あなたと二人

ゆきちん

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数日経っても相変わらずユキの周りには人は寄り付かず孤立して浮いた
そのような人には度胸試しのような男子からの声かけがたまにあった


そしてある日、そんな中でもヤンキーデビューしたばかりであろう見た目だけで何のオーラもない違うクラスの不良見習いのような男子がやってきた


「姉ちゃんてあのミーさんだろ?」


「だから?」


イキがって馴れ馴れしく話しかけてきた男子を鬱陶しそうに圧をかけながら睨みを利かせる

しかし彼は不良になったプライドなのか少したじろぎながらも強気で「俺も同じグループに入ったし仲良くしようぜ」とユキの机に手をついて乗り出すようにして言ってきた



教室内は『なんで他のクラスのヤンキーまで……』『二人は知り合い?』など、様々な憶測を呼び多少ザワザワしながら遠目からこちらを見ている陰口と視線は感じていた



『こんなのと知り合いとか仲良しそさとか思われるのも鬱陶しい……』



ユキは軽くあしらおうと思っているのだが、彼がユキの所属しているレディースと仲良くしている暴走族チームに入っていると言われたので、あまり冷たくするとまた姉達から冷やかされるネタになりそうなので彼にはこれで去ってほしいと思いながら無言で圧をかけた


しかし、そもそもレディースと仲良くしている暴走族はいくつもあるが、合同で集まった時でもユキは基本的に男子とは会話はしないので暴走族に誰がいるのかもほとんどわかっていないくらい交流を拒絶していたのだ

そんなユキが会話を交わす男子は片手ほどもおらず、むしろ同じレディースチーム内でも数人以外は仲間意識すら持っていなかったので彼のそんな話は正直どうでもよく馴れ馴れしくされる事に嫌悪感しかなかった


そして、こういう見た目だけのチャラいヤンキーは一番嫌いなので、全く諦める様子もなくさらに話だしてきた彼を見ているとムカムカしてきた

彼以前の他の男子のイライラも合わさってしまい、ついついユキは乗り出していた彼の胸元を持つとグッと引き寄せてしまった

すると、驚きながら少し引きつった顔をした彼を本気で睨みながらイライラを込めた低い声でゆっくりと言った


「ウゼェんだよ! カスがっ!
族に入ったから何なの?
そんなん関係ないから!
それにまだペーペーの下っ端だろ
私に馴れ馴れしくすんな!
わかったか
次来たら殺すぞ」


そう言って少し押すようにしながら手を離すと、つい数秒前まで強がりニタニタしながら偉そうに言ってきていた彼の顔はから笑顔が消え怯えた顔つきになっていた
「は……はぃ……」と小さな声で返事をすると恥ずかしそうに小走りに教室を出て行った


『ホントに鬱陶しい』


ちょっとスッキリしたユキは少し息を吸ってから「ふぅっ」とため息をついて前を向くと教室内は凍りついたように引いた空気が流れていて、ユキが顔を横に向けると全員が一斉に目を逸らせた



『あっ、しまった……ついつい……
うわっ 超居づらい』



比較的小声で彼には言ったのだが、ヤンキーなりたてとは言ってもヤンキー男子の胸ぐらを女子が掴んで凄んでいて、それが要注意人物のユキだった事もあり『やっぱりこの人はヤバい人だ』という空気が教室中から伝わってきたのでユキも空気を察して席を立つと教室を出てトイレに向かった


トイレは5組と6組の教室の中間にあるのでユキの教室からは遠いので面倒だが、あの空気の中で座っているよりマシなので仕方なく廊下を歩いていた



ユキが歩くと当然のように道が開け注目を集める周りの行動は変わりない……

ヤンキーの思考にありがちな目立ちたいという気持ちは一切なく、逆に『目立ちたくはない、空気だと思って無視しといて』という想いで歩いていた



『あっ、いた』


そんな暗くなる気持ち中でユキの視線はある人を見つけ追ってしまっていた
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