33 / 49
第四章 動 乱
第三十一話 転換の兆し
しおりを挟む
王宮の中での戦いは夜明けと共に終わり、今は完全に陽が天高く昇っていた。千騎長アルエディーは戦いが終わると誰からの言葉も耳に貸さず以前エア城に与えられていた彼の特務室へ閉じ篭っていた。父親ウォードと前国王リゼルグを彼の手で否応なしに殺してしまった事、護るべき姫セフィーナを護れなかった事、そして、彼の大剣を奪われてしまった事。それらはアルエディーにとって相当な心の傷を負わせていた。
昼を過ぎた頃、一人の女性が彼の居るその部屋に足を運んでいた。
セレナは特務室のドアをノックする。しかし、中から何の応答も返ってこない。部屋の中にアルエディーが居る事を感じていた彼女は彼の許可なく扉を開け中には入って行く。
「アル様・・・、とても苦しそうな・・・お顔です」
「クッ、部屋に入る許可を出した覚えはない・・・。セレナ、出て行ってくれ」
「嫌です・・・、アル様が元気になってくださるまでは・・・・・・」
「俺はいたって元気だ」
その騎士は無理に表情を笑わせそう彼女に答えていた。だが、セレナがそんな事を見抜けないはずがない。
「嘘です・・・、貴方の心がとても痛がっています、悲しんでいます。そんなアル様を見るのは私とても辛い。私の持つ治癒魔法では貴方の心の傷を治す事は出来ません・・・ですが」
「ナッ!?セッ、セレナ・・・」
セレナはアルエディーの所まで歩み寄り、椅子に座っていた彼の頭を包みこむ様に抱きしめた。
「辛い時や悲しい時・・・、涙を流して心に溜まったその感情の膿みを吐き出してください。独り内に籠もって泣くより、誰かの前で泣くことの方が心は落ち着きます。・・・、アル様、それはけして恥ずかしい事ではないのですよ」
セレナの言葉に自然とアルエディーの頬から涙伝い溢れた。そして、彼女にしがみつき、その女性の胸の中で静かに嗚咽する。今のアルエディーをレザードに見られ様なら失笑間違いなしの姿だった。それから、暫くその格好のままセレナの中で心に積もった鬱積を流し、アルエディーの心が安堵し、嗚咽が止まった事を勘付いたセレナは彼から離れ、彼の顔を見据える。
「アル様・・・、ご気分はどうですか?これをどうぞ」
言葉と一緒にスカートのポケットから純白で奇麗なレースが施された手巾をアルエディーに渡した。
「セレナ・・・、心配をかけさせて済まなかった。君のお陰で気分が楽になったような気がする」
その騎士は照れた少しばかり紅くなっている顔を彼女から受け取った手巾で隠しそう答えを返していた。そんな彼を見たセレナは嬉しそうな表情を作り口元に拳を添え小さく笑っていた。そして、彼女のその顔を見たアルエディーはばつの悪そうな顔で口を開く。
「嬉しそうだなセレナ・・・・・・・」
「ウフフフッ、だってアル様が私の中で泣いてくれたのですもの嬉しくない筈ありません。このような事させて頂いたのはたぶん世界で私一人だけ・・・。男の方がそう易々と女性の前でお泣きになる事はありませんでしょう?それにアル様は私よりも四歳も年上の方。そんな方が甘える様に泣いて下さるなんって嬉しくて仕方がありませんは、クスッ」
「?だだだあああだだだだっ、誰が甘える様にだあっ!」
その騎士は聖女の言葉に大きく狼狽しながら大手を振ってそれを否定しようとした。そんな彼の姿を見て彼女はアルエディーの羞恥心にさらに煽るような言葉を駆ける。
「クスっ、その様に紅くなってうろたえるアル様・・・、とてもお可愛いですわね」
「セッ、セレナ俺をからかって苛めないでくれ・・・」
彼女に背中を向け彼はそう彼女に答えたのであった。
「本当に元気が出たようですね。私安心しました・・・、これからはもっと厳しい状況になると私は思います・・・、ですから心をもっと強くお持ちください。貴方が騎士であると言う名に誇りに懸けて。・・・・・・・・・そして私は・・・貴方の心をお護りしたいです」
「騎士の誇りに懸けてどんな辛い状況でも立ち向かって見せる。セレナ有難う」
アルエディーは彼女の最後の言葉が聞き取れていたのかどうか誰にも分からない。だが、彼はそう彼女に感謝の言葉を返していた。その騎士が口にした言葉〝どんな辛い状況でも立ち向かって見せる〝彼は本当にその言葉の意味を貫けるのか?それはセレナにも彼自身にも今は分からない。
それから、セレナがまだ彼の部屋にいる状態でレザードがそこへ訪れると、
「あれぇ~~~、もしかして私お邪魔でしたかぁ?」
「いっ、いえ、そんな事ありませんことよレザードさんオホホホホッ・・・、それではアル様、私は失礼いたします」
そう言い残すとセレナは微笑んだ状態で特務室を出て行った。
「フッ、心配して来て見たのですがその様な心遣いは無用のようでしたね」
「レザードッ、なんだよその変な笑いは!俺は別に疚《やま》しい事などしていないぞ」
「私は一言もそんな事、言っていませんし、聞いてもいませんよ。クククッ」
「ググッ・・・、所でレザード一体なんのようだ」
「用がなければ私はここへ来ては駄目なのですか?」
「別にそんな事はないが・・・、でっ?本当は何しに」
「城の中を探検していましたらこのような物を発見したので貴方に」
「探検?また勝手なことして」
目の前の彼にそういわれたレザードは一度差し出した物を引っ込めて少しばかり不機嫌そうな表情でそれに答える。
「なんですか?その私の行動を疑うような目は。ちゃんとアレフ王に断りを受けてから回らせてもらいました」
「そうならいいのだけど・・・、いまさっき俺に見せた物は何だ?」
再びレザードは持っていた物をアルエディーに見せ今度は完全に彼に手渡した。
「これは・・・?」
レザードからアルエディーに手渡されたものは一冊の数百ページ程度の厚さの本だった。その本に題名は書かれていない。彼は本を開き紙面をめくった。それには有りと在らゆる武器の基本的な使い方、特殊な技法などが手書きで記されていた。素早く最後まで本をめくると・・・。
『向上心を持ち、上を目指す者達の為に私が身に付けた全ての武器の技法とその修練の仕方をここに記す。そして正当なる我が後継者にこれを託す・・・。親愛なる我が息子アルエディーへ』
『著=ウォード・ラウェーズ』
アルエディーが手にした物は彼の父親が書いた武芸百般技術書だった。そして、それはアレフが戴冠式を向かえた日にウォードからアルエディーに渡される筈の書物でもあった。
「喜んで頂けましたか?」
「レザード、有難う感謝するよ・・・。父さん俺の為にこんな物を遺していてくれたのか・・・。それでこれを探している間お前は何を見つけたんだ?レザード、お前のことだこれはそのついでに見つけたのだろう?」
「心外ですねぇ~~~っ。そんなことないですよ・・・・・・・・・。はぁ~~~、なんと言うか察しがいいですね」
レザードはそういって飄々とした顔でアルエディーに別の二冊の本を見せた。それにはウォードが書いた物と違ってしっかりと表紙に題名が書かれていた。一冊は〖魔法体系の書〗と書かれ、もう一冊は〖魔導研究秘書〗と印されていた。著者はレザードの母親のアルテミス・シュティール。
「いやねぇ~~~、私やアルティアをほったらかしにしてあの人はどんな仕事をしていたのかと思いまして・・・、くすねてきてしまいました」
「オイッ、レザードそんなことしていいのかよっ」
「大丈夫ですよ、一冊や二冊なくなったくらいで困るような人じゃないですからね内の母はハッハッハ。それに手書きの物なら予備に別の本にも記してありますよ、多分」
「まぁ、俺が口出ししてもしょうがないんだろう」
「さすがアルエディー、よく私の事を分かっているではありませんか・・・・・・、それでは私はこれを読もうと思うので失礼しますよ」
ずれてしまった眼鏡をかけ直しながら軽く笑いその部屋を出て行った。レザードが出て行ったあとアルエディーは彼から渡されて武芸の書を食い入る様に読んでいた。それから、ど探索探知器けの時間が過ぎたのだろうか、気が付くといつの間にか彼の隣に誰かが立っていた。
「ルッ、ルナ?・・・・・・、いつからそこに」
「数ヌッフ、程前からです・・・、紅茶とお菓子をお持ちいたしました」
「そういった事はルナ、君の仕事外の事だろう・・・」
「ワタクシが好きでやっていますことなのでお気になさらずに」
「すまん・・・。では頂かせてもらうよ、ルナ」
「はい、それでは・・・」
彼女はテーブルにトレーを置きティーポットにお湯を注ぎほんの少し待ってからそれをカップに淹れてアルエディーに渡す。
「どうぞ、熱いので気を付けてください。・・・処で何をそんなに真剣に読んでいたのですか?」
アルエディーはもっていたその本を閉じ彼女に渡した。
「これはウォード提督の武芸の指南書・・・、とてもよく書かれていますね。あの・・・、アルエディー様、若しよろしかったらこれを読み終わったあと私にお貸し下さいませんか?」
「別に構わないが・・・、どうしてだ?」
「私はルティアお母様と違いましてそれ程魔法が得意ではないのです。ですから剣技の方を磨きたいと・・・、私に戦わせたくないというのは駄目ですからね」
「ウグッ・・・、ルナ何で分かったんだ」
心を見透かされたアルエディーは喉元に何か詰めたような感じの声でそう聞いていた。
「アルエディー様の考え方は王都まで辿り着くのに十分と見せてもらいましたから・・・、私やセレナさんみたいな女の子には戦いは似合わない、戦うのは男の仕事だ、女には戦場に出て欲しくないとそうお思いなのでしょ?そのお気持ち嬉しくも思いますし、悲しくも思います。ですが、その偏見的なお考え方、正してくださいましたら私は今以上に頑張れます」
「ハァ~~~、どちらが年上なんだか・・・、君に諭されてしまうなんって俺って情けない男だな」
「ハッ!?、申し訳御座いません私ッたらでしゃばった事口にしてしまいました・・・、済みませんアルエディー様・・・」
上官に対して差し出がましい事を言ってしまった彼女は恥ずかしそうに彼に謝っていた。
「ルナ、気にしないでくれ。君の様に物事をはっきり言ってくれる人がいれば俺は色々と自分を見詰め直し変える事が出来るから・・・、ルナの言葉肝に銘じて置くよ」
アルエディーの言葉が嬉しかったのか平静に戻り彼を見つめていた。
「なっ、何だルナ?俺の顔に何か付いているのか?」
「フフッ、何でも御座いません・・・、それでは私はアルエディー様に代わってしなければならない雑務がありますので失礼させていただきます。それでは・・・」
「あっ、ちょっと待ったルナ、これを・・・」
「よろしいのですか?」
「大体の事は頭に叩きこんだあとは剣を振り回して体に身に付けるだけ」
「それでは大切に預からせていただきます」
アルエディーから貸してもらったウォードの指南書を片手に彼女は雑務をするため戻って行った。
ルナが出て行ったあとアルエディーは部屋に立て掛けて有った長剣を手にルナが持ってきた焼き立てのお菓子を口に王城の裏庭に向かって行く。しかし、そのお菓子がルナの手作りだとはアルエディーが気づくことは無かった。
† † †
「タッ!テェーーーイッ、ヤァッ、トォーーーッ!!」
裏庭に出て約5イコット程その騎士は休む事もせず、ただひたすら武芸書に書かれていた通りの基本動作と応用動作を繰り返していた。まだ夜は身震いするほど寒いというのに彼の全身からは玉の様な汗がいたる所から流れ出し、気化した汗が湯気となっていた。剣を握る彼の手の中も汗でビッショリと湿っていた。ど探索探知器け力強く握ってもその湿りで幾分手の中で柄が滑り動く。アルエディーはいったん動きを止め手に掻いた汗と長剣の柄に付着した汗をタオルで拭っていた。
「フぅうぅううううう、少し休むか・・・」
彼は芝生の上に寝転がり夜空を眺め始めた。冷たい夜風が吹きつけその者の体温を下げようとする。空には沢山の星々と三つ子月が煌々と輝いていた。暫くそうしていると金属音と共に足音が彼の耳元までへと届く。
「アルっ、探したぞ!心配していたんだぞっ!!一体こんなところで何をしていたのだ」
突然現れた者にアルエディーはとなりに寝かせていた剣を手に持ちそれをその者に見せた。
「アレフッ、俺はここでこれを振るっていた・・・、気付いたんだ、今までの俺は大剣と精霊王の力に頼りすぎていたんだって・・・、だから普通の剣でも強敵と渡り合える様にその特訓」
「何を言っているんだお前は?アルの強さは大剣の力と精霊の力だけではないだろう。普通の剣を持ったお前だって信じ難くらい強いだろ?」
当然の事を言わせるなと言わんばかりの顔でその王はその騎士に答えた。
「なぜそんな事を言える?」
「アルエディー!お前がど探索探知器け強いかは闘技大会が示しているだろう」
その大会に出場する者は運営委員会から提供された武器をもって戦うため技能のみでその勝敗結果が決まる。その闘技大会に三度も優勝しているアルエディーだ弱いはずがないとそうアレフは思っていた。
「まあっ、そんな事はどうでもいい。私はお前に渡したい物が有ってここへ来たのだからな」
「渡したい物?一体何を俺にくれるって言うんだ、アレフ」
アレフは彼の友に持っていた一振りの剣を渡した。
「これは・・・、ウォード父さんのティターン」
「そうだ、今、アル、お前はあの大剣を失ってしまっている。それの代わりにと渡そうと思って持って来た」
「アレフ・・・、嬉しいけど俺にはこれを使う事が出来ない」
「どうしてだっ!それはお前の父親、ウォード提督の剣なのだぞ」
「だから使えないんだ・・・、アレフここを見てみろ」
その騎士はティターンの鍔飾りに付いている三つの精霊石を王に指差し説明し始めた。
「こんな風に精霊石を埋め込まれ、精霊を宿された武器はその契約者以外その力を引き出す事が不可能なんだ。力の引き出せない剣は鈍らにしか過ぎない」
「なら、その契約を解除し新たに精霊を宿せばよかろう」
「それは可能だろうけど・・・、俺は無理。すでに精霊王と言う最高位のデュオラムスと契約を結んでいる。それ以外の精霊と契約を再び交わすのは許されていない」
「そうだったのか・・・、知らなかった済まないなアルエディー。それならこれはお前が使え」
アレフは腰にかけていた聖剣エクスペリオンをアルエディーの前に差し出す。そして、騎士がそれを拒否する前にその権利を王が奪う。
「嫌だとは言わせない王としての命令であり、友としての願いだ」
「そこまでアレフが言うのなら・・・、暫くこれは俺が預かり、使わせてもらう」
「お前がそれを使っている間、私はウォード提督のそのティターンと言う剣を使わせて貰う事にするが・・・、私に精霊契約できるだろうか?」
「アルテミス様にお頼みすれば何とかなるはずだと思うが・・・」
「そうだな、アルテミスがここへキース叔父上様と辿り着いた時にでもお願いしよう・・・・・・、アルよもう夜も遅い城の中へ戻ろう」
「アレフ、お前には悪いけど今しばらくここで剣を振っていたい。だから先に行ってくれ・・・」
「わかった、だが程々にしてくれお前に倒れられてしまったら私は・・・」
「アレフ、心配してくれて有難う・・・、だけどいまは少しでも体を動かしていたいんだ」
その王はアルエディーのそれを聞いて目を瞑り微かに笑うと外套を翻し彼に背をむけ立ち去って行く。そして、アルエディーはアレフが見えなくなると彼から渡されたエクスペリオンを鞘から抜きその刀身を月に照らして眺めた。
多くの帝国兵の鎧や異形の怪物達の硬い皮膚を切り裂いていた剣であるはずなのに刃毀れ一つなく、一点の曇りもなく月明かりに照らされ神々しく輝いていた。アルエディーはそれを両手で握るとその聖剣が持つ力が電流の様に彼に流れ込んでくると彼の体はその凄さに武者震いをした。
心眼になり精神統一を図り、聖剣の持つ威力を心と体で感じようとしていた。やがて瞼を上げ、目を見開くとアルエディーは闘気を籠め何もない空間へ横薙ぎに一閃した。一瞬、空間が断ち切れんばかりの力の奔流がエクスペリオンから放たれた。
「なんって凄いんだっ!これは本当に人が手にしていい力なのだろうか・・・」
その余りの威力に騎士は聖剣エクスペリオンに対して畏怖の念を感じていた。女神ルシリアから言われた人の心が集まれば無限の力を発揮するその聖剣と精霊王の力を完全に引き出したアルエディーの無名の大剣どちらの方が真に強いのだろうかと思いながらその騎士はエクスペリオンで流れるような剣捌きを誰にも観られる事なく彼の体が眠りを欲するまで続けられた。
† † †
帝国大元帥イグナートにファーティル王都エアがアレフ達に取り戻されたとヨシャからエーテルリンクで直接連絡があったのはその日から二日目のことであった。
「ヨシャ、それは本当の事なのかっ」
「ええ、私の大事な部下が一人亡くなった事もエアが彼等の手に戻ったことも事実ですよ」
「クッ、私の停戦協定文は届かなかったのか・・・」
その大元帥はその書簡が届かなかった本当の理由を知ってはいなかった。
「これ以上戦いは無意味だ。ヨシャよ、軍を撤退させユーラまで戻ってくれ、私は船で王国を回避して戻る」
「今この連絡は撤退しながら行っているものですよ。王国側が追っての兵を出さない限り一週間もあれば着くでしょう。あぁ~~~大転送魔方陣が動いてればあれよっと言う間に帰れるのですがねぇ~~~。それではイグナート大元帥様も道中お気をつけてお戻りくださいね」
そう言ってそのヨシャ元帥は笑顔でリンクを切った。
「ふぅーーー、エアリス、ナルシア母君は無事なのであろうか・・・、いやアレフ王やアルエディーのことであろう手荒な扱いなどはしていないと思うが・・・」
ナルシアとエアリスの心配をするイグナートであったが彼は知ってはいない、再び肉親の二人がヘルゲミルの配下によって捕らえられてしまったことを、そして、まだ戦いが終りを告げていないことを・・・、イグナートはまだそれを知らない。
昼を過ぎた頃、一人の女性が彼の居るその部屋に足を運んでいた。
セレナは特務室のドアをノックする。しかし、中から何の応答も返ってこない。部屋の中にアルエディーが居る事を感じていた彼女は彼の許可なく扉を開け中には入って行く。
「アル様・・・、とても苦しそうな・・・お顔です」
「クッ、部屋に入る許可を出した覚えはない・・・。セレナ、出て行ってくれ」
「嫌です・・・、アル様が元気になってくださるまでは・・・・・・」
「俺はいたって元気だ」
その騎士は無理に表情を笑わせそう彼女に答えていた。だが、セレナがそんな事を見抜けないはずがない。
「嘘です・・・、貴方の心がとても痛がっています、悲しんでいます。そんなアル様を見るのは私とても辛い。私の持つ治癒魔法では貴方の心の傷を治す事は出来ません・・・ですが」
「ナッ!?セッ、セレナ・・・」
セレナはアルエディーの所まで歩み寄り、椅子に座っていた彼の頭を包みこむ様に抱きしめた。
「辛い時や悲しい時・・・、涙を流して心に溜まったその感情の膿みを吐き出してください。独り内に籠もって泣くより、誰かの前で泣くことの方が心は落ち着きます。・・・、アル様、それはけして恥ずかしい事ではないのですよ」
セレナの言葉に自然とアルエディーの頬から涙伝い溢れた。そして、彼女にしがみつき、その女性の胸の中で静かに嗚咽する。今のアルエディーをレザードに見られ様なら失笑間違いなしの姿だった。それから、暫くその格好のままセレナの中で心に積もった鬱積を流し、アルエディーの心が安堵し、嗚咽が止まった事を勘付いたセレナは彼から離れ、彼の顔を見据える。
「アル様・・・、ご気分はどうですか?これをどうぞ」
言葉と一緒にスカートのポケットから純白で奇麗なレースが施された手巾をアルエディーに渡した。
「セレナ・・・、心配をかけさせて済まなかった。君のお陰で気分が楽になったような気がする」
その騎士は照れた少しばかり紅くなっている顔を彼女から受け取った手巾で隠しそう答えを返していた。そんな彼を見たセレナは嬉しそうな表情を作り口元に拳を添え小さく笑っていた。そして、彼女のその顔を見たアルエディーはばつの悪そうな顔で口を開く。
「嬉しそうだなセレナ・・・・・・・」
「ウフフフッ、だってアル様が私の中で泣いてくれたのですもの嬉しくない筈ありません。このような事させて頂いたのはたぶん世界で私一人だけ・・・。男の方がそう易々と女性の前でお泣きになる事はありませんでしょう?それにアル様は私よりも四歳も年上の方。そんな方が甘える様に泣いて下さるなんって嬉しくて仕方がありませんは、クスッ」
「?だだだあああだだだだっ、誰が甘える様にだあっ!」
その騎士は聖女の言葉に大きく狼狽しながら大手を振ってそれを否定しようとした。そんな彼の姿を見て彼女はアルエディーの羞恥心にさらに煽るような言葉を駆ける。
「クスっ、その様に紅くなってうろたえるアル様・・・、とてもお可愛いですわね」
「セッ、セレナ俺をからかって苛めないでくれ・・・」
彼女に背中を向け彼はそう彼女に答えたのであった。
「本当に元気が出たようですね。私安心しました・・・、これからはもっと厳しい状況になると私は思います・・・、ですから心をもっと強くお持ちください。貴方が騎士であると言う名に誇りに懸けて。・・・・・・・・・そして私は・・・貴方の心をお護りしたいです」
「騎士の誇りに懸けてどんな辛い状況でも立ち向かって見せる。セレナ有難う」
アルエディーは彼女の最後の言葉が聞き取れていたのかどうか誰にも分からない。だが、彼はそう彼女に感謝の言葉を返していた。その騎士が口にした言葉〝どんな辛い状況でも立ち向かって見せる〝彼は本当にその言葉の意味を貫けるのか?それはセレナにも彼自身にも今は分からない。
それから、セレナがまだ彼の部屋にいる状態でレザードがそこへ訪れると、
「あれぇ~~~、もしかして私お邪魔でしたかぁ?」
「いっ、いえ、そんな事ありませんことよレザードさんオホホホホッ・・・、それではアル様、私は失礼いたします」
そう言い残すとセレナは微笑んだ状態で特務室を出て行った。
「フッ、心配して来て見たのですがその様な心遣いは無用のようでしたね」
「レザードッ、なんだよその変な笑いは!俺は別に疚《やま》しい事などしていないぞ」
「私は一言もそんな事、言っていませんし、聞いてもいませんよ。クククッ」
「ググッ・・・、所でレザード一体なんのようだ」
「用がなければ私はここへ来ては駄目なのですか?」
「別にそんな事はないが・・・、でっ?本当は何しに」
「城の中を探検していましたらこのような物を発見したので貴方に」
「探検?また勝手なことして」
目の前の彼にそういわれたレザードは一度差し出した物を引っ込めて少しばかり不機嫌そうな表情でそれに答える。
「なんですか?その私の行動を疑うような目は。ちゃんとアレフ王に断りを受けてから回らせてもらいました」
「そうならいいのだけど・・・、いまさっき俺に見せた物は何だ?」
再びレザードは持っていた物をアルエディーに見せ今度は完全に彼に手渡した。
「これは・・・?」
レザードからアルエディーに手渡されたものは一冊の数百ページ程度の厚さの本だった。その本に題名は書かれていない。彼は本を開き紙面をめくった。それには有りと在らゆる武器の基本的な使い方、特殊な技法などが手書きで記されていた。素早く最後まで本をめくると・・・。
『向上心を持ち、上を目指す者達の為に私が身に付けた全ての武器の技法とその修練の仕方をここに記す。そして正当なる我が後継者にこれを託す・・・。親愛なる我が息子アルエディーへ』
『著=ウォード・ラウェーズ』
アルエディーが手にした物は彼の父親が書いた武芸百般技術書だった。そして、それはアレフが戴冠式を向かえた日にウォードからアルエディーに渡される筈の書物でもあった。
「喜んで頂けましたか?」
「レザード、有難う感謝するよ・・・。父さん俺の為にこんな物を遺していてくれたのか・・・。それでこれを探している間お前は何を見つけたんだ?レザード、お前のことだこれはそのついでに見つけたのだろう?」
「心外ですねぇ~~~っ。そんなことないですよ・・・・・・・・・。はぁ~~~、なんと言うか察しがいいですね」
レザードはそういって飄々とした顔でアルエディーに別の二冊の本を見せた。それにはウォードが書いた物と違ってしっかりと表紙に題名が書かれていた。一冊は〖魔法体系の書〗と書かれ、もう一冊は〖魔導研究秘書〗と印されていた。著者はレザードの母親のアルテミス・シュティール。
「いやねぇ~~~、私やアルティアをほったらかしにしてあの人はどんな仕事をしていたのかと思いまして・・・、くすねてきてしまいました」
「オイッ、レザードそんなことしていいのかよっ」
「大丈夫ですよ、一冊や二冊なくなったくらいで困るような人じゃないですからね内の母はハッハッハ。それに手書きの物なら予備に別の本にも記してありますよ、多分」
「まぁ、俺が口出ししてもしょうがないんだろう」
「さすがアルエディー、よく私の事を分かっているではありませんか・・・・・・、それでは私はこれを読もうと思うので失礼しますよ」
ずれてしまった眼鏡をかけ直しながら軽く笑いその部屋を出て行った。レザードが出て行ったあとアルエディーは彼から渡されて武芸の書を食い入る様に読んでいた。それから、ど探索探知器けの時間が過ぎたのだろうか、気が付くといつの間にか彼の隣に誰かが立っていた。
「ルッ、ルナ?・・・・・・、いつからそこに」
「数ヌッフ、程前からです・・・、紅茶とお菓子をお持ちいたしました」
「そういった事はルナ、君の仕事外の事だろう・・・」
「ワタクシが好きでやっていますことなのでお気になさらずに」
「すまん・・・。では頂かせてもらうよ、ルナ」
「はい、それでは・・・」
彼女はテーブルにトレーを置きティーポットにお湯を注ぎほんの少し待ってからそれをカップに淹れてアルエディーに渡す。
「どうぞ、熱いので気を付けてください。・・・処で何をそんなに真剣に読んでいたのですか?」
アルエディーはもっていたその本を閉じ彼女に渡した。
「これはウォード提督の武芸の指南書・・・、とてもよく書かれていますね。あの・・・、アルエディー様、若しよろしかったらこれを読み終わったあと私にお貸し下さいませんか?」
「別に構わないが・・・、どうしてだ?」
「私はルティアお母様と違いましてそれ程魔法が得意ではないのです。ですから剣技の方を磨きたいと・・・、私に戦わせたくないというのは駄目ですからね」
「ウグッ・・・、ルナ何で分かったんだ」
心を見透かされたアルエディーは喉元に何か詰めたような感じの声でそう聞いていた。
「アルエディー様の考え方は王都まで辿り着くのに十分と見せてもらいましたから・・・、私やセレナさんみたいな女の子には戦いは似合わない、戦うのは男の仕事だ、女には戦場に出て欲しくないとそうお思いなのでしょ?そのお気持ち嬉しくも思いますし、悲しくも思います。ですが、その偏見的なお考え方、正してくださいましたら私は今以上に頑張れます」
「ハァ~~~、どちらが年上なんだか・・・、君に諭されてしまうなんって俺って情けない男だな」
「ハッ!?、申し訳御座いません私ッたらでしゃばった事口にしてしまいました・・・、済みませんアルエディー様・・・」
上官に対して差し出がましい事を言ってしまった彼女は恥ずかしそうに彼に謝っていた。
「ルナ、気にしないでくれ。君の様に物事をはっきり言ってくれる人がいれば俺は色々と自分を見詰め直し変える事が出来るから・・・、ルナの言葉肝に銘じて置くよ」
アルエディーの言葉が嬉しかったのか平静に戻り彼を見つめていた。
「なっ、何だルナ?俺の顔に何か付いているのか?」
「フフッ、何でも御座いません・・・、それでは私はアルエディー様に代わってしなければならない雑務がありますので失礼させていただきます。それでは・・・」
「あっ、ちょっと待ったルナ、これを・・・」
「よろしいのですか?」
「大体の事は頭に叩きこんだあとは剣を振り回して体に身に付けるだけ」
「それでは大切に預からせていただきます」
アルエディーから貸してもらったウォードの指南書を片手に彼女は雑務をするため戻って行った。
ルナが出て行ったあとアルエディーは部屋に立て掛けて有った長剣を手にルナが持ってきた焼き立てのお菓子を口に王城の裏庭に向かって行く。しかし、そのお菓子がルナの手作りだとはアルエディーが気づくことは無かった。
† † †
「タッ!テェーーーイッ、ヤァッ、トォーーーッ!!」
裏庭に出て約5イコット程その騎士は休む事もせず、ただひたすら武芸書に書かれていた通りの基本動作と応用動作を繰り返していた。まだ夜は身震いするほど寒いというのに彼の全身からは玉の様な汗がいたる所から流れ出し、気化した汗が湯気となっていた。剣を握る彼の手の中も汗でビッショリと湿っていた。ど探索探知器け力強く握ってもその湿りで幾分手の中で柄が滑り動く。アルエディーはいったん動きを止め手に掻いた汗と長剣の柄に付着した汗をタオルで拭っていた。
「フぅうぅううううう、少し休むか・・・」
彼は芝生の上に寝転がり夜空を眺め始めた。冷たい夜風が吹きつけその者の体温を下げようとする。空には沢山の星々と三つ子月が煌々と輝いていた。暫くそうしていると金属音と共に足音が彼の耳元までへと届く。
「アルっ、探したぞ!心配していたんだぞっ!!一体こんなところで何をしていたのだ」
突然現れた者にアルエディーはとなりに寝かせていた剣を手に持ちそれをその者に見せた。
「アレフッ、俺はここでこれを振るっていた・・・、気付いたんだ、今までの俺は大剣と精霊王の力に頼りすぎていたんだって・・・、だから普通の剣でも強敵と渡り合える様にその特訓」
「何を言っているんだお前は?アルの強さは大剣の力と精霊の力だけではないだろう。普通の剣を持ったお前だって信じ難くらい強いだろ?」
当然の事を言わせるなと言わんばかりの顔でその王はその騎士に答えた。
「なぜそんな事を言える?」
「アルエディー!お前がど探索探知器け強いかは闘技大会が示しているだろう」
その大会に出場する者は運営委員会から提供された武器をもって戦うため技能のみでその勝敗結果が決まる。その闘技大会に三度も優勝しているアルエディーだ弱いはずがないとそうアレフは思っていた。
「まあっ、そんな事はどうでもいい。私はお前に渡したい物が有ってここへ来たのだからな」
「渡したい物?一体何を俺にくれるって言うんだ、アレフ」
アレフは彼の友に持っていた一振りの剣を渡した。
「これは・・・、ウォード父さんのティターン」
「そうだ、今、アル、お前はあの大剣を失ってしまっている。それの代わりにと渡そうと思って持って来た」
「アレフ・・・、嬉しいけど俺にはこれを使う事が出来ない」
「どうしてだっ!それはお前の父親、ウォード提督の剣なのだぞ」
「だから使えないんだ・・・、アレフここを見てみろ」
その騎士はティターンの鍔飾りに付いている三つの精霊石を王に指差し説明し始めた。
「こんな風に精霊石を埋め込まれ、精霊を宿された武器はその契約者以外その力を引き出す事が不可能なんだ。力の引き出せない剣は鈍らにしか過ぎない」
「なら、その契約を解除し新たに精霊を宿せばよかろう」
「それは可能だろうけど・・・、俺は無理。すでに精霊王と言う最高位のデュオラムスと契約を結んでいる。それ以外の精霊と契約を再び交わすのは許されていない」
「そうだったのか・・・、知らなかった済まないなアルエディー。それならこれはお前が使え」
アレフは腰にかけていた聖剣エクスペリオンをアルエディーの前に差し出す。そして、騎士がそれを拒否する前にその権利を王が奪う。
「嫌だとは言わせない王としての命令であり、友としての願いだ」
「そこまでアレフが言うのなら・・・、暫くこれは俺が預かり、使わせてもらう」
「お前がそれを使っている間、私はウォード提督のそのティターンと言う剣を使わせて貰う事にするが・・・、私に精霊契約できるだろうか?」
「アルテミス様にお頼みすれば何とかなるはずだと思うが・・・」
「そうだな、アルテミスがここへキース叔父上様と辿り着いた時にでもお願いしよう・・・・・・、アルよもう夜も遅い城の中へ戻ろう」
「アレフ、お前には悪いけど今しばらくここで剣を振っていたい。だから先に行ってくれ・・・」
「わかった、だが程々にしてくれお前に倒れられてしまったら私は・・・」
「アレフ、心配してくれて有難う・・・、だけどいまは少しでも体を動かしていたいんだ」
その王はアルエディーのそれを聞いて目を瞑り微かに笑うと外套を翻し彼に背をむけ立ち去って行く。そして、アルエディーはアレフが見えなくなると彼から渡されたエクスペリオンを鞘から抜きその刀身を月に照らして眺めた。
多くの帝国兵の鎧や異形の怪物達の硬い皮膚を切り裂いていた剣であるはずなのに刃毀れ一つなく、一点の曇りもなく月明かりに照らされ神々しく輝いていた。アルエディーはそれを両手で握るとその聖剣が持つ力が電流の様に彼に流れ込んでくると彼の体はその凄さに武者震いをした。
心眼になり精神統一を図り、聖剣の持つ威力を心と体で感じようとしていた。やがて瞼を上げ、目を見開くとアルエディーは闘気を籠め何もない空間へ横薙ぎに一閃した。一瞬、空間が断ち切れんばかりの力の奔流がエクスペリオンから放たれた。
「なんって凄いんだっ!これは本当に人が手にしていい力なのだろうか・・・」
その余りの威力に騎士は聖剣エクスペリオンに対して畏怖の念を感じていた。女神ルシリアから言われた人の心が集まれば無限の力を発揮するその聖剣と精霊王の力を完全に引き出したアルエディーの無名の大剣どちらの方が真に強いのだろうかと思いながらその騎士はエクスペリオンで流れるような剣捌きを誰にも観られる事なく彼の体が眠りを欲するまで続けられた。
† † †
帝国大元帥イグナートにファーティル王都エアがアレフ達に取り戻されたとヨシャからエーテルリンクで直接連絡があったのはその日から二日目のことであった。
「ヨシャ、それは本当の事なのかっ」
「ええ、私の大事な部下が一人亡くなった事もエアが彼等の手に戻ったことも事実ですよ」
「クッ、私の停戦協定文は届かなかったのか・・・」
その大元帥はその書簡が届かなかった本当の理由を知ってはいなかった。
「これ以上戦いは無意味だ。ヨシャよ、軍を撤退させユーラまで戻ってくれ、私は船で王国を回避して戻る」
「今この連絡は撤退しながら行っているものですよ。王国側が追っての兵を出さない限り一週間もあれば着くでしょう。あぁ~~~大転送魔方陣が動いてればあれよっと言う間に帰れるのですがねぇ~~~。それではイグナート大元帥様も道中お気をつけてお戻りくださいね」
そう言ってそのヨシャ元帥は笑顔でリンクを切った。
「ふぅーーー、エアリス、ナルシア母君は無事なのであろうか・・・、いやアレフ王やアルエディーのことであろう手荒な扱いなどはしていないと思うが・・・」
ナルシアとエアリスの心配をするイグナートであったが彼は知ってはいない、再び肉親の二人がヘルゲミルの配下によって捕らえられてしまったことを、そして、まだ戦いが終りを告げていないことを・・・、イグナートはまだそれを知らない。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった
根上真気
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!
異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。
真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆
【あらすじ】
どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。
神様は言った。
「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」
現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。
神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。
それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。
あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。
そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。
そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。
ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。
この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。
さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。
そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。
チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。
しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。
もちろん、攻略スキルを使って。
もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。
下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。
これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。
【他サイトでの掲載状況】
本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
カタクリズム
ウナムムル
ファンタジー
ある日、世界から突如【死】が消え、生命は【不死】となった。
崩壊するヒエラルキー、加速する食糧不足…。
死者の出ない不毛な戦争が続き、疲弊した各国は代表を選抜する。
選ばれし24人の精鋭は【死の概念】が消失した原因究明のため旅立った。
そして、彼等は知る事となる。
【死の概念】の消失、それは序章でしかなかった、と……。
5章からは「小説家になろうで」でお願いします。
登録コンテンツの【カタクリズム:中編】から行けます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる