転 神 ~ 人類の系譜・日本神話 編 ~

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第 参 話 異 変

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 遅い夕食後、武とその家族達が居間でテレビ番組の取り合いをしていると番組が強制的にニュース速報に切り替り、
「緊急ニュースを報告します。今日未明、国防省長官―出雲琢磨氏が行方不明となりました。現在、特別捜索隊を・・・・・・」
「ハッハッハッハ、何か不正をやらかしてどっかに雲隠れでもしたんじゃないの」
「たけるぅ、そんな事いっては駄目でしょう。国防省の長官っていったら私達の国を護ってくれるのに頑張っている人よ」
「そうですよ、武ちゃん」
「あぁぁあぁっ、騒がしい。ニュースが聞えんわい」
 武の祖父の一言で家族全員、繰り返されるニュース速報の内容を確認した。しかし、その内容は出雲琢磨が行方不明になったと言うだけで、国防省舎で起こった事は一切伝えられていなかった。行政府の事実の隠匿は旧態依然のままだったが、今回の件に限って事実の公表をしなかった事が悪いとは言い切れないのもまた一つの事実である。
 
~ 皐月中旬 ~
― 京都市西京区嵐山・朱雀院 ―
 朱雀院陰陽師の頭首が四方の篝火に囲まれその中央に座っている。そして、炎の外に十数人の陰陽師の門弟達が座っていた。その頭首の名は安倍陽久(あべ・あきひさ)、現代もなお続く陰陽師の筆頭で彼の名はその道の者や大抵の一般人なら名前位、誰もが知っている程の有名な人物であった。
 今、その陰陽師、陽久は神託を受けるために深い瞑想に入っていた。それに入って既に二時間以上も経過している。
 周りの弟子達は身動き一つせずに陽久の瞑想の終わるのを待っている。その場に動いている物は篝の中でゆらゆらと波を打つ炎とその光で出来る影だけだった。
 壁や床に映るその揺らめく影の形は・・・・・・、人の物ではない。永い静寂が続く。
 更に一時間を過ぎてから陽久はフッと鼻で笑い、ついに瞑想を解きその場に立ち上がった。
「陽久様、どうなされたのですか」
「御告げが余りにも嬉しい事だったのでな。つい笑みを漏らしてしまったのだよ」
「それはどのようなことで?」
「聞きなさい門弟たちよ。・・・・・・・、いや我等、蜘蛛神の眷属たちよ」
「時は満ちた。天津神の力の下に鎮座し自然に抗う人間どもに我等が受けし屈従の積年の恨みを晴らし、自然の理の鉄槌を下す時が来た。そして、今一度我等が世界を築こうではないか」
「陽久殿、それはまことか?」
「まことじゃ。だが今のこの数ではどうにもならんであろう。同士を集め、渦巻く瘴気を餌に魑魅魍魎共を使役し、彼奴きゃつ等、人間どもに生の苦しみと死の恐怖を存分に味わあせてやろうではないか」
「さあ、みなの者、己が思う侭に行動せよ」
 頭首の言葉を聞き終えるとその場に居た蜘蛛神の血を引く者達は直ぐ三々五々に散って行った。
 安倍陽久も同志を集めるためにその場から姿を消しす。
 その陰陽師は己の足で同市内の伏見区へ向かっていた。彼の走る速さは道路を行き交う現代の乗り物より早かった。そんな異常な速さで走る姿を人目が捕える事など出来ない。陽久の向かった先はとある陶芸の作業場だった。
 その一室で少ない光源の中、銀色の長髪で赤いバンダナを巻いた一人の男があぐらをかいてろくろを静かに回していた。
「矢張りここにいたか清志狼よ」
「?陽久か・・・、創作中だ。邪魔だから帰ってくれ」
 陽久に背を向けたまま冷たくそう言い放った者の名は里美清志狼(さとみ・せいしろう)二十八歳、若くして人間国宝に認定された天才陶芸家。加えて、芸術プロダクションの社長でもあった。
「フッ、清志狼よ。その様な事をしている時ではないぞ。そう今が人間どもに復讐する好機ではないか。我にそなたの力を貸せ」
「俺には興味がない帰っていただこうか」
「何を言うのだっ!貴様等一族とて人に恨みがあろうにこの機に動かずとしてどうするのだ?清志狼、人はお前が護るべき動物を己の捕食や好事がために乱獲し、しまいには絶滅に追いやった者達までおるのだぞ」
「そうなるのがその動物ものたちの運命、俺は争いなどをして今の世の事を荒立てる積もりはない」
「清志狼、我に協力しないというのか?・・・・・・、そうか貴様がそう言うのであれば我もこれ以上は言わん。だが、後悔しても遅いぞ」
 その陰陽師は冷静に相手に言葉を返してから一瞬だけ目を細めその場から去ってゆく。
「そんな事を・・・・・・、言われなくても分かっている。獣神けものがみの俺は俺で動く。誰の手も借りん」
 誰もいないその場で独り、そう呟き、月明かりの射す窓の方へ振り返った。
「フンッ、今宵は良い満月だ。・・・・・・・・・・・・、良い物が出来そうだな」

 国津神、蜘蛛神、獣神がそれぞれの意図で動き始めてから数週間。行方不明や猟奇殺人、奇妙な事件が各地で相次いで起こった。その数は千をくだらない。
 国防、公安、警察各関係者上層部は余りの異常事態に報道管制を布き、一般市民からその事実をしばらくの間、覆い隠していた。
 だが、その件数が一万を超えた水無月中旬の終わり、その変事を人々は知らされる。

 武と美姫が部活動から帰って家に上がり居間を通り過ぎようとした時だ。双樹と操子がその場でテレビを見ていると信じがたいニュースが全員の耳に流れ込んでくる。
「ただいま入りました緊急速報をお伝えいたします。国家公安委員長と内閣総理大臣から重要な報告があるそうです」
 ニュースキャスターの真剣な表情に余りニュースに関心を持たない武も真面目にそれを聞いていた。
 その報道の内容とは政府が今までひた隠しにしてきた怪奇事件の真相を国民に伝えることであった。それにより起こりうる人々の混乱を政府は予測しているが民衆の命の安全を最優先させるためにあえてその事実を知らせる事に時の総理大臣と公安、警察庁、国防省のトップ達は決定したのであった。そして、国民に警戒を呼びかけるものだった。
 報道の言葉の中には魑魅魍魎や化け物という物が関係していると入っていた。
「はっはっはっはっはっ、何馬鹿なこと言ってんだよ、この人達。そんな物いるわけないだろう」
「武ッ!黙って聞きなさい」
「何だよ、姉ちゃんそんなに真剣になって。もしかして本当にこのニュースが言ってる事信じてるわけ?」
「爺ちゃん、ミサおばあちゃんもどうなの」
「なんともいえことじゃの」
「首相様が言うことでしょう。それが嘘だということはないと思いますが信じ難いことですね」
 ニュースの最後には警察の夜間巡回が多くなる事、国防隊も各地で昼夜問わず警備に当たる事とその他注意事項が流された。
 武達だけでなく、この報道を聞いた者達に首をかしげなかった者はいないだろうというほどの事だった。それから、武はそのニュースの内容を半信半疑の裡に自室へと戻っていった。
*   *   *

 翌日、武はまた同じように悪夢にうなされていた。ここ最近、彼は毎日の様にその悪夢にさいなまされていた。そして、今日も姉の美姫によって夢から目覚めさせられる。
「武、あなた本当に大丈夫なの?最近ずっと苦しそうよ。お姉さん心配だわ」
「あのねぇ~~~、姉ちゃん年頃の男の部屋に無断で入ってくるなよ」
「ちゃんとノックして確認したのよ。それに何を言っているの今更?武が素っ裸でいても私ちっとも驚かないわよ・・・って話しずれちゃったわね。武・・・・・・・」
「大丈夫だって、そんな心配そうな顔しないでくれよ。余計に目覚めが悪くなっちまう」
「もう良いだろう?着替えるから下に降りて待っててくれよ」
「分かったわ、朝食の準備はもう出来ていますから直ぐに降りてくるのよ」
「ういっす」
 彼は姉の出て行ったあと寝台の上で大きく溜息をついた。
 近頃、何だか悪い夢を見てばかりだ。その怖さは日にしに増している。
 大抵は俺が登場して何者かに追われ最後には食い殺されたり、惨殺されたりと夢見のいい物じゃない。その相手は一人の時も集団の時もあった。それと稀に俺以外の誰かが夢に現れて俺に助けを求めたりする。だが、何も出来ないで俺の目の前で襲われ殺されていた。非常に夢心地の悪い物ばかり。だから、最近とても寝不足だったりする。
 着替えが終わると階段を駆け下り、みんなの待つ食堂へと向かった。
 階段を下りる際に体がよろめいて転び落ちそうになるが何とか体勢を立て直して怪我をせずにすんだ。体が思う様に動かない・・・・・・、寝不足の所為だろうか?
 食卓の椅子に座るとミサおばあちゃんが心配そうな顔を俺に向けていた。
「武ちゃん、おはよう御座います。・・・・・・、何だかお顔の色がよろしくないようですけど」
「操子、心配するこたぁなかろう。どうせ、夜更かしでもして寝不足なのであろう。なぁ~、そうじゃろう、武?」
「そうそう、爺ちゃんの言うとおりだからミサおばあちゃん心配ないって」
「そうですか・・・・・・、それではみなさんいただきましょう」
 おばあちゃんにも姉ちゃんにも余り心配掛けさせたくなかったから今は無理にでも明るく振舞っておく事にしよう。

 靖華城学院に向かう途中、いつもの場所で経司と出会い毎度のごとく三人で学校に向かった。
 校門前に到着すると今日もまた照神先輩に揉みくちゃにされ経司に笑われながら校舎内へと入って行く。
 俺達の教室に入ると思っていた以上に昨日のニュースの話題で騒がしくなっていた。
「なあ、経司。お前昨日のあのニュースどう思う」
「さあな・・・、実際、魑魅魍魎とか妖怪とかそんな化け物に会ってみるまではそれが本当なのかどうなのか俺には何とも言えない。まあ、そんな化け物がいたら会った時点で俺の人生終わりだろうけど。・・・・・・・・・・・、そういう武こそどうなんだ?」
「俺?初めは半信半疑だったけどやっぱ、信じられない。何の為にあんなニュースを流したのか俺は知んないけど。化け物なんか物語の中だけにしろ、って奴。いい迷惑だ」
「同感だな」
「おいっ、何二人して白けた事言ってんだ?せっかく面白い事態になって来たのにこれを見逃す手はないぜ」
 今さっき登校してきたばかりの牧岡大地が武と経司の話しに割って入ってきた。
「なに嬉しそうに言ってんだよ。何を見逃すって言うんだ?」
「牧岡、何を不謹慎な事を言っている。まったく、お前は」
「何優等生みたいな事いってんだ。まあ、武と違って香取は実際優等生だけど。そりゃねぇ、やっぱり化け物が現れたんだ。それを倒す英雄や勇者が必要だろう?だからそれを俺達がやるんだよ」
「何でそこで『俺達』って俺や経司を含めるんだ。そんな危険な事、大地お前一人でやれよ。付き合ってらんねぇーーー」
「俺も勝てない勝負はしないんでな。残念だけど辞退するよ」
「剣道部のエースがそういうかよ。ケッ、つまんねぇなぁ~~~、俺独りだけ、ってのも何だか心淋しいからやっぱやめにすっか」
「それが無難な答えだろう」
「そうだ、無理に危険に突っ込む事はない。俺達は人間、相手は化け物。勝てる道理はどこにもないぜ」
 俺がそういい終えた頃にチャイムが鳴り、担任の先生が教室に入ってきた。
 朝のホームルームで先生もまた昨日の報道に関しての連絡事項をみんなに伝えてきた。まったくいい加減にして欲しいぜ。
 午前中の授業は何とか眠さを耐えて受けていたが午後は昼食後、それと寝不足の所為でついつい居眠りを俺はしてしまう。

*   *   *

「はぁー、はぁー、はぁー、駄目だ、追いつかれる」
 夢の中で本のイラストや小説の挿絵なんかに描かれている瘴気から生まれた化け物に俺は追いかけられていた。しかし、不思議だ、毎回見るこの夢、俺の意識はその中ではっきりしている。
 自分の息遣い、体の動き、そして思考の総てが鮮明。目を覚ましてもそのことを忘れず、はっきりと覚えている。
 その夢の中で俺は逃げるのを諦め、振り返り襲い来る物と戦う事を仕方がなく決意した。
「もう逃げられやしないんだ・・・・・・、くそっ、来るなら来い。相手してやる」
 化け物は口元と目元を緩め〝ニヤッ〟と俺を小バカにする様に笑った・・・・・・、様に見えた。そして、牙を剥き襲い掛かってくる。
 俺はただ、相手の動きを読んでかわす事しか出来なかった。だが、化け物の方が動き早く、寸前の所で避け切れないで体中あちらこちらに爪の抉り傷を貰っていた。
「ウグッ、駄目だ。・・・・・・、やっぱりムリだ、勝てない」
 両太腿を鋭いその爪で貫かれ、その場に倒れ込んでしまう。余りの痛さにそれ以上の言葉を出す事が出来なかった。
 地面にうつ伏せに倒れ、そんな状態でも化け物に目をやった。するとそいつは再び〝ニヤリ〟と笑みをこぼし俺の方にゆっくり近づいてくる。
 涎を垂らしながら口を大きく開き、鋭利な牙を見せつけ俺の首筋へと運んできた。そして、その裂けた口をゆっくりと閉じて・・・・・・・。
「うがぁーーーーーーーーーーーーっ」
 現実の世界で大声を上げてその悪夢から眼を覚ました。
 静まり返った状態の教室、その叫び声で学級の友達の目が一斉に俺に集まる。そして痛いくらい厳しい目で今の時間の教師、日本史の岸峰椿(きしみね・つばき)先生に睨まれた。
「鹿嶋君、私の授業で居眠りする事をけして咎めたりしません。ですけどね・・・・・・、他の生徒の勉強の邪魔をするのは赦しませんよ。顔を洗ってからこの時間が終わるまで廊下に立ってなさいっ!」
 岸峰先生が表情とは裏腹に優しい声でそう言ってきた。それが余計に怖かったりする。
 学級のみんなは一斉になって俺に笑いを向けた。しかし、その笑い声も先生の言葉で一瞬にして退いて行く。そして、俺は頭を掻きながら苦笑を浮かべ教室を後にした。
 まったく、何をやってるんだか俺?だけど、居眠りの中でもまたあの悪夢か。相当ヤバイなこれは・・・・・・・・、〈はぁ~~~〉と心の中で重い溜息を吐いた。
 部活が終わった後、姉ちゃんの美姫、経司、大地それと文芸部に在籍していていつも俺たち四人より帰りの早い照神先輩を加えた五人で帰宅する事になった。
「武、椿先生から聞いたんだけどあなた授業中居眠りしていたそうね」
 そういえば岸峰先生は弓道部の顧問だったんだ。別に姉ちゃんにそんな事を言わなくてもいいのに・・・・・・。
「仕方がないっしょ、すごく眠かったんだから」
「叱っているんじゃなくて心配なのよ。武が目を覚ましていた時とても大きな呻き声を上げたって先生言っていたから」
「確かにあれはすごかったな」
「ああ、あれはマジ驚いたぜ。余りのすごさに学級の連中、一瞬静かになっちまったもん」
「タケちゃん、そんなに怖い夢を見たの?・・・、そんなに怖いなら私が一緒に添い寝してあげましょうか」
「それだけは絶対勘弁して欲しい。なんとなく悪夢より怖いような気がする」
「くすんっ、ひどいなぁ~~~、私本気でタケちゃんの事を心配しているのに」
「テル、馬鹿な事を言うんじゃないの。貴女に武を貸したら何されるか分からないわ」
「ふうぅ~~~んっ、ミッキーまで・・・、私そんな酷い事しないのに」
「そんな事で泣かないでください、伊勢野先輩」
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 大地がそういうから俺はその夢の一部始終を簡単に口にした。
「みんな、心配してくれて有難う。でも大丈夫さ。たかだか夢だろう」
 そんな風に言葉にして俺は強がって見せる。しかし、夢を聞いたみんなはなぜか不安な色のままの表情だった。
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