あなたと二人

ゆきちん

文字の大きさ
上 下
10 / 13
モヤモヤ

しおりを挟む

帰ろうとするとノンちゃんがやってきていつものように地元民しか通らない近道を歩いていた



「はあっ……いつもここまで来たらやっと帰れるって思って気を抜けるよ」



メインの通学路からは雑木林があって見えないポイントに差し掛かっていた


ここからは道もどんどん通学路から離れていくので、学校の人に会わないで済むと気持ちが弛みユキは学校での緊張感のある張り詰めた空気を出していた自分をリセットして肩の力を抜けるポイントだった



「あははははっ
ユキちゃんのクラスから毎日禍々しい真っ黒なオーラが廊下まで出てるからね~」


「んなオーラ出してないし」


「どこがよ?
私がいつ行っても半径1メートルに誰もいないじゃん
超『近づくなオーラ』が出まくってるって~」



それがわかっててもあの陽気な態度で来れる空気を読まないノンちゃんに呆れてユキもクスッと笑ってしまった


「本当に空気読まない女~」


「だって別にユキちゃんはユキちゃんだもん
それで近づけなかったら親友は勤まらないっすよ」



こんな状態でも親友と言ってくれる彼女を有り難くも少し迷惑にも思いながら「あっそうですか まぁノンちゃんのそういう所は凄いと思うわ」と苦笑いしながら嫌味交じりに言うが彼女は「ふふ~んっ」と少し胸を張ってニコッとしていた



「で、ノンちゃんのクラスはどう?
友達出来た?」


「ん~ うちら学年で1クラスだったから大勢いる雰囲気が慣れなくてまだよくわかんないけど話す子は出来たよ」


「ふ~ん 良かったじゃん」



ノンちゃんのクラスメイトの話やユキは見知らぬ先輩ヤンキー女子の話や相変わらずまだ来るウザイ男子からの声かけの愚痴を話しながら歩いていると家の前まで着いた



「何かさ、学校行くと夕飯の買い物に行くのすら面倒になってくるよ」



ユキの家は母子家庭で三人姉妹の四人家族だが、姉は彼氏の家や友達の所に泊まっていて毎日帰って来ない人なのでおらず、妹は一つ下で小6だが帰ってきたらすぐに塾や習い事に出掛けるので、引きこもりをやっていた時期に母から「何もしてないからユキが夕飯担当ね」と任命されてしまい、そこから学校に通い出した今でも継続させられていた


今までは学校に行かなかったので夕方の値引きされる半額セールの買い物に息抜きとして出掛けるのも楽しみの一つにはなっていたのだが、学校に行くと引きこもり時代の生活のリズムとは違うので帰ってから出歩くのが億劫に感じてきて夕飯は何をつくろかなど考えてる気分も買い物に行く気分すらも薄れていた


部屋に戻ると出掛ける気も薄れてしまい、メイクも落とし着替えダラダラとしながら部屋で葛藤してから仕方なく買い物に出掛けるような毎日になっていて、最近やっとお肉などは少し多めに買ってきて数日分を小分けにして冷凍しておく事を覚えて毎日の買い物から解放された



『超楽になったぁ~
……って、今更こんな事知ったなんて私バカじゃん……』



そんな事を帰りながらノンちゃんに話すと彼女は買い物に行かないなら寄っていくと言い出してユキの部屋に来た
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

もう一度7歳からやりなおし!王太子妃にはなりません

片桐葵
恋愛
いわゆる悪役令嬢・セシルは19歳で死亡した。 皇太子のユリウス殿下の婚約者で高慢で尊大に振る舞い、義理の妹アリシアとユリウスの恋愛に嫉妬し最終的に殺害しようとした罪で断罪され、修道院送りとなった末の死亡だった。しかし死んだ後に女神が現れ7歳からやり直せるようにしてくれた。 もう一度7歳から人生をやり直せる事になったセシル。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...