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本 章

第三部 終 幕

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 それはある冬の晴天の朝、雲ひとつ無く澱みない澄み切った空、多くの人々が行き先を求め歩き続ける大通りのその場所でそれを見上げ嬉々とした表情を浮かべる人物がいた。厚手のコートに身を包み、白い息を漏らし、その人物は呟く。
「これが私の導き出した答え?いや違う・・・、なら、一体私はな何を望んでいたと云うのだろう。しかし、私は自身のこの裡に秘める想いとあれらに連なる者達への制裁衝動を停める事ができません・・・。終わる事のない怨舞曲。私もその舞台の上で滑稽に踊らされる日が来るのでしょうか・・・」
 その人物が呟く言葉。いったい何を意味しているのだろうか?
 その人物の横を過ぎ去る社会人達、その人物の囁いた言葉など会社に急ぐ、彼等、彼女等の耳に届くはずもなく、ましてや、聴こえたとしてもその意味を理解できる訳もなかった。
 その人物は開いた手に何かを持っていた。
 それを見詰め、何かを思い、それを握り締めるとその場から動き出してどこかへと向って行く。
 第三者によって仕組まれた結末なのだろうか、
 それとも、ただの偶然なのだろうか?
 だが、もう、柏木宏之も、涼崎春香も、藤原貴斗も、藤宮詩織も、八神慎治も、そして、隼瀬香澄も、この世には存在しない。
 春香の妹、翠と彼女の親友であった結城弥生に至っては覚醒しないだろう・・・。
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