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本編
いい加減にして下さい!
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王族が主催の大きな舞踏会という事も有り、会場には沢山の紳士淑女が集まっていた。
勿論、会場に並んでいる調度品や料理はどれも豪華の一言で思わず空いた口が塞がらなくなってしまう。
「エド・・・!王宮ってとても素敵な場所ね?!私、こんなに舞踏会が素敵な場所だとは知らなくて・・・少し興奮してしまっているわ!」
「あ、あぁ・・・そう、だね・・・。」
大興奮の私とは裏腹に俯きがちにずっと床と睨めっこをしているエドマンドは、よくよく見ると気分が悪いのか顔色がとても悪かった。
「エド・・・!?ごめんなさい、私ったらパートナーなのに気付いてあげられなくて・・・!今、お水を・・・!」
「大丈夫!大丈夫だから・・・、お願い、一人にしないで・・・。」
今にも泣き出しそうな程に弱々しいその言葉に・・・腕を振り払える筈もない私は、前に出していた足を元の位置へと戻す。
「じゃあ・・・一緒にお水を頂きにいきましょう?・・・ね?」
彼の顔を覗き込みながら、囁いたその瞬間だったーーー
「あらあらあら!フレイヤにエドマンド様では有りませんか・・・!」
(・・・げっ。)
今、一番会いたくない人が一番悪いタイミングでやって来た。
お父様の仰った通り・・・好きそうな派手目なドレスに身を包んでそこに居たのは私の姉、マチルダだった。
ちなみに高身長、香水強め、クセも強そうな男性が隣にいらっしゃる。
「お姉様・・・、先ほどぶりですわね。」
「マチルダ嬢・・・ご機嫌よう。」
何とか引きつりそうな顔の筋肉を総動員して、私は笑顔を作ってお姉様に挨拶をするが・・・エドマンドの顔色は益々悪くなる一方だ。薄っすらと額に汗まで浮かび始めている。
「エドマンド様・・・この度はエスコートをお引き受け出来ず申し訳有りませんでした。フレイヤも・・・私の次に素敵なドレスですわね?とってもお似合いよ?」
わざとらしくエドマンドに頭を下げたお姉様は、エドマンドの姿を値踏みするかの如く下から上までゆっくり見ると最後にプッと笑い出した。
「でもねぇ・・・?私の隣に立つには少し・・・いや、かなり?横に広がり過ぎですわよね、エドマンド様は・・・」
「あぁ・・・!もしかして君って、ハイネス公爵家の御子息の・・・噂の豚公爵なのかい?」
頭のネジを数本は落として来てしまっている感じのエスコート役の男性は、悪気のない感じでエドマンド本人に直接聞いて来た。
失礼極まりない彼を止める訳でもなく、愉快だとでも言い出しそうな勢いで高笑いをしているお姉様と・・・知らぬ間に私達を取り囲んでいる人達のクスクスとエドマンドを嘲笑っている雑音に、私は怒りのあまり手が震えだす。
「ごめん・・・フレイ・・・僕のせいで君まで笑われてしまって・・・。」
私が怒りからでは無く、笑われている事にショックを受けて手を震わしていると勘違いしたエドマンドは、悲しそうな顔でそう囁いた。
「いい加減にして下さいませ!!!!」
これ以上、大切な幼なじみが辱められているのを黙って見ている事なんて出来なくなってしまった私は・・・ホール中に響き渡る程のボリュームで思わず叫んでしまった。
私が感情剥き出しで怒っているのに面食らった様子のお姉様とパートナーは、少し後退りしたものの、すぐに開き直ってしまう。
「きゅ、急にそんな大声を出して・・・!ハンメルン家の品位が疑われてしまうじゃないの・・・!見っともない!」
見っともないのはお前だ!と言い返したかったが・・・
言い返すよりも何よりも、エドマンドをこの場から連れ出す事が何よりも優先すべき事だと思った私は、
お姉様達を冷たく睨みつけると・・・エドマンドの手を取り、バルコニーへと早歩きで向かった。
勿論、会場に並んでいる調度品や料理はどれも豪華の一言で思わず空いた口が塞がらなくなってしまう。
「エド・・・!王宮ってとても素敵な場所ね?!私、こんなに舞踏会が素敵な場所だとは知らなくて・・・少し興奮してしまっているわ!」
「あ、あぁ・・・そう、だね・・・。」
大興奮の私とは裏腹に俯きがちにずっと床と睨めっこをしているエドマンドは、よくよく見ると気分が悪いのか顔色がとても悪かった。
「エド・・・!?ごめんなさい、私ったらパートナーなのに気付いてあげられなくて・・・!今、お水を・・・!」
「大丈夫!大丈夫だから・・・、お願い、一人にしないで・・・。」
今にも泣き出しそうな程に弱々しいその言葉に・・・腕を振り払える筈もない私は、前に出していた足を元の位置へと戻す。
「じゃあ・・・一緒にお水を頂きにいきましょう?・・・ね?」
彼の顔を覗き込みながら、囁いたその瞬間だったーーー
「あらあらあら!フレイヤにエドマンド様では有りませんか・・・!」
(・・・げっ。)
今、一番会いたくない人が一番悪いタイミングでやって来た。
お父様の仰った通り・・・好きそうな派手目なドレスに身を包んでそこに居たのは私の姉、マチルダだった。
ちなみに高身長、香水強め、クセも強そうな男性が隣にいらっしゃる。
「お姉様・・・、先ほどぶりですわね。」
「マチルダ嬢・・・ご機嫌よう。」
何とか引きつりそうな顔の筋肉を総動員して、私は笑顔を作ってお姉様に挨拶をするが・・・エドマンドの顔色は益々悪くなる一方だ。薄っすらと額に汗まで浮かび始めている。
「エドマンド様・・・この度はエスコートをお引き受け出来ず申し訳有りませんでした。フレイヤも・・・私の次に素敵なドレスですわね?とってもお似合いよ?」
わざとらしくエドマンドに頭を下げたお姉様は、エドマンドの姿を値踏みするかの如く下から上までゆっくり見ると最後にプッと笑い出した。
「でもねぇ・・・?私の隣に立つには少し・・・いや、かなり?横に広がり過ぎですわよね、エドマンド様は・・・」
「あぁ・・・!もしかして君って、ハイネス公爵家の御子息の・・・噂の豚公爵なのかい?」
頭のネジを数本は落として来てしまっている感じのエスコート役の男性は、悪気のない感じでエドマンド本人に直接聞いて来た。
失礼極まりない彼を止める訳でもなく、愉快だとでも言い出しそうな勢いで高笑いをしているお姉様と・・・知らぬ間に私達を取り囲んでいる人達のクスクスとエドマンドを嘲笑っている雑音に、私は怒りのあまり手が震えだす。
「ごめん・・・フレイ・・・僕のせいで君まで笑われてしまって・・・。」
私が怒りからでは無く、笑われている事にショックを受けて手を震わしていると勘違いしたエドマンドは、悲しそうな顔でそう囁いた。
「いい加減にして下さいませ!!!!」
これ以上、大切な幼なじみが辱められているのを黙って見ている事なんて出来なくなってしまった私は・・・ホール中に響き渡る程のボリュームで思わず叫んでしまった。
私が感情剥き出しで怒っているのに面食らった様子のお姉様とパートナーは、少し後退りしたものの、すぐに開き直ってしまう。
「きゅ、急にそんな大声を出して・・・!ハンメルン家の品位が疑われてしまうじゃないの・・・!見っともない!」
見っともないのはお前だ!と言い返したかったが・・・
言い返すよりも何よりも、エドマンドをこの場から連れ出す事が何よりも優先すべき事だと思った私は、
お姉様達を冷たく睨みつけると・・・エドマンドの手を取り、バルコニーへと早歩きで向かった。
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