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2章 危険を冒す者である事を知る
13話 二日酔いから解放された男は新しい頭痛に見舞われる
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冒険者ギルドメンバーに酔い潰されて二日酔いに苦しみ抜いた翌日、漸く、頭痛とおさらばできてた俺は宿の厩舎の前にあるちょっとした庭で素振りをしていた。
こうやって冷静に体を動かすといかに剣術Lv4と身体強化Lv5が一見、地味とも取れるスキルなのに凄さが体感で分かる。
しかし、レベル差が4と5でばらついているせいか、それとも俺の感覚が順応してないせいかぎこちない。
まあ、それでも落ちてくる葉っぱを剣で破壊するように斬るぐらいは出来るが……
とりあえず、レベルを揃えてみよう。ついでに盾も同じように
椎名 (シーナ) Lv10
HP:300(3000) MP:600(6000)
ちから:50(500) みのまもり:30(300)
きようさ:60 すばやさ:55(550)
かしこさ:40 うん:3
スキルポイント:103
スキル:剣術Lv5 盾術Lv5 身体強化Lv5
雷魔法Lv3 回復魔法Lv5 探査Lv2
共通語 解体 危険探知
HP自動回復 MP自動回復 挑発
巨根 精力増大 スキルポイント取得倍増
成長促進
よし、揃えた。
再び、剣を振るうと確かに違いを感じる。落ちてくる葉っぱを斬ると今度は綺麗に真っ二つになる。
上がった実感はあるな……でも、やっぱり俺、スキルに振り回されてるな……勘違いじゃない。
しばらくこのレベルでやっていって感じるズレが無くなるまで頑張るか。状況が状況だったから仕方がないがやっぱり一気に上げ過ぎたようだ。
おそらくこれ以上上げてもたいして強くなれないかもしれない。体に馴染ませる事が出来たLv3いや、下手したらLv2のスキルの持ち主にも善戦されるかもしれない。
頑張るしかないかと剣を鞘に仕舞おうとして時、剣先に薄らと線が入ってるのに気付く。
それを剣先を目に近づけてみるとどうもヒビが入っているように見える。
「あちゃ……初めて使った日に剣を駄目にしたのか、俺?」
それぐらいしか心当たりがないし、あれだけのゴブリンを斬り倒したのだから仕方がない。
頭がガリガリと掻きながら溜息を吐く。
「チロの店に行って相談するか……多分、買い直しだろうな……出費が嵩む」
なかったら困るモノなので俺は渋々、チロの店に向かう為に宿を後にした。
移動中、勢いで取得したスキルを確認しながら向かっていた。
HP自動回復、MP自動回復はどちらも1分で1割回復するというスキルのようだ。まあ、回復量は分かってなかったがだいたい予想通りの結果だ。
挑発も周囲にいる敵に意識を向けさせる、字面通りの内容だった。
問題なのはスキルポイント取得倍増、成長促進の2つであった。
まず、スキルポイント取得倍増というのは、レベルが上がると本来1~5ポイントのランダムで取得出来たそうだ。このスキルはそのランダム数字を6~10にする。
ドサクサに紛れたが、これは早い段階で取れて良かった。だって、いつサービス期間が終わるか分からないのだからポイントは沢山あって困らないからな。
しかし、さっきスキルアップした時も消費は1ポイントだったな……いつまでこの期間あるんだろうな。
話は逸れたがもっともヤバいのは成長促進。
本来上がる数値に1~6の数字が乗算される。
……サイコロ振ってるんじゃないよね?
まあ、運だけは変動しないらしい。
良く分からないまま覚えたスキルであったが、正直、覚えて良かったかなって思う。一応、シズクも俺の行動を覗いているらしいし、何も言ってこないから大丈夫かな?
まあ、覚えたら駄目なスキルは項目から外してるみたいな事を言ってたしな。
なんて事を考えているとチロの店に到着していた。
「おはよう!」
「ん? あんちゃんか、やけに早い……」
振り向いて怪訝な表情をして俺を頭からつま先まで見ると眉尻を上げて近寄ってくる。
目の前に来ると飛び上がり、俺の頭を殴りつける。
うおぉぉ!! マジでいてぇぇ!!
頭を抱えて屈みこむ俺の胸倉を掴むチロが怒鳴る。
「その有様はどういう事だ、あんちゃん!! ちっとは見込みがあると思ったアタイの目も狂ったもんだ!」
どうやら1日で装備を傷だらけにした俺が許せないらしい。
「アタイが作った防具は使い手を傲慢にして無茶をさせる為にあるんじゃない」
「すまない、でも、無茶しないと助けられない命があった。この防具があったから今、俺はこうしてられると本当に感謝してるんだ」
「……何か訳ありのようだね。話しな」
一旦、怒りを飲み込んで目を瞑って腕を組むチロは俺に話を促す。
俺はチロに森で有った事、獣人の少女を助けた事などを伝える。
「あんちゃん、その獣人の少女ってのは銀髪のオオカミの獣人じゃなかったかい?」
「銀……染め上げるように血で汚れてたからちょっと自信ないけど、種族は見た目、犬系かな? って思ったからオオカミかもしれない……話の腰を折るんだけど」
俺は剣を抜いて差し出す。
剣をサッと見たチロは呆れるように溜息を吐く。
「本当に済まない。せっかく見繕って貰ったのに初依頼でこんな……」
「こちらこそ、すまないって謝らないといけないようさ。あんちゃんだったんだね、アタイの友人を助けてくれた冒険者は」
「友人?」
そう聞き返すと頷かれる。どうやら、友人と言っているが正確には友人だった人の娘らしい。幼い頃から面倒を見てて、数年前に両親が死別したのを機に距離を置かれてしまったらしい。
チロ自身は母親代わりに面倒を見てあげたかったらしいがその子の真意は謎のままのようだ。
ん? 待て、チロって何歳なんだ!?
凄く聞きたいが聞いたらヤバい気がしたので俺は飲み込む。
焦るな、機会はきっとある。その瞬間を見逃さないようにすればいい。
なんて事を考えている事を気付いた様子もなく話しかける。
「アンタが助けた子の名前はティテールって言うんだ。良かったら声をかけてやってくれるかい?」
「まあ、あの後、どうなったから気になるしな」
「ありがとう」
そう言うとギュッと抱き着いてくるチロ。
こんな時と言うかもしれないがやっぱりチロはチッパイだ。チッパイにはチッパイの良さがある。
場の雰囲気を考えると空気が読めてない事を考えている俺の耳に低いオッサン声が聞こえたと思ったら殴られていた。
「ウチのチロに何しやがるっ!!」
「うごっ!」
アホな事を考えていたので完全な不意打ちで食らったのでその場で引っ繰り返る。
な、何事!?
起き上がった俺の視界には、ずんぐりむっくりで豊かな髭を蓄える小さなオッサンがそこにいた。
ドワーフか?
俺が何かを口にする前にチロがドワーフに飛びかかる。
「この馬鹿兄貴がっ!!」
フルスイングで迷いを感じさせない右ストレートを突然現れたドワーフ……兄貴?
えっ? ドワーフが兄貴?
店の壁まで吹っ飛ばして、チロは慌てて樽の中にあった剣を俺に放る。
「この壊れた剣の代わりに持って行きな。色々、勘違いして本当に済まなかったさ。あんちゃんも色々と聞きたい事があるだろう、言いたい事もあるだろうけど、それはまたの機会にしてくれるかい? ちょっと馬鹿兄貴に教育(ちょうきょう)しないといけないからさ」
「うん、また来るな? 後、お手柔らかに……」
「善処する」
俺はいきなり殴りかかってきた相手だとは思ったがチロのあの目はヤル気だと俺の本能が訴えていた。
ご冥福をお祈りします。お兄さん。
しかし、チロがドワーフだったのか……分かれば色々と納得だね?
チロのオッパイが小さいのも背が小さいのもチッパイなのも必然だったのだろう。ドワーフの女の子は見分けが付き辛いね!
重複してる? 気にしたら負け。
それはともかく、このまま居て巻き込まれたら嫌だと思って俺は宿へといそいそと戻って行った。
チロの店から難を逃れてきたと思ったが宿に帰った俺に新たな問題が待ち構えていた。
宿の入口でどこか誇らしげにドヤ顔するターニャである。
俺を見つけると嬉しそうに駆け寄り、飛び付くように抱き着いて見上げて最初の一声が
「ウチも冒険者になったから、ずっと一緒だよ!」
今、耳を通過した内容を誰か説明してくれと俺は空を見上げた。
こうやって冷静に体を動かすといかに剣術Lv4と身体強化Lv5が一見、地味とも取れるスキルなのに凄さが体感で分かる。
しかし、レベル差が4と5でばらついているせいか、それとも俺の感覚が順応してないせいかぎこちない。
まあ、それでも落ちてくる葉っぱを剣で破壊するように斬るぐらいは出来るが……
とりあえず、レベルを揃えてみよう。ついでに盾も同じように
椎名 (シーナ) Lv10
HP:300(3000) MP:600(6000)
ちから:50(500) みのまもり:30(300)
きようさ:60 すばやさ:55(550)
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スキル:剣術Lv5 盾術Lv5 身体強化Lv5
雷魔法Lv3 回復魔法Lv5 探査Lv2
共通語 解体 危険探知
HP自動回復 MP自動回復 挑発
巨根 精力増大 スキルポイント取得倍増
成長促進
よし、揃えた。
再び、剣を振るうと確かに違いを感じる。落ちてくる葉っぱを斬ると今度は綺麗に真っ二つになる。
上がった実感はあるな……でも、やっぱり俺、スキルに振り回されてるな……勘違いじゃない。
しばらくこのレベルでやっていって感じるズレが無くなるまで頑張るか。状況が状況だったから仕方がないがやっぱり一気に上げ過ぎたようだ。
おそらくこれ以上上げてもたいして強くなれないかもしれない。体に馴染ませる事が出来たLv3いや、下手したらLv2のスキルの持ち主にも善戦されるかもしれない。
頑張るしかないかと剣を鞘に仕舞おうとして時、剣先に薄らと線が入ってるのに気付く。
それを剣先を目に近づけてみるとどうもヒビが入っているように見える。
「あちゃ……初めて使った日に剣を駄目にしたのか、俺?」
それぐらいしか心当たりがないし、あれだけのゴブリンを斬り倒したのだから仕方がない。
頭がガリガリと掻きながら溜息を吐く。
「チロの店に行って相談するか……多分、買い直しだろうな……出費が嵩む」
なかったら困るモノなので俺は渋々、チロの店に向かう為に宿を後にした。
移動中、勢いで取得したスキルを確認しながら向かっていた。
HP自動回復、MP自動回復はどちらも1分で1割回復するというスキルのようだ。まあ、回復量は分かってなかったがだいたい予想通りの結果だ。
挑発も周囲にいる敵に意識を向けさせる、字面通りの内容だった。
問題なのはスキルポイント取得倍増、成長促進の2つであった。
まず、スキルポイント取得倍増というのは、レベルが上がると本来1~5ポイントのランダムで取得出来たそうだ。このスキルはそのランダム数字を6~10にする。
ドサクサに紛れたが、これは早い段階で取れて良かった。だって、いつサービス期間が終わるか分からないのだからポイントは沢山あって困らないからな。
しかし、さっきスキルアップした時も消費は1ポイントだったな……いつまでこの期間あるんだろうな。
話は逸れたがもっともヤバいのは成長促進。
本来上がる数値に1~6の数字が乗算される。
……サイコロ振ってるんじゃないよね?
まあ、運だけは変動しないらしい。
良く分からないまま覚えたスキルであったが、正直、覚えて良かったかなって思う。一応、シズクも俺の行動を覗いているらしいし、何も言ってこないから大丈夫かな?
まあ、覚えたら駄目なスキルは項目から外してるみたいな事を言ってたしな。
なんて事を考えているとチロの店に到着していた。
「おはよう!」
「ん? あんちゃんか、やけに早い……」
振り向いて怪訝な表情をして俺を頭からつま先まで見ると眉尻を上げて近寄ってくる。
目の前に来ると飛び上がり、俺の頭を殴りつける。
うおぉぉ!! マジでいてぇぇ!!
頭を抱えて屈みこむ俺の胸倉を掴むチロが怒鳴る。
「その有様はどういう事だ、あんちゃん!! ちっとは見込みがあると思ったアタイの目も狂ったもんだ!」
どうやら1日で装備を傷だらけにした俺が許せないらしい。
「アタイが作った防具は使い手を傲慢にして無茶をさせる為にあるんじゃない」
「すまない、でも、無茶しないと助けられない命があった。この防具があったから今、俺はこうしてられると本当に感謝してるんだ」
「……何か訳ありのようだね。話しな」
一旦、怒りを飲み込んで目を瞑って腕を組むチロは俺に話を促す。
俺はチロに森で有った事、獣人の少女を助けた事などを伝える。
「あんちゃん、その獣人の少女ってのは銀髪のオオカミの獣人じゃなかったかい?」
「銀……染め上げるように血で汚れてたからちょっと自信ないけど、種族は見た目、犬系かな? って思ったからオオカミかもしれない……話の腰を折るんだけど」
俺は剣を抜いて差し出す。
剣をサッと見たチロは呆れるように溜息を吐く。
「本当に済まない。せっかく見繕って貰ったのに初依頼でこんな……」
「こちらこそ、すまないって謝らないといけないようさ。あんちゃんだったんだね、アタイの友人を助けてくれた冒険者は」
「友人?」
そう聞き返すと頷かれる。どうやら、友人と言っているが正確には友人だった人の娘らしい。幼い頃から面倒を見てて、数年前に両親が死別したのを機に距離を置かれてしまったらしい。
チロ自身は母親代わりに面倒を見てあげたかったらしいがその子の真意は謎のままのようだ。
ん? 待て、チロって何歳なんだ!?
凄く聞きたいが聞いたらヤバい気がしたので俺は飲み込む。
焦るな、機会はきっとある。その瞬間を見逃さないようにすればいい。
なんて事を考えている事を気付いた様子もなく話しかける。
「アンタが助けた子の名前はティテールって言うんだ。良かったら声をかけてやってくれるかい?」
「まあ、あの後、どうなったから気になるしな」
「ありがとう」
そう言うとギュッと抱き着いてくるチロ。
こんな時と言うかもしれないがやっぱりチロはチッパイだ。チッパイにはチッパイの良さがある。
場の雰囲気を考えると空気が読めてない事を考えている俺の耳に低いオッサン声が聞こえたと思ったら殴られていた。
「ウチのチロに何しやがるっ!!」
「うごっ!」
アホな事を考えていたので完全な不意打ちで食らったのでその場で引っ繰り返る。
な、何事!?
起き上がった俺の視界には、ずんぐりむっくりで豊かな髭を蓄える小さなオッサンがそこにいた。
ドワーフか?
俺が何かを口にする前にチロがドワーフに飛びかかる。
「この馬鹿兄貴がっ!!」
フルスイングで迷いを感じさせない右ストレートを突然現れたドワーフ……兄貴?
えっ? ドワーフが兄貴?
店の壁まで吹っ飛ばして、チロは慌てて樽の中にあった剣を俺に放る。
「この壊れた剣の代わりに持って行きな。色々、勘違いして本当に済まなかったさ。あんちゃんも色々と聞きたい事があるだろう、言いたい事もあるだろうけど、それはまたの機会にしてくれるかい? ちょっと馬鹿兄貴に教育(ちょうきょう)しないといけないからさ」
「うん、また来るな? 後、お手柔らかに……」
「善処する」
俺はいきなり殴りかかってきた相手だとは思ったがチロのあの目はヤル気だと俺の本能が訴えていた。
ご冥福をお祈りします。お兄さん。
しかし、チロがドワーフだったのか……分かれば色々と納得だね?
チロのオッパイが小さいのも背が小さいのもチッパイなのも必然だったのだろう。ドワーフの女の子は見分けが付き辛いね!
重複してる? 気にしたら負け。
それはともかく、このまま居て巻き込まれたら嫌だと思って俺は宿へといそいそと戻って行った。
チロの店から難を逃れてきたと思ったが宿に帰った俺に新たな問題が待ち構えていた。
宿の入口でどこか誇らしげにドヤ顔するターニャである。
俺を見つけると嬉しそうに駆け寄り、飛び付くように抱き着いて見上げて最初の一声が
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