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まだ学校内に人があまり来ないユキからしたら気を抜ける憩いの場などないので教室で大人しく座っていた
まだ新入学で浮かれ気分の取れていない一年生達は違う学校から来た新しいクラスメイト達と仲良くなろうと放課のたびにキャッキャしながら楽しそうに会話をする賑やかな教室内にユキは居場所のなさを感じていた
『周りがうるさいのは別にいいんだけど……暇すぎる……マジで帰りたくなる』
授業が始まれば暇ではなくなるのでいいのだが、ユキにとっては皆が楽しみにしている放課のこの何もやる事のない退屈な時間がたまらなく苦痛だった
暇潰しで教科書を読んで時間を潰したいのだが、この見た目のユキが教科書なんて見ていたら絶対に変な噂がまた拡がるのはわかっているのでそれすらも我慢していた
いっそのこと寝てしまおうと目を閉じていると、聞き耳を立てているわけではないが周りの会話が耳に入ってきて、ラジオを聞いているかのように聞き流しながら時間の過ぎるのを待つ放課を繰り返していた
とっとと終わって早く帰りたい……そんな事を考えていると、ふと人の気配を感じて薄目を開けた
ノンちゃんが驚かそうと思ってこっそり近寄ってきたのかと思ったら、こういう所に空気も読まずに敢えて話しかけて来ようとする調子のいい男子が来ていた
「あ、あの、佐々木…さん……だよね」
「だから?」
ユキは首を少し斜め傾けながら眉間にシワを寄せて下から少し睨むようにして見ると男子は一瞬怯んだ顔をして「いや……あの……お、俺、伊東雄大……同じクラスだから……」と言って不安そうな表情でユキを見た
「で?」
新しい学校の新しいクラスメイトに対してなら男子の行動は何らおかしな事ではないのだが、クラスメイトとも馴れ合う気のないユキにとっては不愉快極まりない行動に受けとれてしまう
不機嫌そうに彼を見て威圧感を出しながら一言だけで返事をすると、彼はどうしていいかわからないが早くこの場を立ち去りたいような弱気な顔をしながら振り絞るように「ょ……ょろしく……」と、少し震えた声で言った
「…………あっそ……ウザイ」
ユキはあしらうように冷たくいい放つと「ご、ごめんなさい」と彼は言い残して逃げるように足早にその場を立ち去った
『バッカじゃないの?
何を偽善者ぶって話しかけてきてんだよ
謝るくらいなら最初から近づくなっての
マジでウザイ』
その後、数人の男子が怖いもの見たさ的な感じで話しかけてきたのでユキもいい加減イライラが募ってきていた時に一番空気を読まないアイツがやってきた
「ユッキちゃ~ん」
「だからさ、マジで来なくていいって言ったでしょ
ノンちゃんも自分のクラスで仲良く楽しんどきなって」
「だってユキちゃん一人だと寂しいでしょ」
今まで超危険物の腫れ物扱いで周りに人が近寄ろうともせずにクラスで浮きまくりのユキを全く怯えもなくフレンドリーに話しかけ、さらに不機嫌丸出しで近寄る男子の心を打ち砕いていたユキが呆れ顔だが普通に会話をしている姿に周りがヒヤヒヤした顔で注目していた
「うわっ 超視線が刺さる」
こんな注目のされ方だがノンちゃんは何故か嬉しそうにしているのでユキは呆れ顔で素っ気なく言った
「だから言ってんじゃん
て言うか何を喜んでんのよ
もう帰りな」
ノンちゃんは目立ちたがり屋で浅い考えで安直に行動して失敗を繰り返してもめげないと言うか学習しない性格なので、ユキは男子からのウザイ挨拶が落ち着きだしたので再び火種を撒き散らさないでほしい気持ちしかなかった
「もぉ~ 恥ずかしがり屋さんっ
私も初日だからクラスに馴染まないと
んじゃまた来るね~」
彼女はそう言うとニコニコとして慌ただしく教室を出て行った
しかし、ノンちゃんのペースで少し表情を緩めたユキだったが、また不機嫌そうな雰囲気を出すと周りは再び見て見ぬ振りをしてユキと目を合わさないようにしていた
『もう……早く帰りたい……マジで放課が嫌い』
まだ新入学で浮かれ気分の取れていない一年生達は違う学校から来た新しいクラスメイト達と仲良くなろうと放課のたびにキャッキャしながら楽しそうに会話をする賑やかな教室内にユキは居場所のなさを感じていた
『周りがうるさいのは別にいいんだけど……暇すぎる……マジで帰りたくなる』
授業が始まれば暇ではなくなるのでいいのだが、ユキにとっては皆が楽しみにしている放課のこの何もやる事のない退屈な時間がたまらなく苦痛だった
暇潰しで教科書を読んで時間を潰したいのだが、この見た目のユキが教科書なんて見ていたら絶対に変な噂がまた拡がるのはわかっているのでそれすらも我慢していた
いっそのこと寝てしまおうと目を閉じていると、聞き耳を立てているわけではないが周りの会話が耳に入ってきて、ラジオを聞いているかのように聞き流しながら時間の過ぎるのを待つ放課を繰り返していた
とっとと終わって早く帰りたい……そんな事を考えていると、ふと人の気配を感じて薄目を開けた
ノンちゃんが驚かそうと思ってこっそり近寄ってきたのかと思ったら、こういう所に空気も読まずに敢えて話しかけて来ようとする調子のいい男子が来ていた
「あ、あの、佐々木…さん……だよね」
「だから?」
ユキは首を少し斜め傾けながら眉間にシワを寄せて下から少し睨むようにして見ると男子は一瞬怯んだ顔をして「いや……あの……お、俺、伊東雄大……同じクラスだから……」と言って不安そうな表情でユキを見た
「で?」
新しい学校の新しいクラスメイトに対してなら男子の行動は何らおかしな事ではないのだが、クラスメイトとも馴れ合う気のないユキにとっては不愉快極まりない行動に受けとれてしまう
不機嫌そうに彼を見て威圧感を出しながら一言だけで返事をすると、彼はどうしていいかわからないが早くこの場を立ち去りたいような弱気な顔をしながら振り絞るように「ょ……ょろしく……」と、少し震えた声で言った
「…………あっそ……ウザイ」
ユキはあしらうように冷たくいい放つと「ご、ごめんなさい」と彼は言い残して逃げるように足早にその場を立ち去った
『バッカじゃないの?
何を偽善者ぶって話しかけてきてんだよ
謝るくらいなら最初から近づくなっての
マジでウザイ』
その後、数人の男子が怖いもの見たさ的な感じで話しかけてきたのでユキもいい加減イライラが募ってきていた時に一番空気を読まないアイツがやってきた
「ユッキちゃ~ん」
「だからさ、マジで来なくていいって言ったでしょ
ノンちゃんも自分のクラスで仲良く楽しんどきなって」
「だってユキちゃん一人だと寂しいでしょ」
今まで超危険物の腫れ物扱いで周りに人が近寄ろうともせずにクラスで浮きまくりのユキを全く怯えもなくフレンドリーに話しかけ、さらに不機嫌丸出しで近寄る男子の心を打ち砕いていたユキが呆れ顔だが普通に会話をしている姿に周りがヒヤヒヤした顔で注目していた
「うわっ 超視線が刺さる」
こんな注目のされ方だがノンちゃんは何故か嬉しそうにしているのでユキは呆れ顔で素っ気なく言った
「だから言ってんじゃん
て言うか何を喜んでんのよ
もう帰りな」
ノンちゃんは目立ちたがり屋で浅い考えで安直に行動して失敗を繰り返してもめげないと言うか学習しない性格なので、ユキは男子からのウザイ挨拶が落ち着きだしたので再び火種を撒き散らさないでほしい気持ちしかなかった
「もぉ~ 恥ずかしがり屋さんっ
私も初日だからクラスに馴染まないと
んじゃまた来るね~」
彼女はそう言うとニコニコとして慌ただしく教室を出て行った
しかし、ノンちゃんのペースで少し表情を緩めたユキだったが、また不機嫌そうな雰囲気を出すと周りは再び見て見ぬ振りをしてユキと目を合わさないようにしていた
『もう……早く帰りたい……マジで放課が嫌い』
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