あなたと二人

ゆきちん

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登場

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「あの子があの人の妹の……」
「うわっ やっぱ本当にヤバい人なんだ?」



『コソコソ話してるけど全部聞こえてるって……』



この格好をしているのは姉の影響ではない
そんな事を言った所で誰も聞いてくれないだろうし何も変わらないのはわかっている
そんな気持ちをわかってもらおうとは思わないから言わないだけだ

友達など作りたいとも思っておらず一人で生きていこうと思っているユキは周りからどう思われようと何も感じなかった



そんな女子が噂をしていたユキの姉は県下最大のレディースグループの次期総長候補で現在は特攻隊長をしている危険人物だ

その妹のユキが新入生として入ると入学前から他校でも噂になっていた

そんな所にいきなりこのような出で立ちで現れたら当然のように噂が噂を呼んで、またありもしないでっち上げの噂がさらに尾びれ背びれを付けて話を大きくしながら他のクラスにも流れていた


『バッカじゃないの?
どうやったらそんなあり得ない話が出来上がるのよ』



この見た目のユキと姉も含めた理解出来ないような事実無根の噂話……


『あぁぁ……もうそんなの飽き飽き……』


濡れ衣を着せられるのは慣れてきたが当然気分が良いものではない

この見た目はユキの覚悟でもある


誰かに「それは間違っている」と言われようと信じる人のいないユキには偽善者の戯れにしか聞こえない

虚勢を張り、強くあり続けなければ再び自分が壊れてしまう



退屈で忌々しい時間を共有しなければいけないあなた達へのメッセージ


「くだらない……」


ザワつきが収まらない教室でユキは無表情に誰にも聞こえない小声でボソッと一言呟いた


……私は自分の席にただ座っているだけなのに……ホントにくだらないヤツラ……

 
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