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3章 白いアレを求めて三千里

30話 森のクマさん、林のスイさん、上手い事を言えてない男

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 ターニャと別れて、スイを追いかけた俺だが、それほど時間をかけずに後ろ姿が見える距離まで追い付いた。

 追い付いたスイの後ろ姿は酷く存在が希薄に感じ、どこか足下も定まってないように見えた。

 むぅ、スイは何をしてるんだろう。これがマロンとかだったら探検! とか本気で考えてそうだから、今すぐ首根っこを掴まえに行くところなんだが……

 真面目なスイがマロンと同レベル説は省けるとして、例えば、脅迫されてコッソリ宿を出た説。

 その可能性もまた低い。3人娘はプリット生まれだと聞いていたし、着いた時の商店街を見て回りたいというあの様子から、少なくとも物心が付いてから来てないと思われるスイを脅迫する者がいるだろうか?

 後、有りそうなのは……操られているだろうか、漫画とかで良くある展開だ。

 脅迫、操りのどちらにせよ、相手を押さえないと解決にはならない。

 いや、待て……告白されるというパターンもあるか!

 そういえば、俺達が食事してる時に酒を飲んでた若い冒険者がスイを見てた気がする。

 ふっふふ、お話し合いが必要だな……

 バキボキバキ

 こんな非常識な時間に呼びだすなんて……ええっ、勿論、それが理由であり、許可されてないのに強引に『お兄ちゃんパンチ』を発動させるつもりは決してない、ない。

 スイの後ろ姿を追っているとどうやら街から出るようだ。

 街の外までだと……これは『お兄ちゃんキック』の出番もあるな!

 追跡する俺だが、ここからは距離を取らないと駄目だ。街中だと隠れる場所が多いが外になると拓けた場所が多い。

 仕方がない、探査で追っていくしかないな。

 そして、俺も城門を抜ける。

 おいおい、警備兵の兄ちゃん、居眠りしてるよ。起きてたらスイを呼び止めてたんだろうけどな。

 これがプリットだったらザンのオッサンの熱い、筋肉による指導ものだったぜ? 良かったな、ロッカクの警備兵で?


 スイから距離を取り、しばらく歩くと探査の反応、スイの動きが止まる。しかし、スイ1人のようで首を傾げる。

 誰かがいると思ったんだが……探査にスイに近寄る反応はないし、とりあえず、近くに行ってみよう。

 スイが居る場所は森というより、林の奥のようだ。

 慎重に近づいて行くと俺の耳に女の子の声が微かに聞こえてくる。スイの反応がある方向と同じだったのでゆっくり歩を進めた。

 目の前にある草むらの向こう辺りにスイがいるはずの場所に到着するが、そこから聞こえる声を聞いて探査の精度を疑いながら草むらをどけて覗き込む。

 ぶはっ!

 本当に噴き出しそうになった俺だったがギリギリ耐える。

 俺が覗き込んだ先には捜し人であるスイが確かにいたが、そこにある光景に俺の目は点になった。

「ん、ああぁ、いいっああ」

 くちゅくちゅくちゅ

 シャツを巻くし上げて、膨らみかけの乳房を左手で乱暴に揉み、パンツを膝の辺りまで下ろしてピッチリと一本線の秘所に指を這わせる。

 興奮の為か、真っ白な頬だけじゃなく全身、朱色に染め、乱暴に揉んでいた左手で乳首を抓み上げ、気持ち良さそうに仰け反る。

「し、しびれる、もっとぉぉ!」

 はっは、と荒い息を吐いて、両手で乳房を捏ねまくり、軽くイッたばかりのところに強い刺激を与えた為、絹のような白髪が跳ね、月明かりで煌めく。

 なんじゃ、こりゃ……

 スイがしてるのは簡単に言うとオナニーで難しく言うなら自慰だ。悪い、俺も混乱してる。

 しかも、覗き込んだ場所が丁度、真正面でスイのM字開脚がモロの場所だ。

 2度イッたが満足出来なかったのか、舌舐めずりをして、いつもより紅くなっている瞳で虚空を見つめ、両手を秘所へと向かわせる。

「くはぁ……駄目、これ、駄目、いいぃ……」

 くちゅちゅくちゅくちゅ じゅぶじゅぶ

 まるで掻き毟るように秘所を弄っていると指がクリトリスを引っかいたようで、舌を突き出して震えるスイ。

 むぅ、これは心配して来た訳だが、俺の行動ってアウトじゃねぇ?

 いくら心配だといっても、これは不味いと判断した俺は少し離れた位置で探査の反応をみようと引き下がろうと考えた。

 完全放置も危ないしな。

 そう思って離れようとした時、スイが呟いた言葉で動きが止まる。

「いいっ、もっと苛めて、先輩!」

 はい?

 今、先輩と言ったか? ってことはスイがオカズにしてるの俺なの!

 俺が知る限り、スイが先輩と呼ぶのは俺だけだ。ターニャもパメラもお姉様と呼んでいるし、先輩として俺の次点と思ってるらしいモヒン先輩も敬称を付けるだけだ。

 どうしたらいいの? こんな場面に遭遇した経験のある人、今すぐアンサー送って!!

 動けなくなっている俺を余所に再び、絶頂を向かえたらしいスイ。

 本気でどーしたらいいのっ!!

 頭を抱えて転がりまくりたい俺の心境に構わず、スイは立ち上がり、自分の秘所を弄りったせいでテラテラになった指を妖艶に舐めながら吐息を洩らす。

 それはスイの年で出来る顔じゃないと思うぞ? 明らかに様子がおかしい。

「足りない、これじゃ足りない……」

 小ぶりの乳房を晒し、パンツも中途半端にしたまま、スイは俺が居る方向と反対側に向かう。

 次は何をするつもりなんだ?

 ふらつきながら歩くのを警戒しながら近づくとスイは野犬と遭遇する。

 あかん、あんな正気を失ったようなスイが野犬と遭遇したら!

 飛びだそうとしたが、スイの瞳が一瞬、強く紅く輝くと体をビクッと震わせると動きが止まる。

 金縛りみたいだな?

 動けなくなっている野犬に、とてもスイの引き出しにあったとは思えない冷笑を浮かべて近寄る。

 震える野犬を抱くようにするとスイは口を大きく開けた。

 もしかして、あれは牙か?

 開かれたスイの口に人のモノとは思えない犬歯が見える。

 おかしい、女の子の口の中をジロジロ見ないし、スイのも知らないがあんなのなかった気がしたが……

 そして、俺が見てる前でスイは野犬に牙を突き立てる。

 すると、野犬のか細い鳴き声が俺の耳に届き、野犬の皮が弛み始め、ついには野犬は白目を剥く。

 動かなくなった野犬を放るスイの口許は血で汚れ、快感に酔うように震えていた。

 スイって吸血鬼なのか? いや、待て、別の理由かもしれない。



 スイ  Lv2 吸血鬼、初覚醒

 HP:21 MP:25

 ちから:9 みのまもり:11
 きようさ:12 すばやさ:10
 かしこさ:30 うん:15


 スキル:剣術Lv1 盾術Lv1 身体強化Lv0

     氷魔法Lv1

     御者Lv1

     礼儀作法

     (魔眼)(吸血)覚醒時のみ


 吸血鬼で本決まりか。初覚醒というのが不穏だ、これって暴走状態とかじゃないよな……

「足りない……」

 そう呟いたスイがロッカクの街がある方向を見た瞬間、俺は草むらから立ち上がる。

 駄目だ! このまま本能に引っ張られるように人を襲ったらスイの心がどうなるか!

 飛びだした俺に気付くとスイは牙を剥き出しにして飛びかかってくる。

 その襲いかかるスイの顔はいつもの少女の顔とは思えない恐怖を与え、人を怯ませる怖さがあった。

 だが、俺は先輩であり、お兄ちゃんだっ!

 飛び込んでくるスイを抱き止めて、首に噛みつこうとするスイの行動より早く頭を抱えるように抱き抱えて叫ぶ。

「クリア!!」

 状態回復魔法を唱えたと同時にスイの牙が肌に当たるがそこで止まる。

 俺に抱きつく形になってたスイの腕の力抜けるのを感じて上手くいったと安堵した。

 暴走状態だったら、状態回復魔法のクリアが効くかもと思ったけど、賭けの部分があったから本当にホッとした。

「あっ……あっあっああああぁぁ!!」

 我に返ったらしいスイが俺に抱き抱えられ、俺の首に口を当てて、口の周りが血だらけになっている事に気付いて絶叫する。

 俺は一旦、抱くのを止めて見つめあえるように少しスイを引き剥がす。

「大丈夫だ、大事に至ってない、落ち着け!」

 俺を見つめる紅い瞳は酷く弱々しく揺れ、涙を流す。

 その瞳に写される俺を見て、感じているモノも痛いほど伝わってきた。

 恐怖、それは嫌われる事、拒絶される事を恐れる色が渦巻いていた。

 どうしていいか、分からなくなっていると思われるスイが、逃げようとするのを逃がさないとばかりに抱き抱える。

 左手は腰を抱き、右手は頭を抱えるようにして、俺の存在が伝わるように優しく頬と頬を擦り当てる。

「俺は決してスイを見捨てない、嫌わない。困ってる事があるなら俺がなんとかする。信じろ、スイ」

 そう、俺が言ってやるとヒクッヒクと上ずり始める。

 大丈夫さ、俺は決して可愛い後輩を見捨てたりしない!

 ギュッと抱き締めるとスイは声を上げて泣き始める。

 その泣き声が年相応の少女のものと感じてホッとした俺は、スイの背中を優しく叩く。

 俺はスイが泣きやむまで「大丈夫、大丈夫」と言い続け、もうちょっと気の利いた事が言えないものかと苦笑しながらスイの頭を撫で続けた。
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