事なんですけど?!!」
「ふふ・・・離して欲しいの?」
エドマンドの顔を見上げてそう注意をするが・・・当の本人には全く届いておらず・・・何となく話が噛み合わない。
そして私は・・・このエドマンドの返答を知っている。かつての自分がよく言っていた台詞だからね・・・。
「ええ・・・そろそろ登園しないと流石に不味いですし・・・ね。離して頂けると嬉しいのですが・・・」
(嫌な予感しかしないけど・・・10年以上前の事だもの・・・覚えて無いわよね?)
「違うよ~!フレイ!いつも自分が僕に言ってきてた事なのに、忘れちゃったの?」
嫌な予感が的中してしまい・・・思わず頭がクラクラとした。
「あ、あの頃はまだお互い幼かったから・・・!出来た事で・・・!今は駄目よ!絶対に駄目!!!」
「じゃあ良いよ。離さないから!」
私が必死にそう説得をしても・・・エドマンドはそれ以外の方法を元より受け入れるつもりが無いらしく・・・
腕に力を込めて、私を抱き人形かの如くギューっとしてきた。
(これ以上は・・・!私の心臓が持たないわ・・・!!!)
エドマンドの体とかつて無い程に密着してしまっている私は・・・もう、頭が沸騰しそうな勢いで恥ずかしい。
改めて周りに誰も居ない事を入念にチェックした私は・・・、自分に「時間も無いし、仕方ない!」と言い訳を繰り返すと・・・覚悟を決めた。
幼い頃に私がエドマンドを抱き締めて揶揄っていた時・・・いつも、離して欲しいと言うエドマンドにさせていた事。
それはーーーほっぺにちゅうだ。
ーーーちゅっ、
「~っ!こ、これで良いでしょ?!さぁ、遅刻してしまいますから・・・いい加減学園に向かいましょう!」
照れ隠しでエドマンドの緩んだ腕をすぐに解くと、エドマンドに背を向けたままそう言葉を放つ。
エドマンドの姿を見る勇気が無い私は・・・学園の方へと我先にと歩き出した。
男子寮へと続く道は舗装されてはいるものの・・・人一人分の細い道でおまけに木々が生い茂っている為、外からは見えにくい。
登園開始時刻が目前に迫っているこの時間では・・・元々人通りがほとんど無いこの道を使っている人は、いない様で誰ともすれ違わないし、人影も見えない。
周りに誰も居ない事を確認した私は・・・エドマンドの背中から手を離すと、彼と向き合った。
「いや・・・フレイが道とか分からないんじゃ無いかと思って・・・。迎えに行ったら喜んでくれるかと思ったんだけど・・・、」
「いや・・・お気持ちは嬉しいですけど・・・」
(ーーーって!駄目駄目ぇぇぇ!)
俯きながら子犬の様な瞳で訴えてくるエドマンドの姿に・・・危うく流されてしまいそうになった私は、
エドマンドへと差し伸べそうになった手を自分の反対の手でパシん!と掴むと、放り投げた。
「エドマンド様・・・無礼を承知で申し上げますが・・・ご自分の立場がよく分かっておいででは無い様ですね?」
「爺やみたいな事言わないでくれよ・・・」
「いいえ!言わせて頂きます!ーーーエドマンド様は王族からの信頼も厚いハイネス公爵家の跡取りで・・・何より・・・未婚約者なのですよ?!!公衆の面前で・・・メイドの私にあ、あ、愛を囁くなど御法度なのです!!」
私のお説教にわざとらしく耳を指に突っ込んで聞こえないフリをするエドマンドに・・・さらに腹が立ってしまった私は、思わず感情的になってしまった。
「大体・・・私はメイドなのですよ?もう以前の様な子爵令嬢では無いんですから・・・!幼なじみとして大切に扱って下さっている事には感謝しておりますが・・・私達二人はもう・・・幼なじみでは無く・・・雇い主とメイドという・・・主従関係なのですから・・・。」
(・・・あ。やばい。自分で言ってて泣きそうになって来たーーー。)
エドマンドに涙を悟られる訳にはいかない私は、俯いたまま動けなくなってしまった。
当たり前の事なのに・・・分かっていた事なのに・・・いざ言葉にして見ると、悲しくなって来てしまったのだ。
だって私はーーー・・・本音を言えば、没落なんてしたくなかったし・・・エドマンドとも幼なじみのままで居たかった。
成金子爵でも良いから・・・エスコートの申し出を受けられる・・・貴族の一員で居たかった・・・。
(そして・・・今、目の前に居るエドマンドと・・・もう一度、舞踏会に行きたかった・・・。)
「フレイ・・・?」
私の様子がおかしい事に気付いたのか・・・少し心配そうに私の名を呼ぶエドマンドの声にハッと我に返る。
「とっ、とにかく・・・!誤解を生む様な行動は慎んで下さいませ!エドマンド様は、これから婚約者を見つけるお立場の方なのですから・・・!メイドである私との要らぬ噂が立っては、出来るものも出来ませんから・・・!」
以前顔を俯かせたまま・・・そう言葉を続ける私に、違和感を感じ始めたエドマンドが、こちらへと歩み寄って来ているのを足音で感じた。
「フレイ・・・?大丈夫・・・?」
この声を私は知っているーーー。
私を心配してくれている時にいつも、エドマンドが掛けてくれた言葉だ。
とても優しくて懐かしい声。
「だ、大丈夫に決まっています!」
それでも顔は上げられない・・・。
だってもう・・・涙が溢れて止まらない状態なのだ。
自分でもどうにも出来ない状況に私が出来る事と言えば・・・虚勢を張り続ける事位だけだ。
「ーーー!!!・・・・ちょっ?!!」
「フレイが大丈夫って言う時は・・・ほとんど大丈夫じゃ無いんだよ。」
まさかの行動に思わず変な声を出してしまった・・・。
だってーーー・・・
俯いている私をエドマンドが抱擁して来たのだ・・・。
6年前とは違い・・・すっぽりとエドマンドの腕の中に収まってしまった私は、咄嗟に離れようと抵抗したがびくともしない。
丁度顔に当たる胸板はとても硬く・・・男らしさを感じてしまった私は、恥ずかしくなってしまい心臓がドキドキと強く鼓動を打ち始めた事を感じる。
(6年前のエドマンドとは違う・・・どこもプニプニしてないし・・・腕もゴツゴツして・・・力も全然敵わない・・・)
「もうどこもプニプニしてないだろ?」
「わ、私は・・・!あれはあれで抱き心地が良くて、気に入ってたのよ?」
私が幼い頃に・・・エドマンドを抱き締めては、「プニプニしてて気持ちが良い」と揶揄っていた事をどうやら根に持っているのか・・・
そんな事を意地の悪い笑みを浮かべて聞いて来るエドマンドに・・・悪口のつもりで言っていた訳では無いと反論する。
でも確かに、まぁ・・・抱き締めて貰うのだったら、今のエドマンドの方が良いかもしれない・・・。なんちゃって・・・ね。
(・・・・・・・って、おおおおおぉぉい!!!)
ロマンス小説の世界にでもトリップしてしまったのか・・・自分のお役目を忘れて乙女の様に恥じらっていた自分に、自分で突っ込みを入れると・・・再度、腕から離れようと力を入れるが・・・びくともしない。
「エド・・・マンド様!今、まさに私が注意した事!!こういう事なんですけど?!!」
「ふふ・・・離して欲しいの?」
エドマンドの顔を見上げてそう注意をするが・・・当の本人には全く届いておらず・・・何となく話が噛み合わない。
そして私は・・・このエドマンドの返答を知っている。かつての自分がよく言っていた台詞だからね・・・。
「ええ・・・そろそろ登園しないと流石に不味いですし・・・ね。離して頂けると嬉しいのですが・・・」
(嫌な予感しかしないけど・・・10年以上前の事だもの・・・覚えて無いわよね?)
「違うよ~!フレイ!いつも自分が僕に言ってきてた事なのに、忘れちゃったの?」
嫌な予感が的中してしまい・・・思わず頭がクラクラとした。
「あ、あの頃はまだお互い幼かったから・・・!出来た事で・・・!今は駄目よ!絶対に駄目!!!」
「じゃあ良いよ。離さないから!」
私が必死にそう説得をしても・・・エドマンドはそれ以外の方法を元より受け入れるつもりが無いらしく・・・
腕に力を込めて、私を抱き人形かの如くギューっとしてきた。
(これ以上は・・・!私の心臓が持たないわ・・・!!!)
エドマンドの体とかつて無い程に密着してしまっている私は・・・もう、頭が沸騰しそうな勢いで恥ずかしい。
改めて周りに誰も居ない事を入念にチェックした私は・・・、自分に「時間も無いし、仕方ない!」と言い訳を繰り返すと・・・覚悟を決めた。
幼い頃に私がエドマンドを抱き締めて揶揄っていた時・・・いつも、離して欲しいと言うエドマンドにさせていた事。
それはーーーほっぺにちゅうだ。
ーーーちゅっ、
「~っ!こ、これで良いでしょ?!さぁ、遅刻してしまいますから・・・いい加減学園に向かいましょう!」
照れ隠しでエドマンドの緩んだ腕をすぐに解くと、エドマンドに背を向けたままそう言葉を放つ。
エドマンドの姿を見る勇気が無い私は・・・学園の方へと我先にと歩き出した。
25
お気に入りに追加
3,436
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】婚約破棄された令嬢の毒はいかがでしょうか
まさかの
恋愛
皇太子の未来の王妃だったカナリアは突如として、父親の罪によって婚約破棄をされてしまった。
己の命が助かる方法は、友好国の悪評のある第二王子と婚約すること。
カナリアはその提案をのんだが、最初の夜会で毒を盛られてしまった。
誰も味方がいない状況で心がすり減っていくが、婚約者のシリウスだけは他の者たちとは違った。
ある時、シリウスの悪評の原因に気付いたカナリアの手でシリウスは穏やかな性格を取り戻したのだった。
シリウスはカナリアへ愛を囁き、カナリアもまた少しずつ彼の愛を受け入れていく。
そんな時に、義姉のヒルダがカナリアへ多くの嫌がらせを行い、女の戦いが始まる。
嫁いできただけの女と甘く見ている者たちに分からせよう。
カナリア・ノートメアシュトラーセがどんな女かを──。
小説家になろう、エブリスタ、アルファポリス、カクヨムで投稿しています。
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
彼を追いかける事に疲れたので、諦める事にしました
Karamimi
恋愛
貴族学院2年、伯爵令嬢のアンリには、大好きな人がいる。それは1学年上の侯爵令息、エディソン様だ。そんな彼に振り向いて欲しくて、必死に努力してきたけれど、一向に振り向いてくれない。
どれどころか、最近では迷惑そうにあしらわれる始末。さらに同じ侯爵令嬢、ネリア様との婚約も、近々結ぶとの噂も…
これはもうダメね、ここらが潮時なのかもしれない…
そんな思いから彼を諦める事を決意したのだが…
5万文字ちょっとの短めのお話で、テンポも早めです。
よろしくお願いしますm(__)m
結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?
秋月一花
恋愛
本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。
……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。
彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?
もう我慢の限界というものです。
「離婚してください」
「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」
白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?
あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。
※カクヨム様にも投稿しています。
〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる