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玲の会社
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「前回に引き続き、宿題にしていた企画案をお願いします」
玲の会社では次回のEXPO内でのイベントについて企画案を出し合っていた。
人工知能のイベントではあるが、主に医療従事者向けや介護等に特化し人に寄り添うロボットの開発をメインとしたものだ。
和と輪をテーマに国内外のさまざまな企業が展示場に軒を連ねる。
日本のみならず海外企業も参入するという事もあり、和洋を基本とした企画を求められていた。
概ねのコンセプトは固まっているものの、これといったメインになるイベントやゲスト登壇が決まっていない。
「でしたら、ゲストに去年の朝ドラの女優さんはどうですか?あの作品、終わってからしばらく経っていますが未だに根強い人気ですし、清純派女優という事でユーザー受けもいいんじゃないでしょうか。」
そのドラマは戦後の激動の時代を健気に生きる女性の話で、とある大御所女優が亡くなる最後の作品として話題となっていた。
彼女の遺作となったそのシーンは落ち込んでいるヒロインにお抹茶を点てて言葉数少なくともヒロインに勇気を与えるもので、後のストーリーに影響を与える印象的なシーンだった。
その後彼女が使っていたお抹茶茶碗や着物メーカーに多くの問い合わせが殺到したらしい。
ヒロイン役の女優も泣きの演技は素晴らしかったけどやはり貫禄が違っていた。
彼女がご存命であれば一緒に仕事をしてみたかったな。
あのドラマの影響力は凄まじく、一時期は町おこしとして数多くの地方企業とコラボし、和服や小物等が常に話題になっていたのだ。
ヒロインを演じた池辺カヨはテレビ出演の際は決まって着物を着ていた。
和装なら海外の受けもいい。それに彼女は確か英語も話せたはず。
本当なら長身の海外タレントにも着物を着てもらいたいけど…そこまでの予算はないから話題性を考えると池辺かな。
「あー。あのヒロイン役の子ね。ウチの子が好きって言ってたな。確かに前は凄かったけど今ならスケジュール空いてそうだよね。代理店どこだっけ?」
「それなら僕が聞いておきますよ。別件で丁度連絡する予定でしたし。無理なら代替案含めて相談しておくので提案書のデータもらっていいですか?」
桐生との出会いは玲にとって良いインスピレーションを生み出す事となった。
今回の企画も玲が主導で動き、和モダンのコンセプトで動こうという提案も先日の出会いがあってこそだ。
毎回同じようなインバウンド向けデザインに辟易としていたチームメンバーはすぐにGOサインをだしてくれた。
「おい川瀬ぇ!最近調子いいじゃん。何かいい事あった?みんなあの川瀬さんが率先して会議に参加してるって喜んでたぞー。」
同僚の西谷が声をかけてきた。
お調子者だがコミュ力が高く、取引先との飲み会の場ではそういった会が苦手な玲に代わって盛り上げてくれる。
玲は会議中に発言するのが苦手で、あの短時間で言いたい事をまとめる西谷達はどんな特訓を積んでいるのかと本気で調べたものだ。
毎回後から意見をメールで送ったり直接話しかけたりするものの、会議中の発言よりもインパクトに欠ける。
しかし最近では良いものに出会えた事で自信につながっていたのだ。
実は…と言いかけて玲は口をつぐんだ。
桐生との出会いは秘密にしておきたい。
あの店は都内にありながらまるで自分だけの隠れ家や秘密基地を見つけたような高揚感があった。
それを誰かに共有してしまえばあの時間は自分だけのものではなくなる。
お店的には口コミを広げた方がいいんだろうけど…。
「いや、なんでもないよ。丁度あの時代の映画を昨日見てたから思い付いただけ。」
「へぇ…そうなんだ?あ、そうだ。さっき代理店に聞いといたぜ。詳しくは事務所確認にはなるだろうけど、今はドラマ出演セーブしてる時期だし多分スケジュール大丈夫だって。内容もイメージを損なうものでもないし後で正式にメールくれるってさ。」
「流石仕事が早いな。良かった、じゃあ詳しく内容詰めないとな。」
「ま、半年後だし全体のコンセプトは固まってるからなんとかなるっしょ。」
これから忙しくなる。
日々の激務から逃れる癒しを求めて、玲は桐生に会える週末を今か今かと指折り数えていた。
玲の会社では次回のEXPO内でのイベントについて企画案を出し合っていた。
人工知能のイベントではあるが、主に医療従事者向けや介護等に特化し人に寄り添うロボットの開発をメインとしたものだ。
和と輪をテーマに国内外のさまざまな企業が展示場に軒を連ねる。
日本のみならず海外企業も参入するという事もあり、和洋を基本とした企画を求められていた。
概ねのコンセプトは固まっているものの、これといったメインになるイベントやゲスト登壇が決まっていない。
「でしたら、ゲストに去年の朝ドラの女優さんはどうですか?あの作品、終わってからしばらく経っていますが未だに根強い人気ですし、清純派女優という事でユーザー受けもいいんじゃないでしょうか。」
そのドラマは戦後の激動の時代を健気に生きる女性の話で、とある大御所女優が亡くなる最後の作品として話題となっていた。
彼女の遺作となったそのシーンは落ち込んでいるヒロインにお抹茶を点てて言葉数少なくともヒロインに勇気を与えるもので、後のストーリーに影響を与える印象的なシーンだった。
その後彼女が使っていたお抹茶茶碗や着物メーカーに多くの問い合わせが殺到したらしい。
ヒロイン役の女優も泣きの演技は素晴らしかったけどやはり貫禄が違っていた。
彼女がご存命であれば一緒に仕事をしてみたかったな。
あのドラマの影響力は凄まじく、一時期は町おこしとして数多くの地方企業とコラボし、和服や小物等が常に話題になっていたのだ。
ヒロインを演じた池辺カヨはテレビ出演の際は決まって着物を着ていた。
和装なら海外の受けもいい。それに彼女は確か英語も話せたはず。
本当なら長身の海外タレントにも着物を着てもらいたいけど…そこまでの予算はないから話題性を考えると池辺かな。
「あー。あのヒロイン役の子ね。ウチの子が好きって言ってたな。確かに前は凄かったけど今ならスケジュール空いてそうだよね。代理店どこだっけ?」
「それなら僕が聞いておきますよ。別件で丁度連絡する予定でしたし。無理なら代替案含めて相談しておくので提案書のデータもらっていいですか?」
桐生との出会いは玲にとって良いインスピレーションを生み出す事となった。
今回の企画も玲が主導で動き、和モダンのコンセプトで動こうという提案も先日の出会いがあってこそだ。
毎回同じようなインバウンド向けデザインに辟易としていたチームメンバーはすぐにGOサインをだしてくれた。
「おい川瀬ぇ!最近調子いいじゃん。何かいい事あった?みんなあの川瀬さんが率先して会議に参加してるって喜んでたぞー。」
同僚の西谷が声をかけてきた。
お調子者だがコミュ力が高く、取引先との飲み会の場ではそういった会が苦手な玲に代わって盛り上げてくれる。
玲は会議中に発言するのが苦手で、あの短時間で言いたい事をまとめる西谷達はどんな特訓を積んでいるのかと本気で調べたものだ。
毎回後から意見をメールで送ったり直接話しかけたりするものの、会議中の発言よりもインパクトに欠ける。
しかし最近では良いものに出会えた事で自信につながっていたのだ。
実は…と言いかけて玲は口をつぐんだ。
桐生との出会いは秘密にしておきたい。
あの店は都内にありながらまるで自分だけの隠れ家や秘密基地を見つけたような高揚感があった。
それを誰かに共有してしまえばあの時間は自分だけのものではなくなる。
お店的には口コミを広げた方がいいんだろうけど…。
「いや、なんでもないよ。丁度あの時代の映画を昨日見てたから思い付いただけ。」
「へぇ…そうなんだ?あ、そうだ。さっき代理店に聞いといたぜ。詳しくは事務所確認にはなるだろうけど、今はドラマ出演セーブしてる時期だし多分スケジュール大丈夫だって。内容もイメージを損なうものでもないし後で正式にメールくれるってさ。」
「流石仕事が早いな。良かった、じゃあ詳しく内容詰めないとな。」
「ま、半年後だし全体のコンセプトは固まってるからなんとかなるっしょ。」
これから忙しくなる。
日々の激務から逃れる癒しを求めて、玲は桐生に会える週末を今か今かと指折り数えていた。
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