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3章 白いアレを求めて三千里
26話 訓練の仕方の変更の必要性を男は感じる
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マロン達を連れて、冒険者ギルドへとやってきた。
早速、カウンターに向かい、昨日のうちに確保しておいた依頼書を受付嬢のスピアに手渡す。
実はこのスピアさん、パメラと親友だったりする。かなり深い付き合いのようで俺との夜の話まで聞き出す手腕の持ち主だったりしたりするが、開き直って仲良くしている。
向こうも俺を友達と思ってくれており、良好な関係を築けている。
「酒場の開店準備手伝いですね……あら、やだ。これってヨダさんの依頼じゃないですか……つい数週間前までは受ける側の冒険者だったと思うと変な気持ちですが……ごめんなさい、1人で考え耽っちゃって」
「いえいえ、俺も感慨深いものがありますよ。スピアさんほど交流はありませんが、同じ冒険者として思うところがあったりしますしね」
ゴブリン神の報酬を受け取って店を開いた人である。大抵の人は店を開く場合、違う街でするパターンが多いようで俺も初めて見た。
やっぱり、逃げたみたいに感じて後ろめたいとかあるのかな?
本当のところは引退したとしても人手が足りなくなると協力要請がくるのが面倒らしい。
客商売してるから下手な断り方出来ないという理由が一番のようだ。
スピアさんと話してるとマロンがソッと俺が出した依頼書の下にゴブリン討伐を挿し込もうとしてる。
俺もソッとマロンの頭頂部にチョップを入れる。
ウーン、背が小さいからチョップしやすいなぁ。
しかし、買い物籠にお菓子を忍ばせる子供か!? まあ、子供なのかもしれない、12歳だしな。
両手で頭を押さえて涙目のマロンを無視して、挿し込もうとしたゴブリン討伐の依頼書をスイに手渡す。
「返しておいて」
「はい、分かりました」
スイに有難うと告げ、見送っているとマロンが「裏切り者」と声をかけるが当人にはスル―される。
そして、俺に依頼書を奪われて、ブーブーと文句言う事にシフトしたマロンの小さい鼻を抓んでやる。
痛がるマロンを無視して、俺は背後にいるターニャにお願いする。
「説教しておいてくれる?」
「本当にこの子は懲りないよね」
ターニャはマロンの耳を抓んで引っ張るので鼻は抓むのを解除する。
マロンの悲しげな声に別れを告げ、前を向くと依頼処理していたスピアさんに依頼書にサインを求められる。
普通に依頼受ける時はそんな事は要らないが、冒険者見習いと指導員という形を取っている以上、誰の依頼を誰が指導したかという書面を残す必要があるのだ。
「キャウ、代表としてサインしといて」
「はい~」
サインを書き終えると俺達は早速、冒険者ギルドを出ようとする。
出口付近に来た時、スピアに呼ばれる。
「あの、シーナさん、少しよろしいでしょうか?」
「えっと……」
振り返ってターニャを見ると頷かれる。
「この子達の引率はウチがしとくから、後から追いかけてきて」
「有難う、すぐに追いつくよ」
ターニャ達に手を振って見送ると俺は再び、カウンターへと戻った。
スピアは俺に顔を近づけろというゼスチャーをするので素直に従うと小声で話しかけてくる。
「ティテールさん、プリットに帰って来てるみたいですよ」
俺はあの一件、ゴブリン神の時に姿を晦ましたティテールが気になって、スピアさんに見かけたら教えて欲しいと伝えていた。
捜してた事を隠してる訳じゃないので、こそこそする必要性はないのだが、流れで俺も声を潜ませる。
「有難うございます。それはともかく何故、小声?」
「……それがどうやら厄介な方とお付き合いがあるようなんで……」
スピアの話を纏めるとこうだ。
プリットはそれほど栄えている訳ではないせいか貴族や大商人と呼ばれる存在が少ないらしい。
その貴族でプリットで一番の爵位持ちがフェレチオ子爵なんだそうだ。
このフェレチオ子爵の評判がよろしくない。人身販売から麻薬取引など悪い噂が絶えない。そんなフェレチオ子爵の悪口を言ってるのを聞かれたりしたら殺されると言うのが定説のようだ。
生死は分からないが居なくなった人はそれなりにいるらしい。いなくなる直前に会ってた人物からフェレチオ子爵の噂話をしてたという証言が多い。
正直、スピアも関わりたくないようだ。
「これ、シーナさんからのお願いだったから話をしましたけど、その辺の人相手だったら知らぬ振りしましたよ? 気になっているようですけど……関わらない方がいいと思いますけど……」
「有難う。でも……中途半端は気持ち悪いからさ」
苦笑いする俺がそう答えると深い溜息を零すスピアが紙切れを手渡してくる。
「これは?」
「シーナさんならそう言うと思ってましたんで、信用出来る情報屋さんのご紹介です。自分で調べようとしてたんじゃないですか? 万が一があったらパメラが悲しむのを分かってますよねっ!」
スピアさんに言われた通り、そうしようと思っていた。
勿論、スパイ活動に必要なスキルを取得するつもりはあった。しかし、取得するだけでは意味がないというのは痛感していたから渡りに船だ。
それは常に探査と危険感知をアクティブに出来るようになって実感がある。探査範囲にモンスターが現れても浮かぶ地図を見なくてもどちらの方向に居るや、数も分かるようになった。
まさに雲泥の差があった。
今じゃ、この2つのスキルを起動しながらでも寝られる。
スピアから受け取った紙切れを開くと中には情報屋の名前と居る場所が書かれていた。
「早速、行かせて貰うな」
「本当に無茶しないでね?……あ、それとは関係ないんだけど……」
そこでスピアに話された内容はティテールの情報で驚きとは、また違う驚きを俺にもたらした。
そして、俺は差し出された依頼を快諾した。
酒場の開店準備を終えた一旦、俺の家の近くに戻ってきた。
「じゃ、ウチは家事があるから帰るね?」
「うん、それと後でちょっと相談があるから」
そう言うと首を傾げたターニャが頷くのを見届けて手を振る。
マロン達は何だろうという好奇心を覗かせてこちらを見ていた。
「先輩、何かあったんですか~?」
「ん、別にたいした話じゃないが気になるか?」
3人に頷かれて苦笑してしまう。
「分かった、分かった。訓練終わった後に話そう。多少は3人にも影響あるしな」
自分達も関係がなくはないと分かって目をパチクリさせる。
何かを予想し始めているようで話し込みそうな空気が生まれたので手をパンパンと叩いて意識をこちらに向けさせる。
「そんなの予想しなくても後で教えるから。時間は有限、訓練を始めるぞ」
そう言って、訓練内容が身体強化と分かると嬉しそうに俺の前に来て1列になって並ぶ。
1日、時間を取って訓練する時は実技の訓練を入れたりするが、今日みたいに短い時間の時は身体強化の取得する訓練をする事が多い。
時間をかけずともスキル譲渡すればすぐなんだが、未だにターニャとパメラに譲渡方法がキスやセックスなどの粘膜接触が必要と言ったままだったりして首を絞めていた。
分かるだろ? そんな事した日には俺は最低のロリコン認定を受ける。
俺はロリもグラマーも愛せる最高なヤツなのに……
なので、スキル製造機に吐かせた……根気良く聞き出す事、2日目にして正規の取得方法を得た。
その方法は魔力制御が出来る者が身体強化を覚えさせる相手に魔力を送り、全身の神経に流して循環させて、魔力の循環する感覚を体に覚えさせるというモノであった。
この方法が出来るのが身体強化が使えて、魔力制御があるのが必須らしい。俺はどちらも持っている。
自分が使えないのに正しい循環方法なんて分からないしな。
「ねっねっ、シーナ先輩、アタシからだから、早く!」
両手を俺に差し出して急かすマロンに苦笑する。
訓練を嫌い、実践をしたいと騒ぐマロンが自分から前向きな訓練はこれだけだ。疲れるのが嫌なのかと思えば瞑想が一番嫌らしい。
マロンの両手を手にとって目を瞑る。
「始めるぞ、いつも通りに体から力を抜いて楽にするんだ。後、俺から送られる魔力に抵抗しない。分かったか?」
「分かったから、早く!」
待ち切れないとばかりに繋いでいる手を揺らすので「はいはい、分かったから揺らすな」と告げて集中を始める。
ゆっくりとマロンの全神経に魔力を通していく。神経に魔力を通す事に慣れてないこの子達を思って優しく、優しくと意識する。
「んんっ……んっ」
おやや? 変な声がする。
そう思って目を開けると、くりりとして瞳のマロンが涙目になりながら下唇を噛みながら身を捩って耐えているような姿があった。
「痛いのか? 優しくしてるつもりだったが……」
更に優しくする意識をすると先程より強く下唇を噛むマロンが背伸びするようにして何かやり過ごそうとしていた。
「んんっっ!!」
「やっぱり痛いんじゃないか? 無理するな、止めよう」
「止めちゃ駄目! もうちょっとだから!」
手を離そうとした俺の手を逆に掴んでくるマロンは泣きだしそうだ。
後輩が頑張ってるんだ、俺も頑張って負担を少なくなるようにして早めに全身に魔力を通そう。
しかし、もうちょっとってなんだ?
そして、魔力が一周するとマロンは全身を激しくビクつかせると俺に向かって倒れてくる。
そして俺の腹の辺りで顔をポテと当てるとギュッと抱き締めてくる。俺の胸に顔を押し付けて大きく息を鼻で吸う。
ウットリしているマロンの頭を撫でてやるとびっくりしたようにビクッとさせた。
「痛いのを良く我慢したな。耐えなくていいような方法を模索してみるよ」
「いい、しなくていい。このままで……ちょっとトイレに行ってくる」
ふらつくマロンに付き添いはいらないかと問うがいらないと言って家の方へと去っていく。
見送って前を向くと凄い近い距離感で立つスイが両手を差し出していた。
「次は私ですわ」
「ああっ」
そう言って手を差し出すとスイは俺と指を絡ませるようにしてくる。
「握るだけでいいんだけど……」
「お気にされないで?」
スイもマロンと同じようになり、俺に抱き着いてこれも同じように匂いを堪能するように大きく息を吸うとマロンを追うようにトイレに向かう。
何かがおかしい……
考え込む前にキャウにも急かされて、同じようにしたら同じ行動をしてトイレに向かうようだ。
その去り際の悩ましげな吐息と潤んだ瞳を見て、どこかで良く見てる気がしてきた。
あれって火が点いたターニャとパメラの夜の顔に似てないか?
「おい、スキル製造機……本気でこれが正規の取得方法なんだろうな?」
『肯定』
迷いもなく答えてくるのを聞いて納得する。
まあ、あの子等も子供だからそういうのは中学生ぐらいからだろうし……待て!
確か、男の精通は中学生ぐらいだったはずだ……女の子の初潮はいつだ!?
そういや、良く知らない……でも女の子の方が思春期が早いし、小さい頃は女の子の方が成長が早いはず……
ダクダクと汗が噴き出してくる。
そして、3人娘がトイレから帰ってきたのは、それから1時間後であった。
色々とスッキリした様子の3人が落ち着いたのを確認した俺は明日から3日程、プリットを空ける事を伝えた。
「どうしてですか?」
「ちょっと配達を頼まれてな。大丈夫、俺がいない間は雑用依頼を受けられるようにスピアさんにお願いしといたから」
「それはどうでもいいんですがぁ~どこに行かれるんですか~」
えらく食いついてくる。マロン辺りはありそうだと思ってたが質問してくるのはスイとキャウであった。
マロンは逆に黙り込んでジッとこちらを睨むように見ている。
コイツが黙ってる方がなんか怖いな!
「隣町に、ロッカクという港町があるだろ? そこだよ、片道、馬車で1日で行けるみたいだから3日ぐらいで帰るから」
「私も行きます!」
「となると当然、私も~」
そう言うとスイとキャウは俺の腕にギュッと抱き着いてくる。
俺の右腕はキャウの胸の谷間に沈む。大人顔負けだな!
左腕に抱きつくスイのは……大丈夫、ちゃんと成長の兆しはあるぞ!
最後まで黙ってたマロンを俺の右足に抱っこしてくる。
「アタシも行く! そんな楽しそうなのに放って行くとかないよね!」
足に抱きつくマロンを感じて俺は小さく被り振る。
まだ試合終了じゃない。諦めた時が最後だぜ!
ガンとして譲らないとばかりにする3人に呆れた俺は深い溜息を零す。
「分かった、分かった。連れて行ってやるから離れろ」
「本当!?」
「本当だから準備急げよ? 明日の朝に俺の家に集合だ」
そう言うと現金にもあっさり離れると3人は「準備急がないと」と頷き合うとピューという音が聞こえそうな快走して帰って行く。
やれやれ、遠足みたいになりそうだな……となると俺は引率の先生か?
家から漂う夕飯の匂いに気付いて俺は苦笑いしながら家へと戻った。
そして、ターニャとパメラにマロン達にした説明をし、了承を得る。ターニャは来るがパメラは急にはいけないとのことで留守番する事になった。
俺は3人娘の事を思い出し、2人に身体強化の取得方法を試してみた。
あれはいけない、男を知ってる女を野獣に変える。
ピコン
『魔力制御と身体強化の派生スキルを確認。エロ魔法を取得しました』
な、なんだと!!
スキル製造機めっ! 本気でお前とは正面からやり合わないといけないようだなっ!!
表に出ろ!
……そうしたいのはやまやまだが、そうはいかない。
「し、シーナ、もっと私の奥へと突き上げ、てっ!」
「ウチのクリトリスをもっと吸って、噛んでぇぇ!!」
今、俺は2人にお尻で押さえ付けられていると言って過言ではない。動けないのだ。
とりあえず、2人が落ち着くまで俺は頑張る!
ターニャとパメラがぴちゃぴちゃと舌を絡めながらキスする音を聞きながら、俺に跨るパメラへと激しく腰を突き上げ、イヤラシイ音を鳴らしてターニャのクリトリスを甘噛みして夜が更けていった。
早速、カウンターに向かい、昨日のうちに確保しておいた依頼書を受付嬢のスピアに手渡す。
実はこのスピアさん、パメラと親友だったりする。かなり深い付き合いのようで俺との夜の話まで聞き出す手腕の持ち主だったりしたりするが、開き直って仲良くしている。
向こうも俺を友達と思ってくれており、良好な関係を築けている。
「酒場の開店準備手伝いですね……あら、やだ。これってヨダさんの依頼じゃないですか……つい数週間前までは受ける側の冒険者だったと思うと変な気持ちですが……ごめんなさい、1人で考え耽っちゃって」
「いえいえ、俺も感慨深いものがありますよ。スピアさんほど交流はありませんが、同じ冒険者として思うところがあったりしますしね」
ゴブリン神の報酬を受け取って店を開いた人である。大抵の人は店を開く場合、違う街でするパターンが多いようで俺も初めて見た。
やっぱり、逃げたみたいに感じて後ろめたいとかあるのかな?
本当のところは引退したとしても人手が足りなくなると協力要請がくるのが面倒らしい。
客商売してるから下手な断り方出来ないという理由が一番のようだ。
スピアさんと話してるとマロンがソッと俺が出した依頼書の下にゴブリン討伐を挿し込もうとしてる。
俺もソッとマロンの頭頂部にチョップを入れる。
ウーン、背が小さいからチョップしやすいなぁ。
しかし、買い物籠にお菓子を忍ばせる子供か!? まあ、子供なのかもしれない、12歳だしな。
両手で頭を押さえて涙目のマロンを無視して、挿し込もうとしたゴブリン討伐の依頼書をスイに手渡す。
「返しておいて」
「はい、分かりました」
スイに有難うと告げ、見送っているとマロンが「裏切り者」と声をかけるが当人にはスル―される。
そして、俺に依頼書を奪われて、ブーブーと文句言う事にシフトしたマロンの小さい鼻を抓んでやる。
痛がるマロンを無視して、俺は背後にいるターニャにお願いする。
「説教しておいてくれる?」
「本当にこの子は懲りないよね」
ターニャはマロンの耳を抓んで引っ張るので鼻は抓むのを解除する。
マロンの悲しげな声に別れを告げ、前を向くと依頼処理していたスピアさんに依頼書にサインを求められる。
普通に依頼受ける時はそんな事は要らないが、冒険者見習いと指導員という形を取っている以上、誰の依頼を誰が指導したかという書面を残す必要があるのだ。
「キャウ、代表としてサインしといて」
「はい~」
サインを書き終えると俺達は早速、冒険者ギルドを出ようとする。
出口付近に来た時、スピアに呼ばれる。
「あの、シーナさん、少しよろしいでしょうか?」
「えっと……」
振り返ってターニャを見ると頷かれる。
「この子達の引率はウチがしとくから、後から追いかけてきて」
「有難う、すぐに追いつくよ」
ターニャ達に手を振って見送ると俺は再び、カウンターへと戻った。
スピアは俺に顔を近づけろというゼスチャーをするので素直に従うと小声で話しかけてくる。
「ティテールさん、プリットに帰って来てるみたいですよ」
俺はあの一件、ゴブリン神の時に姿を晦ましたティテールが気になって、スピアさんに見かけたら教えて欲しいと伝えていた。
捜してた事を隠してる訳じゃないので、こそこそする必要性はないのだが、流れで俺も声を潜ませる。
「有難うございます。それはともかく何故、小声?」
「……それがどうやら厄介な方とお付き合いがあるようなんで……」
スピアの話を纏めるとこうだ。
プリットはそれほど栄えている訳ではないせいか貴族や大商人と呼ばれる存在が少ないらしい。
その貴族でプリットで一番の爵位持ちがフェレチオ子爵なんだそうだ。
このフェレチオ子爵の評判がよろしくない。人身販売から麻薬取引など悪い噂が絶えない。そんなフェレチオ子爵の悪口を言ってるのを聞かれたりしたら殺されると言うのが定説のようだ。
生死は分からないが居なくなった人はそれなりにいるらしい。いなくなる直前に会ってた人物からフェレチオ子爵の噂話をしてたという証言が多い。
正直、スピアも関わりたくないようだ。
「これ、シーナさんからのお願いだったから話をしましたけど、その辺の人相手だったら知らぬ振りしましたよ? 気になっているようですけど……関わらない方がいいと思いますけど……」
「有難う。でも……中途半端は気持ち悪いからさ」
苦笑いする俺がそう答えると深い溜息を零すスピアが紙切れを手渡してくる。
「これは?」
「シーナさんならそう言うと思ってましたんで、信用出来る情報屋さんのご紹介です。自分で調べようとしてたんじゃないですか? 万が一があったらパメラが悲しむのを分かってますよねっ!」
スピアさんに言われた通り、そうしようと思っていた。
勿論、スパイ活動に必要なスキルを取得するつもりはあった。しかし、取得するだけでは意味がないというのは痛感していたから渡りに船だ。
それは常に探査と危険感知をアクティブに出来るようになって実感がある。探査範囲にモンスターが現れても浮かぶ地図を見なくてもどちらの方向に居るや、数も分かるようになった。
まさに雲泥の差があった。
今じゃ、この2つのスキルを起動しながらでも寝られる。
スピアから受け取った紙切れを開くと中には情報屋の名前と居る場所が書かれていた。
「早速、行かせて貰うな」
「本当に無茶しないでね?……あ、それとは関係ないんだけど……」
そこでスピアに話された内容はティテールの情報で驚きとは、また違う驚きを俺にもたらした。
そして、俺は差し出された依頼を快諾した。
酒場の開店準備を終えた一旦、俺の家の近くに戻ってきた。
「じゃ、ウチは家事があるから帰るね?」
「うん、それと後でちょっと相談があるから」
そう言うと首を傾げたターニャが頷くのを見届けて手を振る。
マロン達は何だろうという好奇心を覗かせてこちらを見ていた。
「先輩、何かあったんですか~?」
「ん、別にたいした話じゃないが気になるか?」
3人に頷かれて苦笑してしまう。
「分かった、分かった。訓練終わった後に話そう。多少は3人にも影響あるしな」
自分達も関係がなくはないと分かって目をパチクリさせる。
何かを予想し始めているようで話し込みそうな空気が生まれたので手をパンパンと叩いて意識をこちらに向けさせる。
「そんなの予想しなくても後で教えるから。時間は有限、訓練を始めるぞ」
そう言って、訓練内容が身体強化と分かると嬉しそうに俺の前に来て1列になって並ぶ。
1日、時間を取って訓練する時は実技の訓練を入れたりするが、今日みたいに短い時間の時は身体強化の取得する訓練をする事が多い。
時間をかけずともスキル譲渡すればすぐなんだが、未だにターニャとパメラに譲渡方法がキスやセックスなどの粘膜接触が必要と言ったままだったりして首を絞めていた。
分かるだろ? そんな事した日には俺は最低のロリコン認定を受ける。
俺はロリもグラマーも愛せる最高なヤツなのに……
なので、スキル製造機に吐かせた……根気良く聞き出す事、2日目にして正規の取得方法を得た。
その方法は魔力制御が出来る者が身体強化を覚えさせる相手に魔力を送り、全身の神経に流して循環させて、魔力の循環する感覚を体に覚えさせるというモノであった。
この方法が出来るのが身体強化が使えて、魔力制御があるのが必須らしい。俺はどちらも持っている。
自分が使えないのに正しい循環方法なんて分からないしな。
「ねっねっ、シーナ先輩、アタシからだから、早く!」
両手を俺に差し出して急かすマロンに苦笑する。
訓練を嫌い、実践をしたいと騒ぐマロンが自分から前向きな訓練はこれだけだ。疲れるのが嫌なのかと思えば瞑想が一番嫌らしい。
マロンの両手を手にとって目を瞑る。
「始めるぞ、いつも通りに体から力を抜いて楽にするんだ。後、俺から送られる魔力に抵抗しない。分かったか?」
「分かったから、早く!」
待ち切れないとばかりに繋いでいる手を揺らすので「はいはい、分かったから揺らすな」と告げて集中を始める。
ゆっくりとマロンの全神経に魔力を通していく。神経に魔力を通す事に慣れてないこの子達を思って優しく、優しくと意識する。
「んんっ……んっ」
おやや? 変な声がする。
そう思って目を開けると、くりりとして瞳のマロンが涙目になりながら下唇を噛みながら身を捩って耐えているような姿があった。
「痛いのか? 優しくしてるつもりだったが……」
更に優しくする意識をすると先程より強く下唇を噛むマロンが背伸びするようにして何かやり過ごそうとしていた。
「んんっっ!!」
「やっぱり痛いんじゃないか? 無理するな、止めよう」
「止めちゃ駄目! もうちょっとだから!」
手を離そうとした俺の手を逆に掴んでくるマロンは泣きだしそうだ。
後輩が頑張ってるんだ、俺も頑張って負担を少なくなるようにして早めに全身に魔力を通そう。
しかし、もうちょっとってなんだ?
そして、魔力が一周するとマロンは全身を激しくビクつかせると俺に向かって倒れてくる。
そして俺の腹の辺りで顔をポテと当てるとギュッと抱き締めてくる。俺の胸に顔を押し付けて大きく息を鼻で吸う。
ウットリしているマロンの頭を撫でてやるとびっくりしたようにビクッとさせた。
「痛いのを良く我慢したな。耐えなくていいような方法を模索してみるよ」
「いい、しなくていい。このままで……ちょっとトイレに行ってくる」
ふらつくマロンに付き添いはいらないかと問うがいらないと言って家の方へと去っていく。
見送って前を向くと凄い近い距離感で立つスイが両手を差し出していた。
「次は私ですわ」
「ああっ」
そう言って手を差し出すとスイは俺と指を絡ませるようにしてくる。
「握るだけでいいんだけど……」
「お気にされないで?」
スイもマロンと同じようになり、俺に抱き着いてこれも同じように匂いを堪能するように大きく息を吸うとマロンを追うようにトイレに向かう。
何かがおかしい……
考え込む前にキャウにも急かされて、同じようにしたら同じ行動をしてトイレに向かうようだ。
その去り際の悩ましげな吐息と潤んだ瞳を見て、どこかで良く見てる気がしてきた。
あれって火が点いたターニャとパメラの夜の顔に似てないか?
「おい、スキル製造機……本気でこれが正規の取得方法なんだろうな?」
『肯定』
迷いもなく答えてくるのを聞いて納得する。
まあ、あの子等も子供だからそういうのは中学生ぐらいからだろうし……待て!
確か、男の精通は中学生ぐらいだったはずだ……女の子の初潮はいつだ!?
そういや、良く知らない……でも女の子の方が思春期が早いし、小さい頃は女の子の方が成長が早いはず……
ダクダクと汗が噴き出してくる。
そして、3人娘がトイレから帰ってきたのは、それから1時間後であった。
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「どうしてですか?」
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えらく食いついてくる。マロン辺りはありそうだと思ってたが質問してくるのはスイとキャウであった。
マロンは逆に黙り込んでジッとこちらを睨むように見ている。
コイツが黙ってる方がなんか怖いな!
「隣町に、ロッカクという港町があるだろ? そこだよ、片道、馬車で1日で行けるみたいだから3日ぐらいで帰るから」
「私も行きます!」
「となると当然、私も~」
そう言うとスイとキャウは俺の腕にギュッと抱き着いてくる。
俺の右腕はキャウの胸の谷間に沈む。大人顔負けだな!
左腕に抱きつくスイのは……大丈夫、ちゃんと成長の兆しはあるぞ!
最後まで黙ってたマロンを俺の右足に抱っこしてくる。
「アタシも行く! そんな楽しそうなのに放って行くとかないよね!」
足に抱きつくマロンを感じて俺は小さく被り振る。
まだ試合終了じゃない。諦めた時が最後だぜ!
ガンとして譲らないとばかりにする3人に呆れた俺は深い溜息を零す。
「分かった、分かった。連れて行ってやるから離れろ」
「本当!?」
「本当だから準備急げよ? 明日の朝に俺の家に集合だ」
そう言うと現金にもあっさり離れると3人は「準備急がないと」と頷き合うとピューという音が聞こえそうな快走して帰って行く。
やれやれ、遠足みたいになりそうだな……となると俺は引率の先生か?
家から漂う夕飯の匂いに気付いて俺は苦笑いしながら家へと戻った。
そして、ターニャとパメラにマロン達にした説明をし、了承を得る。ターニャは来るがパメラは急にはいけないとのことで留守番する事になった。
俺は3人娘の事を思い出し、2人に身体強化の取得方法を試してみた。
あれはいけない、男を知ってる女を野獣に変える。
ピコン
『魔力制御と身体強化の派生スキルを確認。エロ魔法を取得しました』
な、なんだと!!
スキル製造機めっ! 本気でお前とは正面からやり合わないといけないようだなっ!!
表に出ろ!
……そうしたいのはやまやまだが、そうはいかない。
「し、シーナ、もっと私の奥へと突き上げ、てっ!」
「ウチのクリトリスをもっと吸って、噛んでぇぇ!!」
今、俺は2人にお尻で押さえ付けられていると言って過言ではない。動けないのだ。
とりあえず、2人が落ち着くまで俺は頑張る!
ターニャとパメラがぴちゃぴちゃと舌を絡めながらキスする音を聞きながら、俺に跨るパメラへと激しく腰を突き上げ、イヤラシイ音を鳴らしてターニャのクリトリスを甘噛みして夜が更けていった。
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そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
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とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
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