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本編
6年ぶりの再会 ・・・ 2
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再会の余韻に浸っていた私は、テーブルの上に並べられているティーセットを見てハッと我に返る。
(エドが気付く前にきちんと言うべきよね・・・?)
「そのエド・・・私、実は・・・先に紅茶を頂いてしまって・・・本当にご、ごめんなさい!!!」
私が頭をガバッと下げると・・・エドマンドがテーブルの上にあるティーセットにようやく気付いたらしく・・・テーブルの方へと歩く様子が下げた視線からでも分かった。
「こ、これを・・・フレイがーーー?!」
爺やの言葉を信じた馬鹿な私を、今すぐ往復ビンタして目を覚まさしてやりたい気持ちになる・・・。
エドマンドのその声から察するに、やはり・・・こんな事は許されない事だと痛感し、猛省する。
許して貰えるとは思えないが、謝罪をしようと顔を上げたら・・・エドマンドは怒り心頭という様子で私の声が思わず震え出す・・・
「エド・・・本当に・・・ごめんなさー」
「こんな安物の茶葉をフレイに出すなんて・・・!!!爺やの奴!何を考えているんだ!!!」
(・・・・・・・・・え?)
「ごめんね?フレイ!美味しく無かったろう?・・・あ!勿論、ティーセットもこんな陳腐な物では無く、フレイ専用のものを用意しているよ!」
(・・・・・・ん?・・・はぁ?ーーーえぇ?!)
「ま、待って・・・!チャンスをくれ!本当にきちんと用意しているんだ・・・!!すぐに!すぐに用意させるから・・・!!」
呆気に取られている私を置いて、走り去ってしまったエドマンドは・・・どうやら部屋を出てしまったらしく、重厚な扉の閉まる音が部屋に響いた。
ようやく冷静にエドマンドの言葉を考える時間が出来た私はー・・・、
エドマンドのお咎めを受けるであろう爺やに思いを馳せて、慌ててエドマンドを追い掛ける事とした。
「言い訳など見苦しいぞ!爺!これで・・・フレイが帰ると言い出したら・・・あああぁ・・・、どう責任を取るつもりなんだ!!!」
「お待ち下さいませ・・・坊っちゃま。ちゃんと契約をしてお連れしておりますから・・・帰るという事は有り得ませー」
「黙れ!!では・・・フレイに嫌われてしまったらどうするんだ?!!俺がこの6年間・・・血の滲むような努力を何の為にして来たか・・・忘れたのか?!!」
部屋を出てすぐに聞こえて来るエドマンドの怒り狂っている声と・・・焦る爺やの声に頭が痛くなってしまった私は、思わず頭を抱えてしまう。
(エドったら・・・爺やに対して強気なのは、6年前と変わっていないのね・・・。)
子供の様に爺やに文句を並べているエドマンドに、たじたじの爺やの姿は6年前迄と変わらぬ見慣れた光景であった・・・
が!!ここは屋敷では無く由緒正しき王立学園の男子寮なのだ。
疎らでは有るが、既に寮には制服に身を包む男性の姿もちらほらと見受けられる最中・・・
ハイネス公爵家の嫡男であるエドマンドが、こんな感情的な姿を公衆の面前に晒すのは絶対に良くない。
「エドマンド様・・・?如何なさいましたか?」
堪らず姿を表して満面の笑みでそうエドマンドに問い掛けると・・・
6年振りとは言え、私の引き攣った笑顔を見て怒っている事を瞬時に察してくれたエドマンドは、爺やの顔をチラリとだけ見ると、バツが悪そうに俯いた。
「さぁ・・・どうぞ?続きはお部屋でお聞き致しますから・・・」
「あ・・・はい。」
先程までの熱が何処かへ吹き飛ばされたかの如く、大人しくなったエドマンドは小さくそう呟くと、真っ直ぐに部屋の方へと黙って歩き出した。
「た、助かりました・・・。フレイヤ様・・・、感謝致します。」
爺やにそう耳打ちをされた私は・・・爺やの苦悩の日々が易々と想像出来てしまい、哀れみの瞳を向けずには居られなかった。
(エドが気付く前にきちんと言うべきよね・・・?)
「そのエド・・・私、実は・・・先に紅茶を頂いてしまって・・・本当にご、ごめんなさい!!!」
私が頭をガバッと下げると・・・エドマンドがテーブルの上にあるティーセットにようやく気付いたらしく・・・テーブルの方へと歩く様子が下げた視線からでも分かった。
「こ、これを・・・フレイがーーー?!」
爺やの言葉を信じた馬鹿な私を、今すぐ往復ビンタして目を覚まさしてやりたい気持ちになる・・・。
エドマンドのその声から察するに、やはり・・・こんな事は許されない事だと痛感し、猛省する。
許して貰えるとは思えないが、謝罪をしようと顔を上げたら・・・エドマンドは怒り心頭という様子で私の声が思わず震え出す・・・
「エド・・・本当に・・・ごめんなさー」
「こんな安物の茶葉をフレイに出すなんて・・・!!!爺やの奴!何を考えているんだ!!!」
(・・・・・・・・・え?)
「ごめんね?フレイ!美味しく無かったろう?・・・あ!勿論、ティーセットもこんな陳腐な物では無く、フレイ専用のものを用意しているよ!」
(・・・・・・ん?・・・はぁ?ーーーえぇ?!)
「ま、待って・・・!チャンスをくれ!本当にきちんと用意しているんだ・・・!!すぐに!すぐに用意させるから・・・!!」
呆気に取られている私を置いて、走り去ってしまったエドマンドは・・・どうやら部屋を出てしまったらしく、重厚な扉の閉まる音が部屋に響いた。
ようやく冷静にエドマンドの言葉を考える時間が出来た私はー・・・、
エドマンドのお咎めを受けるであろう爺やに思いを馳せて、慌ててエドマンドを追い掛ける事とした。
「言い訳など見苦しいぞ!爺!これで・・・フレイが帰ると言い出したら・・・あああぁ・・・、どう責任を取るつもりなんだ!!!」
「お待ち下さいませ・・・坊っちゃま。ちゃんと契約をしてお連れしておりますから・・・帰るという事は有り得ませー」
「黙れ!!では・・・フレイに嫌われてしまったらどうするんだ?!!俺がこの6年間・・・血の滲むような努力を何の為にして来たか・・・忘れたのか?!!」
部屋を出てすぐに聞こえて来るエドマンドの怒り狂っている声と・・・焦る爺やの声に頭が痛くなってしまった私は、思わず頭を抱えてしまう。
(エドったら・・・爺やに対して強気なのは、6年前と変わっていないのね・・・。)
子供の様に爺やに文句を並べているエドマンドに、たじたじの爺やの姿は6年前迄と変わらぬ見慣れた光景であった・・・
が!!ここは屋敷では無く由緒正しき王立学園の男子寮なのだ。
疎らでは有るが、既に寮には制服に身を包む男性の姿もちらほらと見受けられる最中・・・
ハイネス公爵家の嫡男であるエドマンドが、こんな感情的な姿を公衆の面前に晒すのは絶対に良くない。
「エドマンド様・・・?如何なさいましたか?」
堪らず姿を表して満面の笑みでそうエドマンドに問い掛けると・・・
6年振りとは言え、私の引き攣った笑顔を見て怒っている事を瞬時に察してくれたエドマンドは、爺やの顔をチラリとだけ見ると、バツが悪そうに俯いた。
「さぁ・・・どうぞ?続きはお部屋でお聞き致しますから・・・」
「あ・・・はい。」
先程までの熱が何処かへ吹き飛ばされたかの如く、大人しくなったエドマンドは小さくそう呟くと、真っ直ぐに部屋の方へと黙って歩き出した。
「た、助かりました・・・。フレイヤ様・・・、感謝致します。」
爺やにそう耳打ちをされた私は・・・爺やの苦悩の日々が易々と想像出来てしまい、哀れみの瞳を向けずには居られなかった。
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