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【7】ハチミツ味の黒
しおりを挟む口の中に広がるのは、ふわっとした優しい甘さだ。
甘いもんすきかどうかって訊かれたら、うーん普通に食えるけど、別にそんな好んで買わんかなーって答える。
大体の男と若干の女性はそうじゃない?
たまに食いたくなるけど、なくてもいいかなーっていうか。高いケーキとかチョコはうまいの知ってるけど、コンビニ菓子くらいだったら貰えば食う程度っていうか。
でもさ、いざ目の前から甘味がきれいさっぱり消えちゃうと、なんていうか……懐かしくってちょっと泣きそうな感じだ。
おれの舌は、確かに甘さを感じていた。
抱き寄せられたときは、まじで何事……と思ったけど、性的な乱暴とかじゃないなら、キスくらいどうってことはない。
そもそもおれはホラ、男とのちゅーとか気持ち悪いってわけでもないし。そりゃ好みはあるけど、生理的に無理~とかはない。
レルドさま(なんか高貴っぽいしきっと様つけたほうがいい、と勝手に判断した)は、どっからどう見ても変な人だけど見た目はわりと良い。てかよく見たらイケメンだ。
真っ当な正真正銘正統派イケメンって感じじゃないから、正直ゼノさまよりも、レルドさまの方がおれ的には緊張しない。うん。面白いし喋ってて楽しいし、おれ、レルドさま好きだな。恋愛的じゃない意味で。
舌の上の甘さをじっくりと味わい、名残惜しく唇を舐めた後で、にまにまと笑うレルドさまに視線を戻す。
「……これ、レルドさまの口の中の味はどうなってんの? 唾液の甘さ、自分は感じないの?」
「ん~~~感じないわねぇ~~~。アタシの味覚が馬鹿なのか、自分の分泌物の味はスルーされてんのか、わっかんないけどね~」
「分泌物、ってことは、涙とか汗も?」
「そうかも。アタシもそこまでは未確認。なんなら今試す?」
ぐい、と首筋を示されたけど、いやぁいまここで舐めんの? うーんそれはちょっとなぁ、と思ってノーセンキューをお伝えする。
あら残念、と言う割に、そこまで残念そうじゃない。
ただ、なんかすげー楽しそうだった。
……こういう話好きなんかな? さっきからゼノさまの方見てにっこにこしてるけど。つかなんでゼノさまそんなすげー顔で固まってんの?
「ゼノさま、どしたんすか? 自分の分泌物が甘いとかそんな衝撃の事実だったの?」
「…………おまえ……ほんと……くそ! なんでもない! 話は終わったかさっさと帰るぞ……!」
「え、まだ終わってない終わってないです! もうちょい聞きたいことがええと、あと十個くらい……っ」
「日が暮れるだろう馬鹿者! 俺は仕事を放り出してきたんだ、風呂の修理も終わっているかわからんというのに、こんなところで道草を――」
「あらぁ~じゃあアンタ一人で帰ったらいいじゃなぁ~い? ハルイちゃんは~アタシが~責任もってぇ、ちゃーんと送っていく・か・ら」
「気味の悪い話し方をするなやめろ勢い余って殴りそうだ」
「うはははははふふふほほほ! なんの勢いかしらねぇー! あーーーー楽しいなにこれ最高のオモチャじゃないのーーーーありがとうハルイちゃん最高! アナタ、さいっこう! 末永く宵闇亭で労働して時々アタシとお茶飲んでほしいわぁ!」
「金輪際ハルイは貸し出さん」
「あらやだ横暴~。ハルイちゃんはアタシに会いに来たいわよね~? だってほら、こーんなにたくさん、欲しいものがある」
ほしいもの。
そう言ってレルドさんが胸の前に掲げてみせたのは、本。
――見慣れた、地球の料理が表紙になった、レシピ集らしき雑誌だった。
……いや何それなんで!?
なんでこんなとこに料理雑誌あんの!?
「うふふふふふ、そうよねぇびっくりしちゃうわよねぇ~、アタシもびっくり。このお綺麗な皿の上の何か、まさか食べ物だなんて知らなかった。白館の料理人が教えてくれるまでね」
「……おまえ、白館の奴とも会ったのか」
「アタシは不可侵で無遠慮よ。白も黒もどうでもいい、加担しないし関与もしない、けれど無視をするとは言っていない。体のいい中立なの。白館は結構頻繁に来るのよぉ~そんで好きなだけ荒らしていくわ。あの横暴さ、ちょっと癖になるわね。ま、面白い話いーっぱい聞けるから、チャラにしてあげてんだけどっ」
なんか白と人と黒の人にはちょっと確執があるっぽいんだけど、いやそんな事よりその本だ。
その本貸してほしい。心底貸してほしい。せめてチラ見させてほしい。
どう見ても英語とフランス語っぽいけど、たぶん材料と分量くらいはおれにも理解できるはずだ。作り方わかんなくても、料理の参考にはなる、絶対に。絶対になる!
喉から手が出る程、ってたぶん、こういう時に使う言葉だ。
レルドさまぁ、って懇願すると、にっこーと笑った黒い人は見せてあげても良いけど、と首を傾げる。
「残念ながら貸し出しはできないのよぉ。ここの外来異物はね、街へ持ち出してはならないの。でも、時々見せてあげるくらいならいいわ。アタシの同席が必要だけどねッ」
「わー! やったーーーーー! ありがとうございますレルドさまだいすき!」
「待て待て待て待て、許可していない、俺が許可していない!」
「んっま、心のせまぁーい男ねぇ、アンタ。ハルイちゃんが誰のために一生懸命お砂糖探してたか知らないくせに~」
「え」
「……何だと?」
…………ゼノさまの視線が、ばっちりおれに向く。
ていうかなんでそんなこと知ってんだよレルドさま。と思ったけど、この人たぶんものすっげー頭がよくて気持ち悪いくらい察しがいいタイプなんだろう。
多少なりとも地球の食品のことや、文化も知っているのかも。
「砂糖、とやらが何なのか俺は知らないが……ハルイ、一体何を作るために必要なものなんだ」
そしてイケメン野郎は、笑えるくらいに素直で正直で直球だ。
そんな『お前に俺の何がわかる……』みたいな面倒くさそうなセリフ吐きそうな顔しといて、ゼノさまは基本的に直球だ。なんでだよってくらいストレートに質問ぶちかましてくる。
かわいいかよ。いやイケメンだからかわいくはないんだけど、かわいいからやめろと思う。
直球で訊かれたら、おれは誤魔化すわけにはいかない。答えなくてはいけない。
だっておれ、宵闇亭の従業員だもんよ。
そしてこのイケメンは、くっそ優しいとはいえ、そのてっぺんにいる雇用主だから。
「えーとぉ……その、おれの知ってる食い物で、お菓子っていう種類のものがあるんですけど。ごはんじゃなくって、なんていうのかなぁ……嗜好品? 間食? っていうか……。おいしいおまけっていうか……」
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「ご褒美かな。おれのいた場所では、女の子は大体お菓子好きだったんですよ。そりゃ例外もあるけどなんてーかこう……疲れた体には甘いモノっていうか。頑張った自分を甘やかすものっていうか。……絶対にみんな、好きだと思ったから」
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きっと飛び上がって喜んで、ゼノさまゼノさまって、みんなゼノさまに報告に行くと思うんだ。
群青のみんなは、嬉しいことがあるとすぐに、ゼノさまに報告に行くから。
「…………そうか」
すとん、と腰を下ろしたゼノさまは、なんか難しい顔でしばらく思案した後、ふーう、といつもみたいに長い息を吐いた。
仕方ないな、というときの息だ。
仕方ないなと言って、苦い顔で全部を許してくれる、甘い言葉を吐くときの息。
「休日、もし俺の都合がつけば同行する。一人で出歩くことは許可できないが……俺が一緒ならば、外来異物塔への出入りを許可しよう」
「ひゅう! やった……! ゼノさま甘い!」
「……その『甘い』というのは良い意味なのか? なんとなく馬鹿にされているように聞こえるのは気のせいか……」
「褒めてますってば。おれ、ゼノさまのそのくっそ甘いとこ好きだもん」
しれっと本音を混ぜると、ゼノさまがぐっと息を飲む。褒められ慣れてないなぁほんと。
もっとみんなゼノさまを褒めたらいいのに、好き好き煩い群青ねーさんたちもゼノさまえらーいとは言わない。やっぱ雇用主だからかな?
おれはなんていうか、割と二人きりで話すことが多いから、雇用主兼年上の友人みたいな気持ちになっちゃってんのかもしれない。年上なのかしらねーけど。
「何はともあれ、話は済んだな、よし帰るぞ」
「え。あ、ちょっと待ってください、もう一回だけ――」
「今生の別れじゃない、次回にしろ」
「えーでも、なんかさっきの味、砂糖っていうか違う何かっぽかったんだよな……うーんなんか、もうちょいで思い出しそうなんすよー。絶対に食ったことある味だった。でも砂糖じゃない。なんか違う。すげー気になる。だからゼノさまちょっと待って。レルドさま、もっかいチューしてもらっていいっすか?」
「なっ……」
「あらぁ~いいわよぉ~」
「おまっ……!?」
「んじゃ、失礼して――」
チューを、と思ったのに、なぜかおれの身体はぐいっと引っ張られ、レルドさまから遠のく。
おれを引っ張ったのはゼノさまだ。そんでおれは、なんでか、いつのまにか、ゼノさまに抱きこまれるように腰を抱かれて向き合っていた。
ち、……ちけえ!
イケメンのツラがちけえ!
「ゼ、ま、な、」
ゼノさま待って何なの、が全部言葉にならなくてヤバい。
ヤバいしイケメンのツラは問答無用で近づいてきて、気がついたら思いっきり口が重なっていた。
――あっまい。
あっまい舌が、ぬるっとおれの口の中を舐めとる。
「……っ、ふ……ぁ……、ゼ……っ……」
「……だまれ、噛むぞ」
うおおおおお何それかっこいい感じでかっこいいこというのやめてほしいんですけどイケメン!
あなた自分がそこそこのイケメンである自覚が皆無だと思うんですよ!
ふらっふらと薄いシャツ一枚でその辺歩いてるし!
なんかパーソナルスペースちけーし!
理由があったとはいえ軽率に手とか繋いでくるし!
いやその程度なら『相手がイケメンだからとはいえおれも自意識過剰だよな~ほんと面食い直したいわ~』くらいの気持ちで流せるけど、流石にこの、あの……いきなり濃厚なキスはいかがかと思うんだよイケメンおい聞いてるかおれの心の声を!
「…………っ、ん……ふ…………」
って全力で怒鳴ってやりたいのに、実際のおれはイケメンの甘ったるい(味覚的な意味で)キスに翻弄されまくって、気がついたらくったりとイケメンに身体を預けてしまっていた。
くそ……はらたつ……キスうまい腹立つ……。
「――どうだ、これで満足か。しっかり味わっただろうな」
「…………ハチミツのお味でした……」
へなへなと、腰が抜けそうになってイケメンの腕で支えられてるのもしんどい。恥ずかしい。ていうか絶対あんなエロいキスする必要なかっただろ。すけべ。えっち。すけこまし。
おれを支えたイケメンことゼノさまは、いつも以上にきりっとした顔を寄せる。ちけーっつの。
「いいか、ハルイ。外来異物塔への立ち入りは認める。だが金輪際俺以外の黒との唾液交換は認めない。いいな?」
「だえきこうかん……」
「い、い、な?」
「……ふぁーい……」
「返事が怪しいが……まあ、いいだろう」
いやこちとらあんたのチューで足腰がくったくたなのよ。察しろください鈍感野郎。
おれのへろへろした返事で一応納得したらしいゼノさまは、ものすごーくたくさん言いたいことがありそうなにやにや顔のレルドさまを一切合切無視し、さっさとおれの手を引いて外来異物塔……ガラクタ塔を出た。
来た時の荷車はない。
うっかり露悪な道に躓いてあわわ、としたおれに、先を行くゼノさまは振り返って眉を跳ね上げる。
「……さっきのお茶とやらに、なにか変なものでも入れられたか? おまえ、ふらふらじゃないか」
「いやぁ、そこはあのー、だれのせいだという言葉をぜひお返ししたく……」
「恋人と同じ部屋に住んでいたんだろ。口づけの一つくらいで何を大袈裟な。レルドともしていたじゃないか」
「……濃厚さが違いませんでした?」
「気のせいだ。足元がおぼつかないなら担いでいってやろう」
なんだそれ。もしかしておんぶしてくれんの? いやこれは、まさか、お姫様抱っこフラグか?
まさかそんな……いやでもいきなり傲慢彼氏みたいなこと言い出してチューしてくる男だ、やりかねない。ゼノさまならやりかねない……! と思ってたけど、普通に『よっ』って感じに肩に担がれた。
……荷物、って感じっすね。
もっと優しく運搬してほしい……けど、久しぶりに外に出て、久しぶりに興奮していろんなことを考えたせいで、正直歩く体力が残っていない。
ありがたく荷物になりつつ、目の前の見慣れないマントの揺れを眺める。
「……ゼノさまさぁー、正装きらいなの?」
「好かん。窮屈だし、それに、この格好をしているときの俺は、『黒館様』と呼ばれることが多い。あの呼び名は好きじゃない」
「格好いいのに」
呼び方も、正装も。
俺はいまのところ宵闇亭が好きで、今日レルドさまとたくさん話して、街を見て、やっぱゼノさまの宵闇亭のことがもっと好きになったからさ。
ゼノさまが嫌う『黒館様』って名前も、ゼノさまが窮屈だって言う正装も、みんなが一目置く宵闇亭の当主って感じで格好いいと思う。
「ゼノさまー」
「なんだ……まだ喋る体力があるのか」
「いや、一応忘れないうちに言っとこうと思って。あのー……ありがとうございます」
いろいろな意味を込めて、感謝の言葉を述べた。
ゼノさまは『何が』とは聞かなかった。ただ、少し照れくさそうに息を吐いただけだった。
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