ステータス表記を変えて貰ったら初期設定に戻ってたー女神公認のハーレム漫遊記ー

ささやん

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5章 表舞台へ、静かに階段を上る

69話 脳裏に浮かぶ可能性を男は否定したい

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 元締めであるキャンベラと別れ、館を出た俺はシズクと話をするのに適した場所を捜しながらプリットへと向かっていた。

 そして、拓けた緩やかな丘で辺りを見渡した俺はここで話をしようと決める。

 当初は四面、壁に覆われた機密性が高そうな所を、と考えていたが逆に盗み聞き、もとい盗み見されるか分からないということで拓けた今いるような場所をチョイスした。

 マロン達みたいに寝室の盗み聞きとかされたら困るからな~

 俺は隠れる場所すらない辺りを見渡し、見える範囲で誰も居らず、探査でも引っ掛かるモノが無い事を確認するとシズクを呼んだ。

「シズクいる?」
『聞いて、本当に私、そんな事してないの、信じて!』

 いきなり書き殴るように光文字でそう言ってくるシズクに一緒、面喰ったがすぐに苦笑を浮かべた俺が宥める。

「さっきも心で伝えたと思うけど、まったく疑ってないから」
『ほんと、ほんと?』

 俺は、うんうん、と迷いもなく頷いてみせると『シーナ~(^○^)』と書いてきて、落ち着いたようだ。

 シズクは神様の割に幼いところがある。実際に神といてはまだ若い神なのかもしれない。

 だが、そういう感情の起伏が若い神だったから、違う世界で200回事故死させられていた俺を見つけて『助けなきゃ』と他の神が管理する世界に介入して俺を救ってくれたのだろうと俺は思ってる。

 そんなシズクを疑ったりは当然しない。

 まあ、惚れた弱みからの判断じゃないとは言わないけどね?

 俺はゴホンと咳払いをして改めてシズクに聞く。

「シズクはキャンベラの言う巫女についてどう思う?」
『うーん、一応、あのお爺ちゃんのように1000年に1人の化け物が2人いたという可能性は天学的な数字ではあるけど0じゃない……』

 可能性としては有り得るが、やっぱりシズクもおかしいと思っているようだ。

 得体が知れない相手としか言えない巫女が気持ち悪い。

 シズクには、それよりも気になっている事があるらしく質問してきた。

『それはともかく、シーナはあの娘の要望を受けるの?』
「それな、前向きには考えたいとは思ってるけど、キャンベラ達が嘘を言っては無かったけど、本当に応援すべき問題かは分からないんだよ」

 確かに、ワイバーンの一件で王国軍に対して抱いた苛立ち、そして街を守る立場だったフェレチオ子爵の我関せずと保身に入った事に対する怒りもある。

 街にワイバーンが復讐しにきたのだって、そうさせるのが目的ではなく結果そうなっただけだ。

 勿論、今の王国に強い不信感はあるが、正義感だけで『成敗!』、何度も思うが俺はどこぞの黄○様じゃない。

 元の世界でも、政治家や金持ち、脛に傷のある者達であっても力でねじ伏せるというのはどうかと思ってしまうのは、やはり、まだ元の世界の常識に囚われてるからかと嘆息してしまう。

「その辺りはすぐに判断は出来ないんだが、その巫女について、ちょっと思う事があるんだが……」
『なに、なに?』
「シズクが俺にしてくれたような事が起きてる可能性はないのか?」

 そう言った俺の言葉にすぐに返事はなく、少し沈黙を保った後、シズクが確認を取るように言ってくる。

『えっと、私がシーナを送ったように誰かを送ったってこと? 信じてくれたんだよね?』
「そっちじゃない。俺が元の世界で転生し続けるのに介入したようなことのほう」
『えっえっ? だってアレはシーナの世界の神が禁忌を……』

 再び、沈黙が下りる。

 どうやら俺が言いたかった事が何なのか伝わったようだ。

 正義感よろしくと黄○様するように、神々の父の処罰、リスクを恐れずに行動したらという、人で言うところの『犯罪者』になることを恐れなかった場合の話だ。

『……シーナ、少し時間が欲しいの』
「ああ、頼む。俺にはどうにもならないからシズク頼りになってすまないと思ってる。出来れば外れてて欲しい可能性だけどな」
『任せて』

 そう言うと光文字は風に消え、シズクの気配も消えた。

 1000年に1人の化け物が2人いた説であって欲しいが……

 俺はキャンベラの話を嫁達に話して情報を共有する為に家路を急ぐ為、駆け出す。

「他にもすべき事、やりたい事が沢山あるのに頭が痛いな」

 駆け出した勢いで空中へと身を躍らせた。



 俺は農場の土地の購入の手続きにてこずって、建物を出ると既に陽は沈み、月は上がり、こないだ見上げた時は三日月だったがだいぶ丸みを帯びていた。

 キャンベラとの面談から5日が経過していた。

 ワイバーンの素材の代金は2日前に情報屋経由で運ばれてきて、その金が入ってから農場拡大に動き出した。

 まあ、その代金がなくても農場を拡大する金がなかった訳じゃないが万が一、買い取り不可だった場合が目も当てられないので一応、おとなしく待った訳だ。

 ちなみにチロに頼んだ皮の方はまだ時間がかかると言っていたが「問題ない、任せろ!」と言っていたので取引が無くなったりなどの心配はしてないと言って、経過待ちだ。

 キャンベラと面談して帰って、嫁達、ターニャとパメラに報告相談したり、キャンベラが若い女であると女のカンか何かで察した2人に3日連続、マシマシで絞り取られたりした。

 浮気を疑った訳ではないが、何故かイラっとしたらしい。おそらく俺がキャンベラのツンデレが尊いと思って可愛いと思ったのを察したのかもしれない。

 ある意味、俺よりチートだと思う。

 そして、当日、帰ってくるのが遅く、ターニャとパメラの刑が執行されたことでお風呂で待ってたラフィ達が待ちぼうけになり、次の日の風呂の時に現れた3人が

「3倍って言ったのに」

 と半眼で睨まれたのに怯んだ俺にミサが

「10ば……」
「お、俺は生きるぅ!」

 生存本能の訴えに従い、すぐさま、踵を返して逃げようとしたが3人に捕まり、ずるずると引きずられて風呂へと連行された。

 まさに天国と地獄を味わった数日間だった。

 そして、今日は手続きの事もあり、少し頬が欠けた俺にお肌がツヤツヤのターニャ達、ラフィ達に「今日はゆっくり寝てね?」と恩赦が出た。

 今日はゆっくり風呂入って寝るんだぁ!

 そんな事を考えながら農場の物置きがある辺りに来た時、その物影から見知った顔の少女が姿を現した。

 ビキニのバレオタイプに羽織るベスト、そして美しい銀髪までが土埃で汚れ、右腕、左足にはぞんざいに巻かれた布には血が滲んでいた。

「もう2、3日は早く来ると願ってたんだけどね。やっぱり無茶したんだね、ティテール」

 その痛々しい姿を見て、悲しくはあるが生きてそこにいるだけでも良かったと溜息を零す俺は近寄って行く。

 そして、ティテールに『ハイヒール』唱えて、治療をしたが歯を食い縛り過ぎて歯茎から新しく血を流す。

「貴方が……取り返しがつかなくなると言ったからっ!!」
「……ああ、分かってる。行こうか」

 そう言って俺はティテールを引き連れて夜の帳へと姿を消した。
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